NYコラム(23日)ダウ平均は買い戻し優勢で取引スタートへ−米国で来月11日からワクチン接種開始か

著者:加藤裕一
投稿:2020/11/23 23:24

NY株式市場(23日)アストラゼネカのコロナワクチン治験で70%の効果確認−新型コロナ新規感染者数が過去最多を更新

23日のニューヨーク株式市場でダウ平均は買い戻し優勢で取引が始まりそうだ。

FDA=アメリカ食品医薬品局は、先週末にファイザーが緊急使用許可を申請した新型コロナワクチンの有識者会議を12月10日に開催する見通しだ。10日の会議で承認されれば、24時間以内にアメリカ国内の各州にワクチン輸送が始まり11日にもワクチン接種が始まるという。

同時にFDAは、米バイオ医薬のリジェネロン・ファーマシューティカルズが開発した新型コロナに関する抗体治療薬に緊急使用を許可したほか、製薬大手アストラゼネカはオックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスのワクチン開発をめぐり最終段階にある臨床試験で平均70%の効果が確認されたと発表。英国などで早期の実用化を目指すとしている。

23日のニューヨーク株式市場では、改めてコロナワクチンの早期実用化でアメリカ経済の正常化に期待感が高まりそうで、1日当たりの新規感染者数が20万人に迫り過去最多を更新しているアメリカ国内での新型コロナの感染第3波に対する警戒感は、概ね相殺されよう。ダウ平均は寄り付きで先週末の下げ分(219ドル)をほぼ取り戻す局面もありそうだ。

ただ、FRBは20日に新型コロナ対策として実施している中小企業向け資金供給などを年末で打ち切る方針を表明した。トランプ政権がFRBに未使用の資金を返還するよう要請したためで、引き続き、政策対応に対する不透明感は根強い相場環境となりそう。ダウ平均は、朝方の買い一巡後は上値の重さが強く意識されそうな1日となる。

加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想