DEAR・L Research Memo(8):DLX-HDを子会社化し、専門性の高い人材サービスを拡大する構想

配信元:フィスコ
投稿:2021/01/05 15:18
■中長期の成長戦略

1. 人材派遣事業を行うDLX-HDを子会社化
ディア・ライフ<3245>は、2020年11月、人材派遣事業を行う持株会社DLX-HDの第三者割当増資を引き受け、子会社化することの基本合意を締結した。DLX-HDは、光通信傘下で保険サービス事業などを行うNFC-HDが2020年11月に設立した会社で、コールセンターによる保険契約の取次業務人員に特化した専門派遣を展開するN-STAFFの親会社になる予定である。

(1) 子会社化の目的
同社は創業以来、不動産業界向け人材派遣を中心に人材サービス(セールスプロモーション事業)を展開しており、現在は子会社のディアライフエージェンシーがその役割を担っている。昨今のコロナ禍において、非対面型のアウトバウンド向けコールセンターの需要は急速に伸びている。また、働き方改革やテレワークの社会的要請により、時間や場所にとらわれない柔軟な勤務形態が1つのトレンドとなっており、人材サービス事業は変革の時期を迎えている。このような環境において、同社はこれらのトレンドにマッチした人材サービス事業を協業できる先を模索してきた。NFC-HDも、非対面営業の需要の増加に応えるべく人材確保力の一層の強化、派遣事業の規模や派遣分野の更なる拡大に向け、協業先を模索しており、この度両社のニーズが一致し、今回の取り組みに至った。同社では、従来の不動産分野・対面営業の強みと保険分野・非対面営業(アウトバウンド向けコールセンター)の強みを生かしてシナジーを創出し、専門性の高い人材派遣事業を確立したい考えだ。

(2) 子会社化の方法
2020年11月にDLX-HDを設立し、DLX-HDはNFC-HDの子会社であるN-STAFFの全株式を取得する。その後、同社がDLX-HDの第三者割当増資を引き受け、51%超の持分を取得し子会社化する予定である。

(3) 業績へのインパクト
実質的には、N-STAFFの業績が今後加算されることになる。N-STAFFの2020年3月期の売上高は714百万円、営業利益は29百万円、当期純利益:33百万円であるが、この値は分社化後の業績であり、通年では売上高で20億円前後の事業規模となるだろう。本件が進行期の業績に与える影響については、現在精査中としている。

2. 強い財務基盤を背景に積極投資を継続
同社が開発プロジェクト用地及び収益不動産の仕入れを積極的に進めることができる背景には、強い財務基盤がある。財務基盤の強化は、新型コロナウイルスが発生した2020年9月期においても行われてきた。安全性の比率である、自己資本比率は54.9%(2020年9月期末)となり、前期末の51.7%からさらに上昇した。短期の安全性の指標である流動比率でみても748.3%と高い水準を維持している。

収益性・経営効率に関しても、同社の財務指標は優れており、自己資本経常利益率は20.2%(2020年9月期)となっている。また、同社がKPI(重要業績評価指標)としているROA(総資産経常利益率)に関しては10.7%(同)と、目標の10%という水準を上回っている。これらは、コロナ禍においても、資産回転の速度を上げ、経営資源を効率的に活用して、収益を確保したことを示していると言えよう。

強固な財務基盤により、積極的な投資戦略が可能となる。同社の2021年9月期の不動産事業分野の方針は「積極投資を継続し、中長期的な成長基盤の確立を目指す」ことである。より具体的には、以下の3点の重点施策となる。

(1) 単身者・ DINKS 向けマンション中心に、開発・投資事業量の拡大を継続
(2) パートナーシップ・複合施設開発等、多様なソリューションを駆使し、中大型物件への投資機会を創出
(3) 企画開発・稼働後、マーケットや全社利益等の状況を見ながら回転重視の売却を推進

2021年9月期は期初の段階で仕掛販売用不動産が8,528百万円(前期末は8,565百万円)あり、都心の不動産は過度な過熱感もなく、足元の仕入れは順調に推移する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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配信元: フィスコ

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