S&P500月例レポート(21年4月配信)<前編>

S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

THE S&P 500 MARKET: 2021年3月
個人的見解: カンフル剤だが免疫効果はない

 新型コロナウイルス一色となっていた金融市場は、3月に入ってようやくその他の材料に注目するようになりました。もちろん、コロナ禍の影響は続いていますが、市場関係者はポスト・コロナを見据えてファンダメンタルズを注視するようになったのです。この結果、S&P 500指数は3月に史上最高値を5回にわたり更新し、3月31日は4000台に近づいて取引時間中の史上最高値を更新しました。

 市場参加者の間では、ごく普通に囁かれる噂や楽観論、欲望と(大損に対する)恐れなど、平常(ノーマリティ)が戻ってきました。少なくとも、可能な限りそれに近い状態と言えるでしょう。住宅関連のニュースは引き続き良好でしたが、結果は期待をはるかに下回るものでした。価格の上昇が続く一方で、供給が低迷したままだからです(その結果が売り手市場です)。週間新規失業保険申請件数はコロナ前の水準を回復し、70万件を下回りました(2020年3月には28.2万件から330万件に急増し、同月中に過去最多となる690万件を記録)。バランスシートを拡大している米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国10年国債利回りが2.0%に達することを警戒して、「繰り返し」緩和的な金融政策の継続を主張しており(FRBと闘わないなら、FRBと仲間たちとも闘わない)―― 誰も緩和政策の継続を疑っていません。FRBは大手銀行に対して、2021年第2四半期以降の増配と自社株買いを容認しました。「空箱」SPAC(特別買収目的会社)経由のIPO(新規株式公開)も続いており、シェアオフィス大手WeWorkは再び株式上場を計画し、前回2019年の上場計画時(パンデミックによって勤務環境の変化が起きるよりもかなり前のタイミング)には企業価値を470億ドルとしていましたが、今回は90億ドルとしています。
 
 これまでで最大、最良かつ最高(フォークシンガーのArlo Guthrieを真似ています)のノーマリティの状態が市場では続いており、楽観論が優勢となっています。株に投資するだけで、儲けを手にすることができますが(望むものは何でも手に入れることが可能)、売るタイミングを逃さないことが重要です(メディア・娯楽大手Viacomと同Discoveryのポジションは整理し、ゲームソフト大手GameStopは割り切った投機売買で臨みます)。市場のノーマリティ(3月の上昇率は4.24%、第1四半期は5.77%上昇、過去1年間では53.71%上昇)は、生計を立てる手段としては最高だと思いませんか。

 S&P 500指数は3月に4.24%上昇して3972.89で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス4.38%)。2月は3811.15で終え、2.61%の上昇(同プラス2.76%)、1月は3714.24で終え、1.11%の下落(同マイナス1.01%)でした。年初来3ヵ月では5.77%上昇(同プラス6.17%)、過去1年間では53.71%上昇(同プラス56.35%)、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは17.33%上昇して月を終えました(同プラス19.63%)。ダウ平均は6.62%上昇して3万3072.88ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンは6.78%)。2月は3万0932.37ドルで月を終え、3.17%の上昇でした(同プラス3.43%)。過去3ヵ月間では7.76%の上昇(同プラス8.29%)、過去1年間では50.48%上昇(同プラス53.78%)となりました。

 過去の実績を見ると、3月は60.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.32%、下落した月の平均下落率は3.85%、全体の平均騰落率は0.47%の上昇となっています。S&P 500指数は2021年3月に4.24%の上昇となりました。

 4月は64.5%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.33%、下落した月の平均下落率は3.35%、全体の平均騰落率は1.44%の上昇となっています。

 今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)のスケジュールは、4月27-28日、6月15-16日、7月27-28日、9月21-22日、11月2-3日、12月14-15日、2022年1月25-26日となっています。

主なポイント

  ⇒S&P 500指数は3月に4.24%上昇しました(配当込みのトータルリターンは4.38%)。2月は2.61%上昇(同プラス2.76%)、第1四半期では5.77%上昇(同プラス6.17%)、過去1年間では53.71%の上昇(同プラス56.35%)となりました。

  ⇒S&P 500指数は3月も最高値更新を続けました(5ヵ月連続)。3月の最高値更新回数は5回、1月と2月もそれぞれ5回、12月は7回、11月は4回となっています。コロナ前の2020年2月19日に終値で最高値を付けて以来、35回高値を更新し、3月は4.24%の上昇となりました。2月は2.61%上昇、年初来の第1四半期は5.77%上昇と、四半期のリターンとしては20.00%下落した2020年第1四半期以降で最低となりました。

  ⇒コロナ禍前の2020年2月19日の終値での高値からは17.33%上昇して月を終えました(同プラス19.63%)。2020年2月19日以降、終値ベースで35回高値を更新しました。

  ⇒2020年11月3日の米大統領選挙以降では同指数は17.92%上昇しています(同プラス18.72%)。

  ⇒強気相場入りして以降、2020年3月23日の底値から77.57%上昇しています(同プラス80.69%)。

 ○米国10年国債利回りは2月末の1.42%から1.74%に上昇して月を終えました(2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは2月末の2.15%から2.41%に上昇して取引を終えました(同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは2月末の1ポンド=1.3924ドルから1.3784ドルに下落して月を終えました(同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)。ユーロは2月末の1ユーロ=1.2074ドルから1.1727ドルに下落しました(同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は2月末の1ドル=106.56円から110.78円に下落し(同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は1ドル=6.4752元から6.5524元に下落しました(同6.5330元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は3月中に一時1バレル=68ドルを超えましたが、2月末の同61.66ドルから59.55ドルに下落して月を終えました(同48.42ドル、同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、2月末の1ガロン=2.717ドルから2.941ドルに上昇して月末を迎えました(同2.330ドル、同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は2月末の1トロイオンス=1733.00ドルから1709.50ドルに下落して月の取引を終えました(同1901.60ドル、同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は2月末の27.07から19.40に低下して月を終えました。月中の最高は31.90、最低は18.68でした(同22.75、同13.78、同16.12、同11.05)。

  ⇒2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○2021年第1四半期決算に関しては、決算時期がずれている14銘柄のうち12銘柄で利益が予想を上回り、12銘柄で売上高が予想を上回りました。2020年第4四半期については、S&P 500指数構成銘柄の全てが決算発表を終え、500銘柄中の76.8%に相当する384銘柄で利益が予想を上回りました。また、売上高に関しては、498銘柄のうち73.9%に相当する368銘柄で予想を上回りました。

  ⇒2020年第4四半期の利益予想は2020年12月末時点から5.9%引き上げられ、前期比で0.8%の増益、前年同期比では2.5%の減益となる見通しです。その結果、2020年の予想EPSは22.1%の減益、それに基づく足元の予想株価収益率(PER)は32.5倍となっています。

  ⇒2021年については、特に下半期で企業利益が過去最高を更新する見通しで、2020年比で40.9%増益が見込まれており、2021年の予想PERは23.0倍となっています。

  ⇒2022年は2021年比でさらに16.0%増益が見込まれ、同年の予想PERは19.9倍となっています。

 ○米国の新型コロナウイルス対応のための財政政策:

  ⇒第1弾:医療機関への財政支援やウイルス感染拡大防止に83億ドルの資金拠出。

  ⇒第1段階:2週間の疾病休暇および最長10週間の家族医療休暇の給与費用に対する税額控除。

  ⇒第2段階:労働者、中小企業、事業会社、病院や医療関係機関に対する直接支援、ならびに融資保証を提供する2兆2000億ドルのプログラム。

  ⇒第3段階:(中小企業向け)給与保証プログラム(PPP)に3100億ドルと医療機関に750億ドルを含む、総額4840億ドルの供出。ただし、州政府および地方自治体に対する資金支援は行わない。

  ⇒第4段階:議会は新型コロナウイルス関連対策として、個人への直接給付金600ドル(所得制限あり)などを盛り込んだ総額9000億ドルの財政パッケージを(ようやく)可決。

  ⇒第5段階:バイデン大統領が就任前に提案した1兆9000億ドルの追加の財政刺激策は、政権発足後に共和党から6180億ドル規模の代替案が提示されましたが、若干の修正は加えられたものの、ほぼ民主党の公約通りの形で議会承認され、個人向けの直接給付金1400ドルの支払いが始まりました(小切手送付よりも口座への直接振り込みの割合が多い)。また、今回の経済対策案には州政府への支援と新型コロナウイルス対策費用も含まれています

  ⇒第6段階: 議会(下院)ではインフラ投資計画を含む次の経済対策に対する与野党協議が始まりました。バイデン大統領はインフラ整備に8年間で2.3兆ドルを投入する計画を発表し、その財源確保のために現行21%の法人税を28%に引き上げ、15年かけて費用を賄う方針を示しました。法案の審議はまだ始まったばかりですが、市場関係者は議会の勢力図から判断して同法案が成立する公算が大きいとみています。

   →民主党は議事妨害(フィリバスター)規則をめぐり、上院で現行の60%でなく、過半数の賛成で法案を可決できるように規則を変更する方向に方針を転換しました。これにより、可決される法案に大きな影響が及ぶとみられます。

 ○暗号通貨ビットコインは一時6万1684ドルを付けて再び最高値を更新し、2月末の4万5138ドルから30.9%上昇して5万9064ドルで3月の取引を終えました。2020年末の終値2万9002ドルと比べると104%高の水準です(2019年末は7194ドル)。

 ○市場関係者のS&P 500指数の1年後の目標値はこの1ヵ月で上昇し、現在値から11.6%上昇(前月は14.8%上昇)の4432(かなり強気な予想)となっています(2月末時点の目標値は4375、1月末時点の目標値は4229)。ダウ平均の目標値は現在値から7.8%上昇(前月は13.3%上昇)の3万5554ドル(かなり強気な予想)となっています(同3万5035ドル、同3万4657ドル)。

バイデン大統領と政府高官

 ○上院は、アメリカ救済計画(ARP)と呼ばれる1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス経済対策法案を可決しました(賛成50票、反対49票で、共和党議員1名が親族の葬儀で採決を欠席しました)。その後、同法案は下院でも可決され(民主党議員221名中220名が賛成、共和党議員211名は全員反対)、バイデン大統領が署名しました。同日(3月11日)夜、大統領は国民に向けてテレビ演説を行い、新型コロナウイルスのパンデミック宣言からちょうど1年であり、米国の全ての成人が今年5月1日までにワクチン接種を終えるようスケジュール調整を進め、7月4日の独立記念日には少人数での集まりが可能になることを目指すと表明しました。ARPについては市場の予想通りでしたが、実際に可決されたことで株価は押し上げられ、S&P 500指数は最高値を更新し、週末には個人向け給付金の支給が開始されました。

  ⇒その後、市場は早くも次の景気刺激策を期待しています。これはまるで、大きな契約を取った部下にランチをご馳走した営業マネジャーが、その日の午後に部下に対し、「君たちは僕のために最近何かしてくれたかな?」と言うようなものです。実際に、下院はインフラ法案の準備に入っており(すぐに取り掛かれる状態にあったと思われます)、試算では2兆ドル規模の法案が提示されるとみられます。税強化案(「増税」という言葉は誰も使いません)については、1兆ドル規模が予想されます。税制改革はすぐに実行されることはないと思われますが、5年や10年といった視点で見れば、予想されるコストの低減に寄与するでしょう。

  ⇒1人当たり1400ドルの個人向け給付金は9000万人以上の国民に支給され(ほとんどが口座振込)、エコノミストは以前の給付金支給の時と同様に個人支出が増加すると予想しています。

 ○政治をめぐっては、バイデン大統領は民主党指導部と同様に議事妨害(フィリバスター)規則の変更を支持する意向を示しました。規則が変更されると、現行のフィリバスター規則では60%の賛成がないと上院で可決できない法案が、過半数の賛成で可決できるようになり、法案の成立にとっては大幅な変更と言えます。フィリバスター規則が変更された場合、企業利益や企業慣行に大きな影響のある増税、最低賃金の引き上げ、労働規則の強化、ガバナンスの強化などの可能性が高まると市場はみています。

 ○1兆9000億ドル規模の景気刺激策に盛り込まれた給付金が支給され、早くも次の法案をめぐる憶測が広まっています。追加法案はインフラ支出が中心になるとみられ、3兆ドル規模となる見通しです。大統領は来週にも新たな計画を発表する予定です。

 ○バイデン大統領は就任後初の記者会見に臨み、就任から100日後(4月30日)までに2億回のワクチン接種を目指すとの意向を示しました。これまで、1日平均250万回、累計で1億3000万回の接種が完了しています。大統領はまた、フィリバスター規則の変更を支持する意向も示しました。これにより民主党は、共和党が反対する法案を成立させやすくなります。

 ○3月には2件の銃乱射事件が発生し、コロラド州ボルダーのスーパーマーケットで10人、ジョージア州アトランタで8人が亡くなりました。バイデン大統領は上院に対し、下院で既に可決している銃規制強化法案を可決するよう要請しました。

 ○民主党はフィリバスター規則をめぐり、上院で現行の60%でなく、過半数の賛成で法案を可決できるように規則を変更する方向に方針を転換しました。これにより、可決される法案に大きな影響が及ぶとみられます。

新型コロナウイルス関連

 ○メディアやインターネット上はワクチンに関するニュースであふれ、Johnson & Johnson(JNJ、Merck(MRK)が生産支援)、Pfizer(PFE)、Moderna(MRNA)の3社がワクチン供給の新たな「ビッグスリー」として需要に対応しています。感染者数の増加という懸念もありますが、ワクチン接種がそうした懸念を払拭し(少なくとも市場では)、各州は経済活動を徐々に再開させています。

  ⇒バイデン大統領は国民に向けてテレビ演説を行い、パンデミック宣言からちょうど1年であり、米国の全ての成人が今年5月1日までにワクチン接種を終えるようスケジュール調整を進め、7月4日の独立記念日には少人数での集まりが可能になることを目指すと表明しました。

 ○ワクチンの接種が進む中、登録者分の供給(Johnson & Johnson、Moderna、Pfizer)は確保されている模様です。Modernaは子供を対象としたワクチン試験を開始しました。

  ⇒Pfizerはワクチンの臨床試験で12~15歳の子供に有効性が示されたと発表しました。

 ○バイオ医薬品企業のAstraZeneca(AZN)はワクチンの臨床試験に関し、79%の有効性が確認されたとする暫定データを発表しました。これに対して、同社が「古い」データを使用したとの疑いが浮上しましたが、その後同社は、有効性は76%とする最新データを発表しました。

  ⇒米国では5240万人が接種を終えましたが、ワクチンをめぐっては全く問題がないわけではなく、デンマークやノルウェーなどに続き、フランス(感染者数が増加したために学校は再度休校が決まりました)、ドイツ、イタリア、スペインはAstraZeneca製ワクチンの使用を一時停止しました。これに対して世界保健機関(WHO)は、ワクチンの接種と報告されている問題との因果関係は認められないと表明し、各国はワクチンの接種を再開しました。

   →3月のその後に副反応の症状が新たに確認されたことを受け、ドイツは再びAstraZeneca製ワクチンの使用を制限することを決めました。

  ⇒EUは、感染拡大が続き、ワクチン問題(一部は自ら招いたものですが)により接種が遅れていることから、域内で生産されるワクチンの輸出を制限する措置を発表しました。イタリアでは、2900万回分のワクチンが倉庫で見つかりました。

 ○感染状況等:

  ⇒世界的に感染拡大は続いていますが、感染者数の増加ペースは鈍化しています。米国の感染者数は3040万に達し(2月末は2840万人、1月末は2590万人)、世界の感染者数は1億2800万人となりました(同1億1320万人、同1億200万人)。また、米国の死者数は55万1000万人(同50万9000人、同43万6000人)、世界全体の死者数は280万6000人(同251万2000人、同220万4000人)となりました。米国の1日の新規感染者数は1月に過去最高の30万594人に達しましたが、その後は減少傾向となり、2月末の7万7804人から3月末は6万2045人に減少しました。1月末は16万5264人でした。新規感染者数の7日間平均も1月に記録した過去最多の25万9564人から2月末には6万9450人、3月末には6万6064人に減少しました。入院者数は1月末の10万4303人から2月末は5万2669人、3月末は4万317人と減少しています。

 ○新型コロナウイルスの治療薬と治療法、そして夢の万能薬

  ⇒ワクチン供給の改善と接種状況の進捗に伴い、「集団免疫」が話題に上り始めています。

   →米食品医薬品局(FDA)は、Johnson & Johnson製ワクチンの安全性と有効性を公表しました(有効性は世界全体で66.1%、米国に限ると72%)。

    ⇒2月26日のFDA諮問委員会の会合で、1回の接種で済む同社製ワクチンの有効性が賛成22、反対ゼロで支持されました。近いうちに承認され、これを受けて直ちに出荷手続きに入るとみられます。

  ⇒現時点で、米国では1億4800万回のワクチン接種が行われました(2月末時点では6830万回)。世界全体では5億7400万人が1回以上の接種を受けました(同2億2500万人)。米国の1日当たり接種回数の7日平均は277万回(同131万回)でした。

   →米国ではこれまでに1億4800万回のワクチン接種が行われ、5240万人が必要回数の接種を終えています。

各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック。FOMCの2週間前に作成)によると、経済活動と雇用は共にわずかに回復し、インフレ率は依然としてあまり懸念されていないようです。

 ○欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)プログラムによる資産買い入れを拡大し、政策金利を据え置くと発表しました。

 ○FRBはFOMCを開催し、予想通り金利を据え置き、債券買い入れ額を維持しました(月間1200億ドル)。FRBは(そしてパウエル議長もその後の電話会議で確認したように)、緩和的な姿勢を維持し、2023年末まで政策金利を維持するとみています。インフレ率に関しては、比較対象となる前年の数字の低さや新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限の緩和による個人消費の大幅増加で2021年末までに2%を上回るものの、その後低下するとみています。FRBの全般的な景気予想はウォール街より楽観的で、GDP成長率は2021年末までに6.5%、失業率は4.5%になるとしています。

 ○FRBは金利を低水準に維持すると公約し(ドルに下落圧力をかけると受け止められました)、一方、トルコの中央銀行は政策金利を従来の17.0%から19.0%に引き上げました(トルコリラの下落を受けて、インフレ率は15.6%を付けています)。

<後編>へ続く
 


配信元: みんかぶ株式コラム