S&P500月例レポート(21年1月配信)<後編>

<前編>の続き

新型コロナウイルス関連

 ○感染状況等:

  ⇒世界的に感染の急拡大が続いており、感染者数が増加し、ロックダウン措置を再導入する国が増えています。米国では累計感染者数が2000万人(11月は1350万人、10月は900万人)に達しました(世界の感染者数は8360万人。11月は6320万人、10月は4550万人)。また、米国の死者数は34万6000人(同26万8000人、同23万人)、世界全体の死者数は182万1000人(同146万6000人、同118万7000人)となりました。米国では1日の新規感染者数の過去最多記録が何度も更新されて28万541人(11月の記録は20万5460人)に達し、新規感染者数の7日間平均も過去最多の21万8633人となりました(同16万2681人)。

 ○ホワイトハウスで開かれた「ワクチン・サミット」で、トランプ大統領はワクチンについて、輸出よりも米国民への接種を優先させる大統領令に署名しました。ワクチン・サミット自体は国民に対する演出のようにも見えました。

 ○英国では新型コロナウイルスの変異種が確認されたことでロックダウンが再導入されたほか、40ヵ国が英国との渡航制限に踏み切りました。

  ⇒12月末には米国でも変異種が確認されました。

 ○新型コロナウイルスの治療薬と治療法、そして夢の万能薬に関連して、市場では従来のMerger Monday(M&Aのニュースを受けて月曜日に相場が動くことが多い)からVaccine Mondayに取って代わりました。

  ⇒英国はPfizer(PFE)とBioNTech(BNTX)が共同開発したワクチンの国民への接種を開始しました。まずは80万回分のワクチンが確保され、80歳以上の高齢者を対象としています。

  ⇒米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会がPfizer/BioNTechのワクチンの承認を支持したことを受け(賛成19、反対4、棄権1)、米国内での普及のタイミングをめぐり懸念が浮上したことから、FDAは同ワクチンをすぐに承認しました。

   →12月下旬にはModerna(MRNA)のワクチンについてもFDA諮問委員会が支持し、その後FDAが承認しました。

  ⇒英国はAstraZeneca(AZN)とオックスフォード大学が共同開発したワクチンを承認し、1億回分を発注しました(1人当たり2回の接種が必要)。AstraZenecaは、2021年に30億回分のワクチンを生産する計画を明らかにしました。1回のコストは3~4ドルです。実際の「接種」は2021年1月第1週に開始される見通しです。

  ⇒世界全体でこれまでに1030万回分のワクチンが投与されました(米国は320万回)

各国中央銀行の動き

 ○地区連銀経済報告(ベージュブック)は、概ね経済の緩やかな拡大を示しましたが、感染拡大によりロックダウンが再導入され、雇用に影響が及んでいる地域では景気減速が示唆されました。

 ○10月の求人労働異動調査(JOLTS)求人件数は予想の649万4000件を上回る665万2000件となり、9月の643万6000件から増加しました。

 ○FOMCは政策を据え置き、雇用とインフレに関する「目標達成に向けて一層の大幅な進展が見られるまで」、国債を800億ドル、モーゲージ債を400億ドルとする月間の資産買い入れ規模を「向こう数ヵ月間」は継続する意向を明らかにしました。米連邦準備理事会(FRB)はまた、FOMCメンバーの大半が2023年まで金利がゼロ付近にとどまると予想していることを明らかにしました。

  ⇒パウエルFRB議長は記者会見の中で、追加の財政支援(経済支援策)に関する議会への要請を再び行いました。

 ○FRBは、ストレステストの結果に基づき、国内の銀行が配当だけでなく、自社株買いを通じても株主に利益を還元することを承認したことを明らかにしました。

  ⇒これを受けてJPMorgan Chase(JPM)は、300億ドル相当の自社株買いを承認し、2021年第1四半期に自社株買いを開始する意向を明らかにしました。

企業業績

 ○S&P 500指数構成銘柄の499社が第3四半期決算発表を終え、決算シーズンが終了しました。499銘柄のうち84.0%(過去平均は67%)に当たる419銘柄で利益が予想を上回り、64銘柄が予想を下回り、16銘柄が予想通りという結果でした。予想を上回った銘柄の割合が高かった一因として、2020年第3四半期の利益予想が2019年末時点から2020年9月末までの間に29.9%引き下げられていたことも寄与しました。売上高に関しては、498銘柄のうち77.5%に相当する386銘柄が予想を上回りました。

 ○2020年第3四半期の利益は、速報値に基づくと、前年同期比では4.8%の減益ですが、前期比では41.5%の増益で利益予想(年初から9月末までで29.9%引き下げられています)を上回っています。これを反映して、2020年第3四半期の利益予想は期末時点から18.3%引き上げられました。

 ○決算期がずれている13社が第4四半期決算を終え、13銘柄すべてで利益が予想を上回り、13銘柄中11銘柄で売上高が予想を上回りました。第4四半期の利益予想は9月末から1.5%上方修正され、前期比4.9%の減益、前年同期比では8.0%の減益が予想されています。

 ○その結果、2020年の予想EPSは23.5%の減益となり、それに基づく足元の予想株価収益率(PER)は31.2倍となっています。

 ○2021年については、企業利益は大幅に増加して過去最高を更新する見通しで、2020年比で36.7%増益(2019年比で4.6%増益)が見込まれており、2021年の予想PERは22.8倍となっています。

個別銘柄

 ○アメリカン航空(AAL)は他社に先駆けて20ヵ月間にわたり運航停止となっていたボーイング(BA)の旅客機「737 MAX」の運行を再開しました。これとは別にボーイングは欧州の航空会社Ryanairから「737 MAX」75機を受注したことを明らかにしましたが、これは運航停止後で初の受注となります。

 ○米連邦取引委員会(FTC)は46州と共同で、ソーシャルメディア大手Facebook (FB)を独占禁止法違反の疑いで提訴しました。同社が潜在的脅威となるライバル企業を買収によって排除したと主張しています。

 ○米国の38州が検索エンジンサイト大手Google(Alphabet傘下、[GOOG/L])に対し、独占禁止法違反として訴訟を起こしました。同社がオンライン検索市場を違法に独占していると訴えています。

 ○報道によると、iPhoneメーカ―Apple(AAPL)は2024年までに自動運転車(iCar)の生産を目指す「Project Titan」を進めており、新たな‘i’製品の投入を計画しているとのことです。

 ○航空機メーカーBoeing(BA)は2019年3月以降停止していた「737 MAX」の商業運航を再開しました。

 ○好調続く「高騰銘柄」

  ⇒Tesla(TSLA)の大商いが続きました。年初からの上昇率は730%に達し、利食い売りの動きも見られました(同社は12月にS&P 500指数の構成銘柄に追加)。

  ⇒仮想通貨ビットコインは史上最高値となる2万9244ドルを付け、年初来から300%上昇して2万8763ドルで取引を終えました(2019年末は7194ドル)。

注目点

 ○石油大手Exxon Mobil(XOM)は、2021年に従業員の15%削減と戦略的重要性の低い資産の一部売却を計画していると発表しました。採用する会計処理にもよりますが、2020年第4四半期に計上する減損費用(キャッシュ支出がなく税引き後)は170億~200億ドルとなり、S&P 500指数の1株当たり利益は2.41ドル減少する可能性があります。また、同業のChevron(CVX)も2021年の設備投資を26%削減して140億ドルとし、それ以降2025年までは毎年160億ドル以下に抑えることを明らかにしました。

 ○米国家計部門の2020年第3四半期の純資産は123.5兆ドルとなり、過去最高を記録しました(S&P 500指数の時価総額は約30兆ドル)。背景には株価と住宅価格の上昇がありました。

 ○バー司法長官は2021年1月21日の大統領就任式を待たず、12月23日付で辞任することを明らかにしました。

 ○中国の規制当局は、独占禁止法違反の疑いでEコマース企業Alibaba(BABA)に対する調査を開始しました。なお、11月には関連企業のAnt Groupの上場延期が命じられていました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは電気自動車メーカーTesla(TSLA)をS&P 500指数に追加し、不動産企業American Investment and Management (AIV)を除外しました。

  ⇒S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはS&P MidCap 400指数の構成銘柄である太陽光発電関連メーカーEnphase Energy(ENPH)を2021年1月7日の取引開始前にS&P 500指数に追加し、仏LVMH Moet(LVMHF)に買収された宝飾品大手Tiffany & Co(TIF)を同指数から除外すると発表しました。

利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年国債利回りは11月末の0.85%から0.92%に上昇して月を終えました(2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは11月末の1.57%から1.65%に上昇して取引を終えました(同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは11月末の1ポンド=1.3329ドルから1.3673ドルに上昇し(同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは11月末の1ユーロ=1.1929ドルから1.2182ドルに上昇しました(同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は11月末の1ドル=104.31円から103.24円に上昇し(同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は11月末の1ドル=6.5789元から6.5330元に上昇しました(同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は11月末の1バレル=45.06ドルから48.42ドルに上昇して月を終えました(同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、11月末の1ガロン=2.211ドルから2.330ドルに上昇して月末を迎えました(同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は11月末の1トロイオンス=1780.00ドルから上昇して1901.60ドルで月の取引を終えました(同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は11月末の20.57から22.75に上昇して月を終えました。月中の最高は31.46、最低は19.97でした(同13.78、同16.12、同11.05)。

  ⇒2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

世界の株式市場

 ○新規感染者数の急増やロックダウンにもかかわらず、新型コロナウイルスのワクチンが承認されたことを背景に、12月の世界の株式市場は、前月の大幅上昇の流れを引き継いで幅広い値上がりが見られました。この結果、2020年の株式市場は2桁の上昇で取引を終えました(しかし、米国を除くと2桁には届きませんでした)。12月は50市場中の49市場が上昇しました。11月は50市場全てが上昇(10月は12市場)したため、上昇市場の数は僅かですが減少しました。米国市場は先月に続いてグローバル市場に対してアンダーパフォームとなりましたが、2020年通年では大幅にオーバーパフォームしました。

 ○世界の株式市場は11月に12.63%と大幅上昇した後(米国の12.03%の上昇を除くと13.39%の上昇)、12月には4.86%上昇しました(米国の4.35%の上昇を除くと5.49%の上昇)。10月は2.20%の下落でした(米国の2.22%の下落を除くと2.18%の下落)。第4四半期は15.50%上昇(米国の14.31%上昇を除くと17.00%の上昇)、年間では、世界の株式市場は14.34%上昇し、米国の18.68%上昇を除くと9.36%の上昇となっています。より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。過去2年間では、グローバル市場は41.38%上昇しましたが、米国の52.42%上昇を除くと29.47%の上昇でした。過去3年間ではグローバル市場は24.64%上昇し、米国の41.71%上昇を除くと7.80%の上昇でした。

  ⇒2016年11月8日の大統領選挙以降では、グローバル市場は56.32%上昇しましたが、米国の77.69%上昇を除くと35.17%の上昇でした。

  ⇒2020年11月3日の大統領選挙以降では、グローバル市場は14.53%上昇しましたが、米国の13.29%上昇を除くと16.08%の上昇でした。

 ○12月のまとめ

  ⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は3兆3750億ドル増加しました(11月は7兆3980億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は1兆6690億ドル(同3兆4670億ドル)、米国市場は1兆7050億ドル増加しました(同3兆9340億ドル増)。

  ⇒新興国市場は12月に5.99%上昇し(11月は8.79%上昇)、過去3ヵ月では17.55%上昇、2020年は12.68%上昇しました。

  ⇒先進国市場は12月に4.71%上昇し(11月は13.16%上昇)、米国を除くと5.31%の上昇(同15.11%上昇)となっています。過去3ヵ月では15.24%上昇(同6.38%上昇)、米国を除くと16.81%上昇(同8.14%上昇)、年間では14.54%上昇、米国を除くと8.26%の上昇となりました。

 ○12月は先月と同様に11セクターが揃って上昇し、セクター間のばらつきは縮小しました(10月は2セクターが上昇)。パフォーマンスが最高のセクター(素材、7.44%上昇)と最低のセクター(不動産、2.49%上昇)の騰落率の差は4.96%と(過去1年間の平均は11.55%)、11月の19.14%と10月の7.07%から縮小しました。

 ○新興国市場は12月に5.99%上昇しました。11月は8.79%の上昇、10月は1.94%の上昇でした。過去3ヵ月間では17.55%の上昇、2020年通年では12.68%の上昇となりました。過去2年間では31.17%上昇、過去3年間では10.32%上昇しています。

  ⇒12月は25市場中の24市場が上昇しました。11月の全市場上昇には及びませんでしたが、10月の9市場を上回りました。コロンビアのパフォーマンスが最も良好で21.58%上昇と反発しました。第4四半期は41.93%の上昇となりましたが、2020年は17.95%の下落にとどまっています。次いでパフォーマンスが良かったのはトルコで12月は20.15%上昇、第4四半期は32.20%の上昇となりましたが、年間では0.59%の下落となりました。3番目にパフォーマンスが良かったのがブラジルで、12月は12.79%上昇、第4四半期は35.84%上昇したものの、年間では18.95%の下落となりました。

 パフォーマンスが最低だったのはエジプトで(BMI指数採用国の中で唯一12月に下落しました)2.20%下落し、第4四半期は3.871%下落、通年でも22.41%の下落となりました。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはサウジアラビアで0.11%の上昇、第4四半期は6.58%上昇、2020年通年では2.97%上昇しました。3番目はカタールで1.26%上昇、第4四半期は2.44%上昇、年間では4.04%の下落となりました。

 ○先進国市場は10月の2.74%下落、11月の13.16%上昇の後、12月は全体で4.71%上昇しました。米国を除くと、5.31%の上昇(11月は15.11%の上昇、10月は3.64%の下落)でした。先進国市場は過去3ヵ月間では15.24%の上昇(米国を除くと16.81%の上昇)、2020年は14.54%の上昇(同8.26%の上昇)となりました。過去2年間では42.60%の上昇(同28.73%の上昇)、過去3年間では26.38%の上昇(同6.76%の上昇)でした。

  ⇒12月は11月と同様に(10月は3市場)、25市場全てが上昇しました。パフォーマンスが最高となったのは韓国で14.57%上昇し、第4四半期は34.53%の上昇、年間では44.14%の上昇となりました。2番目はルクセンブルグで12.88%上昇し、第4四半期は38.59%上昇、年間では13.10%上昇しています。3番目はポルトガルで11.26%上昇し、第4四半期は25.02%の上昇、年間では5.98%の上昇となりました。

 パフォーマンスが最低だったのはベルギーで2.45%上昇し、第4四半期は16.60%上昇、年間では7.45%下落しています。これに続いたのがスぺインで2.46%上昇し、第4四半期は25.13%の上昇、年間では7.51%の下落となりました。3番目はフィンランドで2.70%上昇し、第4四半期は11.16%上昇、年間では18.16%上昇しています。

   →注目すべき点として、ドイツは6.33%の上昇(第4四半期は12.46%上昇、年間では10.42%上昇)、英国は5.94%の上昇(同18.05%上昇、同11.54%上昇)、日本は3.97%の上昇(同13.50%上昇、同10.38%上昇)、カナダは3.50%の上昇(同13.91%上昇、同4.48%上昇)でした。

インデックス・レビュー

S&P 500指数

 S&P 500指数は12月に3.71%上昇して3756.07で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス3.84%)。11月は3621.63で月を終え、10.75%の上昇(同プラス10.95%)、10月は3269.96で月を終え、2.77%の下落(同マイナス2.66%)となりました。過去3ヵ月間では11.69%上昇(同プラス12.15%)、2020年1年間では16.26%上昇(同プラス18.40%)、コロナ前の2月19日の終値での高値からは10.92%上昇しました(同プラス12.68%)。

 ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は12月に3.27%上昇して3万0606.48ドル(終値での最高値)で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス3.41%)。11月は2万9638.64ドルで月を終え、11.84%の上昇(同プラス12.14%)、10月は2万6501.60ドルで月を終え、4.61%の下落でした(同マイナス4.52%)。過去3ヵ月間では10.17%上昇(同プラス10.73%)、2020年1年間では7.25%上昇となりました(同プラス9.72%)。

 S&P 500指数の12月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は11月の1.23%から0.83%に低下しました。2020年は1.72%と2019年の0.85%から上昇し、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。出来高は前月比24%増加した11月から14%減少しましたが(営業日数調整後)、前年同月比では27%増加し、2020年通年でも前年比39%増加しました。12月の前日比で1%以上変動した日数は22営業日中2日となりました(上昇が2日、下落はゼロ。2%以上上昇した営業日はゼロ)。2020年通年では109日(上昇が64日、下落が45日)、2019年は37日(上昇が22日、下落が15日)でした。12月は22営業日中4日で日中の変動率が1%以上となり(11月は20営業日中14日)、3%以上変動した営業日はありませんでした(11月もゼロ)。2020年通年では158日(11月末時点は154日)で日中の変動率が1%以上、34日(同34日)で3%以上となりました。2019年はそれぞれ1%以上の変動が73日と3%以上の変動が1日、2018年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

 12月は、各セクターのパフォーマンスは引き続き好調となり、2ヵ月連続で11セクター全てが上昇しました(10月は2セクターのみ)。金融が6.05%上昇して騰落率首位となりました。同セクターは、第4四半期は22.52%上昇と反発しましたが、年間では4.10%の下落にとどまりました。2番目は情報技術で12月に5.68%上昇し、第4四半期は11.52%上昇、年間では42.21%の上昇(騰落率首位)となりました。ヘルスケアは3.74%上昇し、第4四半期は7.55%上昇、年間では11.43%上昇しました。エネルギーも4.27%上昇し、第4四半期は25.78%上昇と反発しましたが、年間では37.31%の下落にとどまり、S&P 500指数の中で騰落率最下位となりました。一般消費財は2.45%上昇し、第4四半期は7.86%の上昇、年間では32.07%上昇となり、生活必需品は1.45%上昇し、第4四半期は5.64%の上昇、年間では7.63%の上昇となりました。騰落率最下位となったのは公益事業で0.42%上昇し、第4四半期は5.70%の上昇、年間では2.83%の下落でした。

 12月は、差は縮まったものの、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を依然として上回りました。12月の値上がり銘柄数は367銘柄(平均上昇率は6.52%)と、11月の467銘柄(同15.87%。10月は212銘柄で同6.23%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数も78銘柄(同14.61%)と、11月の297銘柄(同21.78%。10月は46銘柄で同14.87%)から減少し、25%以上上昇した銘柄数も2銘柄と、11月の90銘柄(10月は2銘柄)から減少しました。

 一方、値下がり銘柄数は138銘柄(平均下落率は2.69%)と、11月の38銘柄(同3.84%)から増加しました(10月は292銘柄で同5.83%)。10%以上下落した銘柄数はゼロと、11月の3銘柄(同11.22%。10月は38銘柄で同13.27%)から減少し、25%以上下落した銘柄はありませんでした(11月、10月もゼロ)。過去3ヵ月間では、値上がり銘柄数は434銘柄(平均上昇率は22.01%)と11月末時点の380銘柄(同15.64%。10月末時点は256銘柄で同10.73%)から増加した一方、値下がり銘柄数は71銘柄(平均下落率は同5.00%)と、11月末時点の123銘柄(同6.26%。10月末時点は246銘柄で同9.35%)から減少しました。
 
 2020年通年では、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は拡大しました。値上がり銘柄数は299銘柄(平均上昇率は31.00%)と、11月末時点の278銘柄(同25.92%。10月末時点は196銘柄で同22.30%)から増加し、10%以上上昇した銘柄数も225銘柄(同39.41%)と11月末時点の206銘柄(同33.47%。10月末時点は129銘柄で同31.16%)から増加し、125銘柄(同56.78%)が25%以上上昇しました(11月末時点は106銘柄で同48.88%)。
 
 一方、値下がり銘柄数は203銘柄(平均下落率は17.64%)と11月末時点の224銘柄(同19.18%。10月末時点は306銘柄で同23.89%)から減少し、10%以上下落した銘柄数も130銘柄(同24.77%)と11月末時点の150銘柄(同26.21%。10月末時点は223銘柄で同31.05%)から減少し、48銘柄(同38.57%)が25%以上下落しました(11月末時点は65銘柄で同38.20%)。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム