株式会社デュアルタップ/代表取締役社長 臼井貴弘氏
競合多き投資マンション事業の優位性とは、海外急成長でマレーシア上場も狙うデュアルタップの臼井貴弘社長に聞く
株式会社デュアルタップ/代表取締役社長 臼井貴弘 氏
デュアルタップの臼井社長がいう。若者や女性を中心に人気なデザインマンション「XEBEC(ジーベック)」シリーズを提供する同社。「XEBEC(ジーベック)」は、99.4%という高い平均入居率を誇る(2020年6月期)。また、マレーシアを中心に海外展開にも注力する同社臼井社長にデュアルタップの強みと今後のビジョンについて伺った。
1.29歳の若さでデュアルタップを創業
2.デュアルタップの3つの事業の柱
3.海外事業にも期待大
4.医・食・住・遊を備えた多角的展開を目指す
5.会社概要
杉本:臼井社長は、光通信のご出身なのですね。
臼井:はい。新卒で光通信に入社しました。その当時の光通信の入社倍率はかなり高く、250人が入社試験を受けて、採用されるのは10人程度とかなりの狭き門でした。
杉本:光通信では、どのような業務に従事されたのですか。
臼井:光通信で2年間ほど営業に従事しました。光通信では、営業の基本を徹底的に学びました。その時期には、経営者の書いた本を読む機会も多かったのですが、その中にとても印象に残っている本があります。障がいを負った筆者が両親のサポートを受けながら14歳で起業するという内容です。起業を意識したのはこのタイミングです。また、光通信を辞めた後に不動産業界に入っていくわけですが、不動産業界を意識した一つの理由は、私の祖父が亡くなった折、祖父宅が売りに出されるのを間近で観ていて、興味をもったことが大きかったと思います。
杉本:御社の事業内容を教えてください。
臼井:当社主力商品である「XEBEC(ジーベック)」の企画・開発・販売を行う「不動産販売事業」、安定したストックモデルである「不動産管理事業」、今後の注力分野である「海外不動産事業」で構成されております。
杉本:ありがとうございます。売上比率的に「不動産販売事業」がメインですね。
臼井:はい。連結売上高の凡そ80%弱、営業利益で70%強を占めるのが「不動産販売事業」です。
(株式会社デュアルタップ2020年6月オンライン説明会資料より)
杉本:どのような収益モデルですか?
臼井:投資用マンション「XEBEC(ジーベック)」の企画・開発・販売・管理までワンストップで行う総合不動産業です。不動産販売事業では、「東京23区・駅近・高機能」のマンション「XEBEC(ジーベック)」の企画・開発・販売までを手掛けております。不動産管理事業では、その販売物件のオーナー様より管理委託を受けています。賃料収入を保証するサブリース事業、賃料査定・テナント募集・賃貸契約締結・賃料集金・修繕・退去時精算等を代行する賃貸管理業務、マンションの共用部分の維持・管理を受託するマンション管理業務が主な内容です。
杉本:投資用不動産の開発や販売を行う会社は他にも多くあると思いますが、他社と比較して、入居率が高いと思います。御社の比較優位性を教えてください。
臼井:他社との差別化要因は、①東京23区で、かつ駅から徒歩10分圏内という立地条件、②高いデザイン性を備えた高品質な物件、③賃貸管理・建物管理まで一貫して行うことで価値が下がらないことが最大の要因です。特に、当社の場合、物件の開発責任者は女性が務めており、女性視点から生み出される付加価値も当社マンションの優位性の源泉の一つです。
杉本:女性の開発責任者ですか。この業界では珍しいですね。
臼井:そう思います。細かな点かもしれませんが、多少コストが掛かってもセキュリティ、キッチン、収納スペースを充実させたり、25平米前後の部屋でも間取りを工夫して食事を摂るダイニングと居室を仕切れるようにしたり、そういった視点は女性ならではの感性かもしれません。「XEBEC」シリーズは資産運用に適したマンションとして、入居率を高める仕様にこだわっています。一般的な分譲マンションは、エアコンや居室の照明器具は標準で備えられていませんが、「XEBEC」シリーズでは、「高級賃貸マンション」としての性格性から標準仕様としています。エントランスのオートロックやモニターフォン、ハンズフリー解錠、浴室の追い炊き機能、大理石カウンタートップを採用して調理スペースも広く確保したキッチンなど、人気の設備を取り入れています。窓まわりでは遮音性能の高いガラスを採用し、隣戸との境となる戸境壁も遮音性能を高めるつくりとするなど、暮らしやすいマンションになるよう、音にも配慮した設計です。また、Wi-Fi標準装備はもちろんのこと、業界で先駆けてIoT機能を備えたシーリングライトを導入するなど、時代に即した仕様のマンションを開発しています。「XEBEC」シリーズは、人気の設備を備えたマンションとして最適化された仕様であることでも、収益物件としての優位性を持っています。
杉本:ありがとうございます。日本不動産研究所の調査では、コロナ禍においても投資家意識には、大きな変化がないように思いますが。
(一般財団法人日本不動産研究所第43回「不動産投資家意識調査」(2020年10月現在)の調査結果
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/kohyou20201125.pdf)
臼井:そうですね。中期方針でも掲げておりますが、やはりコロナの影響を背景とした不動産市況の不確実性・社会状況を考慮して、慎重な仕入を心掛けています。今後も感染症の再拡大による活動制限や自粛要請により経済が低迷する恐れがあり、購入需要への影響が一定程度継続する可能性がありますが、中長期的には、企業とマンションのブランド価値向上を図りつつ、既存の顧客基盤を生かして事業拡大を目指します。
杉本:海外事業にも注力されていくとの事ですが、お話頂ける範囲で詳細をお聞かせください。
臼井:当社内で最も成長ポテンシャルがあると考えている分野です。①マレーシア現地法人での建物管理事業、②東南アジアの海外富裕層に向けたインバウンド事業、③国内投資家に向けたアウトバウンド事業、④マレーシア経済特区への日本企業誘致を展開しています。
杉本:マレーシアですか。確かに、経済成長著しい国ですね。
臼井:当社では、マレーシア現地法人で建物管理事業を展開しております。マレーシアの建物管理事業は、特にこの1年で管理戸数が1.5倍に急成長しました。順調に黒字化し、新たな事業フェーズへ突入したと考えております。管理事業ですので、不動産物件の価格の変動リスクはありません。
(株式会社デュアルタップ第14期報告書より)
日本の高品質な建物管理方法を持ち込み、優秀な人材が定着したことが急成長の要因です。現在はマレーシア第二の都市であるジョホール州において、上位3社に入る規模の管理会社に成長しました。今後は長年培った人に根付いた信用と管理戸数10,000戸以上のスケールを利用して事業展開を進め、さらなる収益拡大を見込んでおります。
杉本:なぜマレーシアを選ばれたのですか。
臼井:ASEAN諸国は経済成長が著しく、若年層の多い人口ピラミッドの国が多くを占め、賃貸市場は将来に渡って有望視されています。ASEAN諸国でのマンション投資では、6~8%程度の利回りが見込めます。中でもマレーシアは、「ロングステイ希望国」10年連続NO.1(ロングステイ財団による)に選ばれるほどの人気国で、英語圏、安全な国として日本人の海外移住先としてとても人気です。マレーシアへの移住はセミリタイア層だけではなく、長期留学先としても注目されています。インターナショナルスクールへの留学として母子留学が人気で、イギリスのパブリックスクールが姉妹校をマレーシアに設置しています。当社では、長期滞在査証「マレーシア・マイ・セカンドホームプログラム(MM2H)」の取得サポートも対応しております。法制度が整っており、アジアでは珍しく土地の所有権が持てる点もマレーシアを選んだ一因です。また、当社が今力を入れているのが日本企業のマレーシア進出支援です。外資系企業を誘致する経済特区があり一定の条件を満たすと10年間の法人税が免除される等の制度があります。不動産投資、海外移住先、企業のアジア進出先として、マレーシアには様々なビジネスチャンスがあると考えています。
杉本:ありがとうございます。
臼井:あと、海外事業の責任者もマレーシア出身者で事業展開がしやすいというのも同国を選んだ一因です。海外事業では、ローカルでの建物管理事業に加えてインバウンドもアウトバウンドもあります。
杉本:マレーシアでの上場をお考えだとか。
臼井:そうですね。政府と連携した仕事も予定されており、急拡大しそうな状況ですのでマレーシア市場での上場も視野に入れております。
杉本:今後のビジョンをお聞かせください。
臼井:医・食・住・遊を備えた多角的展開を目指していきたいです。
当社の経営理念は、「笑顔創造企業」です。「不動産を持っていてよかった」。お客様にそう思っていただくために、デュアルタップは“不動産を通じての知的エンターテインメント”をご提案いたします。「エンターテインメント」を“相手が笑顔になること”と意味付け、不動産の販売を通じてお客様の幸福に貢献したいと思っています。そしてこれを企業理念として掲げ、これからも一人でも多くの方の笑顔を創造し、さらなるお客様の発展をお約束いたします。
杉本:本日は、貴重なお時間ありがとうございました。
臼井:こちらこそ、ありがとうございました。
会社名 | 株式会社デュアルタップ |
証券code | 東証2部 <3469> |
代表者 | 代表取締役社長 臼井貴弘 |
略歴 | 1996年に東京証券取引所第一部の総合情報通信会社に入社。2000年に不動産売買・仲介会社の大手に入社し、不動産のアセット・プロパティマネジメント事業の営業部門取締役に就任する。2006年8月に株式会社デュアルタップを設立、代表取締役社長就任。 2011年に賃貸仲介事業の株式会社Dualtap Property Managementを、2012年に海外不動産事業の株式会社デュアルタップインターナショナル、2015年に株式会社デュアルタップ合人社ビルマネジメント、2017年に株式会社デュアルタップコミュニティを設立し、各社の代表取締役 及びマレーシア建物管理会社Dualtap Building Management Sdn. Bhd. のDirectorを歴任。 |
所在地 | 東京都品川区西品川一丁目1番1号 住友不動産大崎ガーデンタワー12階 |
設立 | 2006年8月 |
事業内容 | 東京23区を中心に主として資産運用型マンション「XEBEC(ジーベック)」の企画、開発、販売を行う。海外不動産投資の仲介、管理業務も注目される。 |
資本金 | 216,698千円(2020年6月30日現在) |
決算期 | 6月 |
URL | https://www.dualtap.co.jp/ |
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