■今後の見通し
2. 成長戦略
国内のパブリック・クラウドサービス市場は、今後も高成長が続くものと予測されている。コロナ禍を契機に経営のDX化を加速する動きが鮮明になってきていることが背景にある。テラスカイ<3915>もテラスカイ・テクノロジーズを通じた人材育成を進めながら処理能力を増強し、業界平均以上の売上成長を目指していく。
ソリューション事業における今後の取り組み方針としては、DX Ready(既存システムのDX対応)、顧客接点の強化、継続的な運用改善(CoE※)の3点に焦点を当てて、受注拡大に取り組んでいく。特に、継続的な運用改善にあたっては専門のクラウド人材の育成が重要となっており、前述したテラスカイ・テクノロジーズが人材供給面での重要な役割を担っていくことになる。
※CoE(Center of Excellence)とは会社の中で効率的なシステム開発・運用体制を構築していくために、専門性を持った人材を組織横断的に配置していくという考え方。
また、IaaS/PaaS市場でAWS、Microsoft Azure、Alphabet(GCP)と3つのプラットフォームの寡占化が進行するなか、今までは子会社のBeeXがAWSを中心に展開してきたが(ERPシステムのAzureへの移行案件も手掛ける)、前述したようにリベルスカイを新設し、GCP関連の導入案件も手掛けていくことで、需要が旺盛なビッグデータ分析・AI領域での事業拡大を推進していく戦略となっている。
そのほか、公共分野での事業展開も進めていく。官公庁・自治体においてもクラウドシフトが進?むなか、2020年秋以降、観光産業の復興並びに地方経済の活性化を目的に、セールスフォース・ドットコム、JTBと連携※して、自治体向けにSalesforceを導入し、「地域CRM」とデジタルマーケティングの仕組みを構築している。導入件数は、2021年度は20〜30件とまだ少ないものの、先行事例での導入効果が確認されれば、2022年度以降はその他の自治体や観光協会等でも導入が本格的に拡がっていくものと予想され、今後の動向が注目される。
※2020年8月にセールスフォース・ドットコムとJTBが、地域DX推進のための「包括的連携・協力に関する協定」を締結しており、同社もその枠組みのなかで協業している。
製品事業については、注力製品であるコミュニケーション・プラットフォーム「mitoco」の拡販を推進すべく、引き続き機能強化や利便性向上に向けたUIの改善、他社システムとの連携等に取り組んでいく。このため開発費も投下していくこととなるが、導入企業数の積み上がりによる売上規模の拡大によって、2022年2月期以降の収益化が期待される。
同社はここ数年、中長期の成長を見据えてM&Aも含めた人材投資を積極的に実施し、持続的な成長を実現していくための経営基盤や財務基盤は整ってきたものと考えられる。ただ、クラウドサービス市場は引き続き年率20%前後の高成長が続く見通しとなっているため、業界並みの成長を続けていくためには引き続き人材投資が必要になるものと思われる。このため、利益率を高めていくためには、ソリューション事業の生産性を高めていくことや、製品事業の売上規模拡大、アイフォーカス・ネットワークのAIプラットフォームの育成、Quemixの知財戦略による収益化などがポイントになってくると思われる。中期業績目標値も含めた成長戦略の内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 成長戦略
国内のパブリック・クラウドサービス市場は、今後も高成長が続くものと予測されている。コロナ禍を契機に経営のDX化を加速する動きが鮮明になってきていることが背景にある。テラスカイ<3915>もテラスカイ・テクノロジーズを通じた人材育成を進めながら処理能力を増強し、業界平均以上の売上成長を目指していく。
ソリューション事業における今後の取り組み方針としては、DX Ready(既存システムのDX対応)、顧客接点の強化、継続的な運用改善(CoE※)の3点に焦点を当てて、受注拡大に取り組んでいく。特に、継続的な運用改善にあたっては専門のクラウド人材の育成が重要となっており、前述したテラスカイ・テクノロジーズが人材供給面での重要な役割を担っていくことになる。
※CoE(Center of Excellence)とは会社の中で効率的なシステム開発・運用体制を構築していくために、専門性を持った人材を組織横断的に配置していくという考え方。
また、IaaS/PaaS市場でAWS、Microsoft Azure、Alphabet(GCP)と3つのプラットフォームの寡占化が進行するなか、今までは子会社のBeeXがAWSを中心に展開してきたが(ERPシステムのAzureへの移行案件も手掛ける)、前述したようにリベルスカイを新設し、GCP関連の導入案件も手掛けていくことで、需要が旺盛なビッグデータ分析・AI領域での事業拡大を推進していく戦略となっている。
そのほか、公共分野での事業展開も進めていく。官公庁・自治体においてもクラウドシフトが進?むなか、2020年秋以降、観光産業の復興並びに地方経済の活性化を目的に、セールスフォース・ドットコム、JTBと連携※して、自治体向けにSalesforceを導入し、「地域CRM」とデジタルマーケティングの仕組みを構築している。導入件数は、2021年度は20〜30件とまだ少ないものの、先行事例での導入効果が確認されれば、2022年度以降はその他の自治体や観光協会等でも導入が本格的に拡がっていくものと予想され、今後の動向が注目される。
※2020年8月にセールスフォース・ドットコムとJTBが、地域DX推進のための「包括的連携・協力に関する協定」を締結しており、同社もその枠組みのなかで協業している。
製品事業については、注力製品であるコミュニケーション・プラットフォーム「mitoco」の拡販を推進すべく、引き続き機能強化や利便性向上に向けたUIの改善、他社システムとの連携等に取り組んでいく。このため開発費も投下していくこととなるが、導入企業数の積み上がりによる売上規模の拡大によって、2022年2月期以降の収益化が期待される。
同社はここ数年、中長期の成長を見据えてM&Aも含めた人材投資を積極的に実施し、持続的な成長を実現していくための経営基盤や財務基盤は整ってきたものと考えられる。ただ、クラウドサービス市場は引き続き年率20%前後の高成長が続く見通しとなっているため、業界並みの成長を続けていくためには引き続き人材投資が必要になるものと思われる。このため、利益率を高めていくためには、ソリューション事業の生産性を高めていくことや、製品事業の売上規模拡大、アイフォーカス・ネットワークのAIプラットフォームの育成、Quemixの知財戦略による収益化などがポイントになってくると思われる。中期業績目標値も含めた成長戦略の内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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