今週も、引き続き先物主導の上昇のため反動安に注意

著者:出島 昇
投稿:2020/11/09 18:42

先週は、バイデン勝利で決着がつくという見方から連日の大幅上昇続く

 先週は、私もそうですがほとんどの市場関係者が、バイデン有利であるもののトランプの追い上げで勝負はどうなるか分からないという見方から、勝負の方向性がみえてから投資すべきで様子見が基本でした。市場は、どちらが勝っても追加の経済対策が行われるとの見方や途中からバイデン勝利という見方が強まり、米国では週初めからNYダウが大幅上昇を続け4日続伸となり、日経平均も連動して4日続伸(休日を1日挟む)となりました。特に11月5日(木)には、日経平均は9ヶ月ぶりに24000円乗せという予想外に早い結果となりました。先月に11月は高値をつける可能性が高いとしていました。

 11月2日(月)は、前週末の▲354円の22977円という大幅続落の反動で△133円の23110円で寄り付き、時間外の米株先物の上昇にサポートされ、前場は一時△393円の23370円まで上昇しました。買い一巡後は、いったん上値が重くなるものの、後場には米株先物高に支えられ△318円の23295円で引けました。

 3日(火)は文化の日で休場で、翌日の4日(水)は、米国株式は月、火と連騰し、NYダウは△423ドルの26925ドル、△554ドルの27480ドルと2日連続の大幅高となったことで、日経平均も△324円の23619円で寄り付き、一時△506円の23801円まで上昇し、終値でも△399円の23695円となりました。

 5日(木)は、前日の米国市場ではバイデンの勝利を見通しに、NYダウは△367ドルの27847ドルと続伸し、これを受けて日経平均は、時間外の米株先物高を受けて、1月22日以来9ヶ月ぶりに24000円台を回復しました。大引け前には△417円の24112円まで上昇して、終値は△410円の24105円と引け値でも24000円台回復となりました。フシ目の24000円を軽く突破したことで、現在の金余りの状況を考えると当面、調整を入れながらの堅調な動きが継続するという市場の見方が大勢となります。

 6日(金)は、前日の米国市場で、NYダウが△542ドルの28390ドルをはじめ3指標そろって大幅上昇が続いたことで、日経平均は連日の年初来高値更新のため、▲29円の24076円と売り先行でスタートしました。しかし、すぐに反発に転じ、後場には一時△283円の24389円の高値をつけ、終値では△219円の24325円と4日続伸し、2018年10月2日のバブル崩壊後の高値(終値で24270円)を更新し、29年ぶりの高値水準となりました。

 日本市場の引け後の6日(金)の米国市場は、マチマチの動きとなりました。マイナス材料は選挙の結果を巡る不透明感と感染者が過去最大を記録し、上院選挙で共和党が勝利を確定し、ネジレ議会が解消しなかったことです。一方で10月の雇用統計では失業率が6.9%と前月の7.9%、市場予想の7.7%を改善し、非農業部門雇用者数も+63.8万人と予想の60.0万人を上回りました。NYダウは▲66ドルの28323ドル、ナスダックは△4Pでした。

今週も、引き続き先物主導の上昇のため反動安に注意

 先週の予測では、大統領選に決着がつかず長引く可能性があるので、結果を待って様子見に徹するとしました。日経平均は10月30日(金)は▲354円の22977円と23000円を割り込み75日移動平均線を切って下放れの懸念が生じました。しかし、11月になると米株式がバイデン勝利の見切り発車で4日連続の大幅高(NYダウは1800ドル上昇)となり、日経平均も連動して休日をはさんだ4日間で1300円超えの上昇となりました。チャートは一転して23000円台から前週末とは逆の「上放れ」となり、バブル崩壊後の最高値2018年10月2日の24448円を試す形となりました。さらにバイデン氏の勝利の確率が高まれば、もう一段高が期待できますが、上昇が大きくなればなるほど反動安に注意が必要となります。

 先週の上昇は、市場関係者のほとんどが大統領選の決着が長引くシナリオになることを懸念していましたが、世界同時株高となりました。それでは何の好材料が出たのかいうとそうでもなく、大統領選の結果に備えて急落した場合を考えて先物やデリバティブが様子見となっていましたが、イベントが無事に通過したことで買い戻しを急いだという見方があります。目先は24448円の突破を目指すものの、先物主導の上昇であることを考えると急騰は長く続かないといえます。まして日経平均は週末の6日(金)は為替が103円台の半ばへと1円以上も円高になったのに無視して上昇を続けており、長く続くはずがありません。スピード調整の反動安が予想され、新規の買いはその局面を待って安くなったところを押し目買いし、上昇すれば早目に吹き値売りをするという戦術がよいでしょう。

 本日9日(月)は、時間外の米株先物の上昇に加え、日本でも先物の買戻し、オプションのコール(買う権利)の売り手側のヘッジ買いが指数を押し上げたようだといわれています。需給面での影響が強く、明らかに行き過ぎと思われるので、いったん落ち着くところをみる必要があります。

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(指標)日経平均

 先週は、米国株式が大統領選はバイデンの勝利を前提に4日連続の大幅高となり、日経平均も連動しました。6日(金)は為替は103円台の半ばと1円近い円高になったにもかかわらず、先物主導で買われ、一時24389円まで買われ、終値は△219円の24325円と2018年10月2日の24448円以来の高値水準となりました。

 柴田罫線では、22880円からの上昇トレンドの中で、10月30日に22948円まで下げて下放れとなりました。しかし、翌週はすぐに反発し、逆に11月6日には24389円まで上昇する上放れとなっています。

 先週の上昇は、良いとこどりの楽観的な上昇であり、反動が出てもおかしくありません。個別株は安くなったところを待って買うスタンスが重用です。柴田罫線をみてわかるように24000円台は大きなフシとなります。

 ただし、バイデン氏の勝利の確率が高まれば、米株式は上昇することになりますので、24448円を一気に突破する可能性は高いといえます。先物主導の上昇ですので、その後の反動には注意が必要です。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、大統領選をはじめ、10月雇用統計、FOMCなど重要イベントがあり、先行き不透明性が高まって激しい値動きを想定しました。柴田罫線でも直近の安値を切ってきて、もう一段下があってもおかしくないところでした。

 ほとんどの市場関係者は様子見としていましたが、現実には世界の金余りの中でバイデン有利という流れが出てきて4日連続の大幅上昇が続きました。NYダウは2日(月)の26691ドルの安値から5日(木)の28495ドルの高値まで4日間で1800ドル超の上昇となりました。

 しかし、大統領選の決着はついておらず、感染者も過去最大を記録しており、良いとこどりの上昇ですので、注意が必要です。リスクを取れる人のみの相場といえます。大統領選が長引くという市場の見方の中で、4日連続の大幅高となった理由の1つに先物やデリバティブの急落に備えていた投資家グループが選挙というイベントの終了とともに買い戻しを急いだということがありそうです。

 今週は、大統領選の結果に注目が集まる中、民主党政権は上院を支配できず、その場合は株式市場は上昇する傾向が知られています。それはバイデン氏が大統領になってもネジレ議会では大規模な増税、規制緩和、石油・天然ガス開発禁止などの急進的な政策を推し進めるのは難しく、株式市場にとっては好ましいからです。大統領選の不透明さが後退すれば相場は年末にかけても堅調相場となる可能性が高いと思われます。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、大統領選やFOMCなど重要イベントを受け乱高下の可能性があるとしました。

 選挙はバイデン有利となったが、最終結果までは、まだ時間がかること、民主党による上下両院の支配は難しくなったことで増税や規制緩和は大きく進展しないとの見方が広がり、長期金利の上昇は一服しドル売り・円買いの流れとなりました。

 今週のドル・円はもみあいへ。バイデン氏が勝利へ近づいているが、民主党が上院を過半数をとる可能性がなくなったことや、トランプ大統領が法廷闘争に向けて準備を進めていることから、米国の政局不安が高まっており、安全資産としてのドル買いとなる可能性がある。民主党は上院を過半数獲得できなかったことで議会の運営は容易ではなく、大規模な追加経済対策は後退しドル売り要因となる。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム