■今後の見通し
2. 今後の成長戦略
トレードワークス<3997>では、主力市場である金融・証券業界におけるIT投資については、今後も旺盛な投資が継続するものと見ている。その背景には、フィンテックによる金融業界への新規参入事業者の増加、5G通信の商用サービス開始によるオンライントレードの活発化、金融システムのセキュリティ対策の重要性の高まり、証券会社のシステム投資強化に対する機運の高まりなどを挙げている。
こうしたなかで、持続的な成長を目指していくための成長戦略として、「事業領域の拡大」と「ビジネスモデル転換」に継続して取り組むことで、事業規模の拡大と収益基盤の安定化による収益力の向上目指していく考えだ。特に、事業領域の拡大については、2021年12月期より新領域への進出、新サービスの開始を予定しており、その動向が注目される。
(1) 事業領域の拡大
事業領域の拡大としては、今まで蓄積してきた「金融×IT」の開発ノウハウを生かして、通販業界への進出を進めていく予定だ。具体的には、通販事業者のECサイト(受発注、在庫管理、配送システム等)構築領域に進出する。同分野は競合も多いが、AI技術も含めて今までの開発ノウハウを生かして、売れ筋商品の分析や各種セグメンテーション分析など付加機能を加えることで差別化していく戦略となっている。営業体制については現在の新規顧客開拓専門部隊(2名)で、受注活動を進めていく。証券会社など既存事業の顧客に対しても提案も行っていく予定だ。
また、新サービスについても2021年12月期中にリリースする予定となっている。同社はauカブコム証券と2018年12月期にVR環境を用いた株式取引システムを共同開発し、プロトタイプを展示会で発表したが、今回の新サービスはこの時の開発ノウハウを生かしたものになると予想される。証券取引とは関係ない分野・業界での利用を想定しているようで、今後の発表内容が注目される。なお、これら新事業・新サービスの売上高については2021年12月期に若干程度織り込んでいるもようだ。
(2) ビジネスモデル転換
ビジネスモデル転換については順調に進んでおり、2020年12月期に初めてストック型収入が売上高の5割を超えた。まだ、売上規模が10億円強と小さいため、新規開発案件の計上時期によってその比率は変動するものの、中期的には60%台半ばの水準まで引き上げていく方針を示している。このため、新規顧客に関しては基本的にストック型モデルでの受注活動を行っている。クラウドサービス案件の増加に伴い、データセンターの運用・維持費用などは増加傾向が続くものの、売上規模の拡大とともに運用・維持費用の対売上比率は低減することが見込まれるため、中期的には収益の安定化と同時に利益率上昇につながる取り組みとして注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 今後の成長戦略
トレードワークス<3997>では、主力市場である金融・証券業界におけるIT投資については、今後も旺盛な投資が継続するものと見ている。その背景には、フィンテックによる金融業界への新規参入事業者の増加、5G通信の商用サービス開始によるオンライントレードの活発化、金融システムのセキュリティ対策の重要性の高まり、証券会社のシステム投資強化に対する機運の高まりなどを挙げている。
こうしたなかで、持続的な成長を目指していくための成長戦略として、「事業領域の拡大」と「ビジネスモデル転換」に継続して取り組むことで、事業規模の拡大と収益基盤の安定化による収益力の向上目指していく考えだ。特に、事業領域の拡大については、2021年12月期より新領域への進出、新サービスの開始を予定しており、その動向が注目される。
(1) 事業領域の拡大
事業領域の拡大としては、今まで蓄積してきた「金融×IT」の開発ノウハウを生かして、通販業界への進出を進めていく予定だ。具体的には、通販事業者のECサイト(受発注、在庫管理、配送システム等)構築領域に進出する。同分野は競合も多いが、AI技術も含めて今までの開発ノウハウを生かして、売れ筋商品の分析や各種セグメンテーション分析など付加機能を加えることで差別化していく戦略となっている。営業体制については現在の新規顧客開拓専門部隊(2名)で、受注活動を進めていく。証券会社など既存事業の顧客に対しても提案も行っていく予定だ。
また、新サービスについても2021年12月期中にリリースする予定となっている。同社はauカブコム証券と2018年12月期にVR環境を用いた株式取引システムを共同開発し、プロトタイプを展示会で発表したが、今回の新サービスはこの時の開発ノウハウを生かしたものになると予想される。証券取引とは関係ない分野・業界での利用を想定しているようで、今後の発表内容が注目される。なお、これら新事業・新サービスの売上高については2021年12月期に若干程度織り込んでいるもようだ。
(2) ビジネスモデル転換
ビジネスモデル転換については順調に進んでおり、2020年12月期に初めてストック型収入が売上高の5割を超えた。まだ、売上規模が10億円強と小さいため、新規開発案件の計上時期によってその比率は変動するものの、中期的には60%台半ばの水準まで引き上げていく方針を示している。このため、新規顧客に関しては基本的にストック型モデルでの受注活動を行っている。クラウドサービス案件の増加に伴い、データセンターの運用・維持費用などは増加傾向が続くものの、売上規模の拡大とともに運用・維持費用の対売上比率は低減することが見込まれるため、中期的には収益の安定化と同時に利益率上昇につながる取り組みとして注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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