ブイキューブ Research Memo(8):2021年12月期も大幅増収増益が続く見通し

配信元:フィスコ
投稿:2021/04/06 15:28
■今後の見通し

1. 2021年12月期の業績見通し
ブイキューブ<3681>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比38.9%増の11,500百万円、営業利益で同91.2%増の2,000百万円、経常利益で同83.3%増の1,870百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同37.1%増の1,560百万円と大幅増収増益が続く見通し。なお半期ベースで見ても、上期から下期にかけて一段と収益が拡大する見込みとなっている。

現在も旺盛な需要に応えきれていないイベントDX事業において人材投資や設備投資を実施しており、キャパシティ増強に伴い下期は一段と売上拡大が見込めるほか、「テレキューブ」についても販売・設置台数が右肩上がりに増加すると見ている。また、エンタープライズDX事業については、好採算の「SDK」が一段と増加することで増収増益を見込む。弊社では、会社計画は上振れ余地があると見ているが、これは、計画ではイベントDX事業における1回当たり平均単価の前提を前期比3割減の40万円弱としているためだ。同社では競争激化による価格下落リスクを織り込んでいるが、既述の通りイベント系Webセミナーについては需要に供給が追い付かない状況が続いており、今のところ価格動向に変化は見られていない。また、2021年はバーチャル株主総会が増加することも考慮すれば、1回当たり平均単価が会社想定を上回る可能性が高いと弊社では見ている。イベント配信回数は前期の4,700回に対して14,000回以上を見据えているため、仮に1回当たり平均単価が50万円程度で推移したとすれば、売上高で14億円以上の上振れ要因となる計算で、今後の価格動向に注目したい。


イベントDX事業は前期比2倍増、「テレキューブ」は同1.5倍増と高成長が続く見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業の売上高は前期比2.9%増の4,817百万円、セグメント利益は同15.7%増の973百万円となる見通し。汎用Web会議サービスについては、競争激化が続くことから前期比横ばいの30億円と見ているものの、好採算の「SDK」が同50%増の6億円と引き続き拡大することが増収増益要因となる。「SDK」の用途別構成はファンサービスやSNS/メディアでのライブ配信等で全体の過半を占めており、2020年6月以降、右肩上がりに需要が伸びている。同サービスは従量課金モデルなので、今後もライブ配信等の市場が拡大することで高成長が続くものと見込まれる。ここ最近日本で普及しはじめている音声SNS「Clubhouse」にも、「SDK」として同社が国内総代理店となっている「Agora」※が使われており、今後の伸びが期待される。そのほか緊急対策・災害ソリューションは前期比横ばいの5億円、海外子会社で展開するLMS/TMSは学校向けの縮小傾向が続くことから同12.5%減の7億円を見込んでいる。

※「Agora」は、自社サービスのiOS・AndroidアプリやWebサイトに、カスタマイズしたビデオ通話やライブ配信をかんたんに実装できるSDK。世界最大級のリアルタイムエンゲージメントSDKで、国内では同社が総代理店として販売・サポートを展開している。「Clubhouse」は国内企業のサービスではなく同社の直接顧客でないため、「Clubhouse」の普及は同社の業績に影響しない。


(2) イベントDX事業
イベントDX事業の売上高は前期比97.3%増の5,186百万円、セグメント利益は同144.3%増の1,405百万円となる見通し。2020年12月期下期以降、製薬業界だけでなく就職説明会やバーチャル株主総会、各種セミナー等に需要の裾野が急速に広がっており、2021年12月期は一段の高成長が見込まれるが、これは、「SaaS+Service」という形でサービス提供している企業は少なく、同社の強みとなっているためである。なお、2021年12月期第1四半期のイベント配信回数は前年同期比4倍超となる3,000回を超えたもようで、通期では14,000回以上を目標としている。引き続き需要は旺盛で、キャパシティを確保できさえすれば達成可能な水準と見られる。また、バーチャル株主総会についても、2021年12月期は100社以上の受注を目指す。株主総会が集中する6月はイベントDX事業において閑散期にあたるため、稼働率の平準化による収益性の向上にもつながる効果が期待できる。

同社では旺盛な需要に対応するため、2021年12月期にイベントDX事業を中心に100名程度の採用を計画しており、引き続き外注も活用しながらキャパシティを拡大していく計画となっている。また、Webセミナーの収録・配信を行うスタジオ設備も増設する。投資額は撮影機材も含めて7~8億円程度となり、減価償却費等の固定費負担増は3億円増と保守的に利益計画に織り込んでいるようだ。

(3) サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業の売上高は前期比55.6%増の1,517百万円、セグメント利益は同66.8%増の332百万円となる見通し。「テレキューブ」は企業オフィス内における個室ニーズの増加に加えて、ワークスタイルの変化によるリモートワーク用個室空間として、また、就職活動を行う学生らがオンライン面接の場として利用する公共空間(駅構内やオフィスビル、複合施設等)向けの設置も一段と進む見通しだ。

販売・設置台数は前期比1.5倍増の2,500台を計画している。内訳は、企業向け(サブスクリプション含む)が同1.4倍増の2,200台(うち、サブスクリプション200台)、公共空間向けが同1.5倍増の300台となる。公共空間では、OEM先のJR東日本で展開する「STATION BOOTH」の設置が、駅構内だけでなく系列の商業施設やフィットネスジム、コンビニエンスストアなどにも進んでいることから、2021年12月期に100ケ所、2023年12月期までに累計1,000カ所の設置を目標としている。また2021年3月には、JR西日本の高槻駅及び尼崎駅に「テレキューブ」が設置されたことから(大阪駅及び新大阪駅にも設置予定)、今後はJR西日本エリアにおいても設置が進むものと予想される。そのほか、新築分譲マンションの共用部に新たに設置されることが決まったほか、病院や図書館などの公共施設でも潜在需要はあると見られ、今後の市場開拓が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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