■会社概要
2. 事業内容
ピーバンドットコム<3559>は「開発環境をイノベーションする」という経営スローガンのもと、電子機器産業のエンジニアの開発における課題解決、具体的には資材調達のDX(デジタルトランスフォーメーション)によるコスト削減と利便性の高いサービスを提供する「GUGENプラットフォーム」の運営を行っている。このなかでも中核を占めるのが、プリント基板の製造・設計・実装サービスのECサイトとなる「P板.com」となる。
プリント基板の製造・設計・実装に関してはすべて外部委託で、同社はファブレス企業である。プリント基板の委託製造先は国内外に30社程度ある。「P板.com」を通じて受注したプリント基板を生産委託先から調達し、顧客に販売している。プリント基板の種類としては、両面板や4層の多層リジット基板が大半を占めるが、2019年以降はLED照明や自動車電装などで使用されるメタル放熱基板や、5G基地局向けなどで使用される100層までの超多層版などのサービスも開始するなどラインアップを拡充している。
製造サービスにおける生産委託先は、顧客からの様々な要求に対応するべく、国内や海外の生産委託先のそれぞれの得意分野を生かし、使い分けている。また、設計に関しては国内の基板設計会社3社に、部品実装に関しても国内工場に生産委託している。各サービスの売上構成比では、プリント基板製造が6~7割、設計が約1割、部品実装が2~3割となっている。設計サービスの比率が低いのは、顧客自身で設計までを行うケースが多いためだ。標準的な発注から納品までのリードタイムは、設計で3日、基板製造で5日、部品実装で3日となっており、平均納期遵守率は毎年99%以上を達成している。
「P板.com」のユーザー数については毎年増加しており、2020年12月末で60,478人、利用企業社数ベースでは約2.4万社となっている。また、業界別売上高では自動車やFA機器・通信機器・医療機器・OA機器・家電など特に偏りなく幅広い業界に顧客が分散しているのが特徴だ。なお、同社では小ロット品や中ロット品までを販売ターゲットとしている。月産数万枚以上の大量生産品になると、価格面での優位性がなくなり収益性も低くなるためだ。
3. 事業リスク
事業リスクとしては、為替変動が業績に与える影響と類似企業の台頭などが挙げられる。まず、為替変動リスクに関しては、売上原価に占める輸入品(プリント基板製造)の比率が約5割と高いため、急激な円安となった場合は仕入コストの上昇につながる。しかし、同社では国内外に複数の仕入先を有する同社の優位性を生かし、為替変動により円安に大きく振れた場合には、国内仕入れの比重を増やすことによって値上げを緩和させているため、基本的には影響をほとんど受けない。また、円安になってサービス価格が上昇したとしても、国内のプリント基板メーカーと比較すると価格面での優位性が保たれること、海外の競合と比べると為替変動は同じ条件であることから影響は軽微であると弊社では考えている。なお売上原価は、ファブレス企業であるためほぼ仕入品などの変動費となっており、売上原価率で見ればここ数年は65~67%の間で安定して推移している。
もう1つのリスク要因としては、類似サービスを行う企業が台頭し、競争が激化する可能性が挙げられる。現在、プリント基板のEC販売を行う日系企業はないが、中国企業で、納期が1週間と同社よりも2日ほど長いものの、同社よりも低料金でサービス提供する企業が2017年頃から出てきている。こうした企業が試作・小ロット用基板の一部需要を侵食しているものと見られ、同社の売上成長率が2018年以降やや減速している一因にもなっているようだ。同社では品質やデリバリー体制に加えて、設計や部品実装などを含めたワンストップ・ソリューションサービスとして提供すること、そして受注可能なプリント基板の種類を拡充することで幅広い顧客ニーズに応え、差別化を図っていく戦略となっている。また日系大手基板メーカーは、試作・小ロット品の市場規模が業界全体に占める比率が小さかったこと、従来のビジネスモデルでの採算が良かったことからこれまで参入がなかったが、今後EC販売に大手顧客がシフトしていくようであれば、参入してくる可能性がある。同社はそれまでに大手顧客を多く獲得し、「P板.com」の顧客基盤をさらに拡大していくことで競争力の一段の強化を図っていくことが課題になると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 事業内容
ピーバンドットコム<3559>は「開発環境をイノベーションする」という経営スローガンのもと、電子機器産業のエンジニアの開発における課題解決、具体的には資材調達のDX(デジタルトランスフォーメーション)によるコスト削減と利便性の高いサービスを提供する「GUGENプラットフォーム」の運営を行っている。このなかでも中核を占めるのが、プリント基板の製造・設計・実装サービスのECサイトとなる「P板.com」となる。
プリント基板の製造・設計・実装に関してはすべて外部委託で、同社はファブレス企業である。プリント基板の委託製造先は国内外に30社程度ある。「P板.com」を通じて受注したプリント基板を生産委託先から調達し、顧客に販売している。プリント基板の種類としては、両面板や4層の多層リジット基板が大半を占めるが、2019年以降はLED照明や自動車電装などで使用されるメタル放熱基板や、5G基地局向けなどで使用される100層までの超多層版などのサービスも開始するなどラインアップを拡充している。
製造サービスにおける生産委託先は、顧客からの様々な要求に対応するべく、国内や海外の生産委託先のそれぞれの得意分野を生かし、使い分けている。また、設計に関しては国内の基板設計会社3社に、部品実装に関しても国内工場に生産委託している。各サービスの売上構成比では、プリント基板製造が6~7割、設計が約1割、部品実装が2~3割となっている。設計サービスの比率が低いのは、顧客自身で設計までを行うケースが多いためだ。標準的な発注から納品までのリードタイムは、設計で3日、基板製造で5日、部品実装で3日となっており、平均納期遵守率は毎年99%以上を達成している。
「P板.com」のユーザー数については毎年増加しており、2020年12月末で60,478人、利用企業社数ベースでは約2.4万社となっている。また、業界別売上高では自動車やFA機器・通信機器・医療機器・OA機器・家電など特に偏りなく幅広い業界に顧客が分散しているのが特徴だ。なお、同社では小ロット品や中ロット品までを販売ターゲットとしている。月産数万枚以上の大量生産品になると、価格面での優位性がなくなり収益性も低くなるためだ。
3. 事業リスク
事業リスクとしては、為替変動が業績に与える影響と類似企業の台頭などが挙げられる。まず、為替変動リスクに関しては、売上原価に占める輸入品(プリント基板製造)の比率が約5割と高いため、急激な円安となった場合は仕入コストの上昇につながる。しかし、同社では国内外に複数の仕入先を有する同社の優位性を生かし、為替変動により円安に大きく振れた場合には、国内仕入れの比重を増やすことによって値上げを緩和させているため、基本的には影響をほとんど受けない。また、円安になってサービス価格が上昇したとしても、国内のプリント基板メーカーと比較すると価格面での優位性が保たれること、海外の競合と比べると為替変動は同じ条件であることから影響は軽微であると弊社では考えている。なお売上原価は、ファブレス企業であるためほぼ仕入品などの変動費となっており、売上原価率で見ればここ数年は65~67%の間で安定して推移している。
もう1つのリスク要因としては、類似サービスを行う企業が台頭し、競争が激化する可能性が挙げられる。現在、プリント基板のEC販売を行う日系企業はないが、中国企業で、納期が1週間と同社よりも2日ほど長いものの、同社よりも低料金でサービス提供する企業が2017年頃から出てきている。こうした企業が試作・小ロット用基板の一部需要を侵食しているものと見られ、同社の売上成長率が2018年以降やや減速している一因にもなっているようだ。同社では品質やデリバリー体制に加えて、設計や部品実装などを含めたワンストップ・ソリューションサービスとして提供すること、そして受注可能なプリント基板の種類を拡充することで幅広い顧客ニーズに応え、差別化を図っていく戦略となっている。また日系大手基板メーカーは、試作・小ロット品の市場規模が業界全体に占める比率が小さかったこと、従来のビジネスモデルでの採算が良かったことからこれまで参入がなかったが、今後EC販売に大手顧客がシフトしていくようであれば、参入してくる可能性がある。同社はそれまでに大手顧客を多く獲得し、「P板.com」の顧客基盤をさらに拡大していくことで競争力の一段の強化を図っていくことが課題になると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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