豪ドル
RBA(豪中銀)は「少なくとも24年まで利上げはない」と予想しています。一方でRBAが金融政策運営で注視している失業率は改善傾向にあり、20年7月に7.5%だった失業率は21年3月には5.6%まで低下しました。
豪州のコロナ感染者は抑えられており、また鉄鉱石など資源価格の上昇にも支えられ、豪景気は今後堅調に推移しそうです。「雇用維持給付金(700億豪ドル規模)」が3月末で終了したため、目先はその影響を受けるとみられるものの、失業率の低下傾向は続くと考えられます。その場合、RBAの利上げ観測が市場で浮上して豪ドル高材料になる可能性があります。
豪ドルはまた、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴があります。コロナのワクチン接種が進んで世界の景気回復への期待が高まれば、リスクオンが強まる可能性があります。リスクオンは豪ドルを押し上げる要因となり得ます。
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豪ドル/NZドルは、1.00000~1.15000NZドルの動きが継続しそうです。RBAとRBNZ(NZ中銀)のいずれも政策金利を当面据え置くとみられ、両者の政策金利の差は変化しないと考えられるためです。
<注目点・イベントなど>
・RBA(豪中銀)の金融政策。RBAは失業率を注視。
・投資家のリスク意識の変化。
・資源(主に鉄鉱石)の価格動向。
・米中関係、豪中関係、中国経済の動向(中国は豪州の主要輸出先)。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)の政策金利は現在0.25%です。RBNZは「必要なら利下げする」としているものの、NZではコロナの感染は抑えられており、現時点で利下げの可能性は低いとみられます。
RBNZは一方で利上げする条件として、「CPI(消費者物価指数)上昇率が2%の目標中央値に維持され、また雇用が最大の持続可能水準に達するかそれを上回ると確信できること」としています。今後発表される経済指標で堅調な結果が続けば、市場では利上げ観測が浮上するかもしれません。その場合、NZドル高材料になりそうです。
NZドルは豪ドルと同様、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴があります。世界の景気回復への期待が高まるなどしてリスクオンが強まれば、NZドル高が進みそうです。
<注目点・イベントなど>
・RBNZ(NZ中銀)の金融政策。
・投資家のリスク意識の変化。
・米中関係、中国経済の動向(中国はNZの主要輸出先)。
・乳製品(NZ最大の輸出品)の価格動向。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は4月21日の会合で量的緩和を縮小することを決定。カナダ国債の買い入れ額を週最低40億カナダドルから30億カナダドルへと減額しました。米FRBやECB(欧州中銀)が現在の量的緩和政策を当面維持するとみられるなか、BOCが主要国中銀の中でいち早く縮小へと動いたことは、カナダドルにとってプラスと考えられます。BOCはまた、「23年」としていた利上げ開始時期の予想を「22年後半」へと早めており、それもカナダドル高材料となりそうです。
コロナのワクチン接種の進展やバイデン政権による経済対策によって、米国の景気は今後順調に回復していくと考えられます。カナダにとって米国は最大の輸出先であるため、米景気の回復はカナダ景気の押し上げ要因です。
カナダドル/円は堅調に推移しそうです。心理的節目である90円を超え、さらには2017年9月高値の91.590円に向かって上昇する可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・BOC(カナダ中銀)の金融政策。
・資源(特に原油)価格の動向。
・米国景気の動向。
・米国の対カナダ政策。
トルコリラ
カブジュオールTCMB(トルコ中銀)総裁は4月29日、「インフレ率の低下が指標で示されるまで、金融引き締めを維持する」と述べ、「政策金利はインフレ率(CPI上昇率)よりも高い水準に設定する」と表明しました。
カブジュオール総裁の発言はタカ派的に聞こえるものの、過去の経歴やエルドアン大統領に指名された経緯をみると、違った見方も可能です。TCMBの政策金利は19.00%、3月のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年比16.19%。現時点で政策金利はインフレ率よりも2.81%高く、すでに利下げ余地がある(ハト派)と見なすことができます。CPI上昇率が十分に下がらないうちにTCMBが利下げを開始することを市場は懸念しています。
市場ではまた、トルコ当局が「トルコリラを下支えするため、外貨を売却する(介入)」政策を再開することへの懸念があります。アルバイラク前財務相の下でトルコ当局は「外貨売り/トルコリラ買いの為替介入」を実施。その結果としてトルコの外貨準備は大幅に減少しており、スワップによるものとみられる短期借入分を除けばマイナスになっているとの見方もあります。
それらの懸念が後退しない限り、トルコリラには下押し圧力が加わりやすいとみられます。
<注目点・イベントなど>
・TCMB(トルコ中銀)の金融政策。
・トルコは外貨準備の売却を再開するか
・トルコとEU、米国との関係。
・トルコの地政学リスク。
南アフリカランド
4月に南アフリカランド/円は20年1月以来の高値を記録しました。ランド高の背景として、米FRBが現在の金融緩和政策を当面続けるとの観測や資源価格の上昇が挙げられます。FRBの量的緩和縮小観測が高まらず、また資源価格が堅調に推移すれば、ランド高が一段と進む可能性があります。
ただし、南アフリカでは、エスコム(国営電力会社)の資金不足によって計画停電がたびたび実施されています。エスコムは国内電力の約9割を供給していることから、計画停電は景気に打撃を与えます。今後も計画停電が頻繁に行わるようなら、南アフリカ景気への懸念からランドは上値が重くなるかもしれません。
<注目点・イベントなど>
・米FRBの金融政策に関する市場の観測。
・資源価格の動向。
・エスコム(南アフリカの国営電力会社)の経営危機問題。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は3月25日の会合で政策金利を4.00%に据え置いたものの、追加利下げの可能性を残しました。
ただ、利下げの可能性はいったん低下したとみられます。メキシコの4月前半のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年比6.05%と、前月の4.12%から加速。月前半のCPIとしては、2017年12月以来、3年4カ月ぶりの強い伸びを記録しました。BOMのインフレ目標は3%、その上下1%(2~4%)が許容レンジです。昨年の原油安の影響もあり、CPI上昇率は当面高止まりするとみられます。
主要国の中銀が近い将来に利上げを行う可能性は低いと考えられ、BOMの政策金利の水準が主要国中銀と比べて高い状況は今後も続きそうです。メキシコペソの支援材料になるとみられます。
また、米国の景気が回復すれば、メキシコ景気も恩恵を受けると考えられ、それもペソ/円を下支え要因となりそうです。メキシコにとって米国は最大の輸出先であり、輸出全体の約8割が米国向けです。
原油価格(米WTI原油先物など)の動向にも目を向ける必要があるものの、メキシコペソ/円は堅調な展開が想定されます。
<注目点・イベントなど>
・BOM(メキシコ中銀)の金融政策。
・米景気動向。
・資源(主に原油)価格の動向。
・米FRBの金融政策に関する市場の観測。
・米国とメキシコの関係。
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