今週は、23300円水準を下値に、ゆっくりと上値を切り上げる展開へ

著者:出島 昇
投稿:2020/10/12 17:28

先週は、NYダウの上昇につれ高し、日経平均はコロナショック後の高値9月29日の23622円を10月9日に23725円で更新

 先週は、NYダウが5日(月)に△465ドルの28148ドルと柴田罫線で買転換し、再び上を目指す形となってきたことで、日経平均は週初めから買い戻しが入って大幅高となってきました。先週予想したようにNYダウの上昇をサポートする目先の材料は、追加の経済対策への合意ですが、先週末に民主党のペロシ下院議長が航空業界への合意を示唆したことで与野党による追加経済政策への合意の期待が高まりました。NYダウは9月21日に27147ドルで売転換となって、26537ドルまで下げましたが、ここからの戻りで28364ドルを終値でぬけると再び29000ドルを試すことになるとしました。

 結果的に10月8日(木)に△122ドルの28425ドルと28364ドルを上回って引けましたので、さらに上を目指すことになります。日経平均はNYダウに連動するので、当然、日経平均も戻りを試すことになります。

 10月5日(月)の日経平均は、コロナに感染して入院していたトランプ大統領が5日にも退院の可能性と報じられると、日経平均は△224円の23254円で寄り付き、時間外の米株先物が上昇し、これを受け△347円の23377円まで上昇しました。その後、買い一巡後はもみあい上値も重くなりましたが、下値も限定的で終値は△282円の23312円でした。

 6日(火)も前日の米株式がトランプ大統領の退院と追加経済政策期待で一段高となったことで△107円の23420円と続伸して寄り付き、しっかりした動きが続き、後場に△129円の23441円の高値をつけ、その後も高値圏で推移し、終値は△121円の23433円と続伸して引けました。

 7日(水)は、前日の米国市場では、トランプ大統領が経済政策を巡る与野党協議の中止の指示を出したことで、3指標そろって反落し、これを受けて日経平均は▲161円の23272円で寄り付くものの、ここを安値に下げ渋り、後場は下げ幅を縮小して▲1円の23432円まで戻しました。これは昼前にトランプ大統領が航空業界と中小企業に給与補償策を承認する用意があるとツイートしたことがサポートとなりました。

 8日(木)は、前日の米国市場では、トランプのツイート(航空業界や中小企業向け支援政策の成立)で追加経済政策が戻ったことで主要3指標が大幅高となったことで、日経平均も△83円の23506円で寄り付き、為替も1ドル=106円近辺の円安水準になったことで、前引けは△213円の23636円となりました。後場には半導体も買われ△278円の23701円まで上昇して△224円の23647円とコロナショック後の戻り高値を更新して引けました。

 9日(金)は、前日の米国市場は引き続き、追加経済対策への期待が続き3指標も続伸。これを受けて△66円の23713円で始まるものの△78円の23725円まで上昇すると、昨日8ヶ月ぶりの高値更新ということもあって利益確定売りが出やすく、後場には一時▲94円の23552円まで下げて終値は▲27円の23619円と小反落となりました。ミニオプションSQは、10月SQで23724円となりました。

 9日(金)の日本市場は、トランプ大統領が共和党と民主党が提案していた支援策を大きくこえる包括的経済政策の考え方を述べたことで期待が高まり、3指標そろって続伸し、NYダウは△161ドルの28586ドルとなりました。NYダウの週間上昇率は△3.27%で8月以来の週間上昇率となっています。

 9日(金)の引け後の米国市場は、トランプ大統領が共和党と民主党が提案していた支援策を大きく超える包括的経済政策の考え方を述べたことで期待が高まり、3指標そろって3日続伸し、NYダウは△161ドルの28568ドルとなりました。NYダウの週間上昇率は△3.27%で8月以来の週間上昇率となっています。シカゴの日経先物は、為替が1ドル=106円近辺から105.59円の円高となったこともあり▲10円の23560円でした。

今週は、23300円水準を下値に、ゆっくりと上値を切り上げる展開へ

 今週は、3週間後の米国の大統領選を前に「トランプ勝利」「バイデン勝利」を想定して、プラス面だけを取り上げて株価の材料にするような動きとなりそうです。一時「バイデン勝利」だと、富裕層からの増税を明言していることで株式市場にとってはマイナスとみなられていましたが、この増税分は大規模なインフラ投資を行うと言っており、投資家も長期的にみるとアメリカ経済の活性化につながるとの見方が台頭しており、大統領選はどちらが勝っても株式市場にはプラスに作用する可能性が高くなっています。目先の材料は、追加の経済対策であり、民主党と共和党の交渉がなかなか進まないことで、トランプ大統領は交渉打ち切りをいったん示唆しましたが、その後、航空業界、中小企業向けの経済支援を示し、先週末には共和党と民主党が提案している規模よりもさらに大規模な包括的経済政策を示してきました。これは選挙を前にしたバナナの叩き売りのような政治ショーであり、このような期待を投資家が織り込んでいる可能性があり、政局次第では株式が軟化する場合も考えられます。トランプ大統領の焦りが透けてみえます。どちらにしろ大統領選までは、追加の経済対策にサポートされて、株価は上昇する可能性があり、NYダウに連動する日経平均も上昇することになりそうです。日経平均のチャート(柴田罫線)でみると23000円(下値は9月9日の22878円)~23600円のボックス相場の中で、レンジを切り上げていましたが、柴田罫線をみても9月9日の22878円からゆるやかな上昇トレンド(A)となっており、この上昇トレンドを上にぬけると24000円を試すことになります。今週も上値、下値を切り上げる展開が続くことになりそうです。

 本日12日(月)は、先週末のNYダウが上昇して終わっていたにもかかわらず▲30円の23588円とマイナスで寄り付き、その後も軟調な展開となって、一時100円ほど下げましたが、その後は下げ幅を縮小し▲61円の23558円で引けました。
 
 
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(指標)日経平均

 先週の予測では、国内要因としては決算が相次いだためコロナの打撃が回復に向かっているかどうか、海外要因としてはトランプ大統領のコロナ感染の影響と追加経済対策の行方がポイントとなるため高値圏での方向感のない展開を想定しました。

 結果的には、トランプ大統領が早くも5日に退院し、追加の経済対策もさらに高まったことでNYダウは大きく上昇し、9月16日の28364ドルを更新してきました。そのためNYダウに連動する日経平均も9月29日にコロナショック後の高値である23622円を更新し、10月8日には23647円で買転換となっています。

 今週の日経平均は、引き続きトランプ大統領の退院後の選挙活動や追加経済政策への行方が注目されます。米大統領選を巡る動きは、どちらが勝っても米国相場にはプラスとなりそうで、そうなるとNYダウに連動する日経平均にもプラスとなります、予想レンジも22800~23300円台のもみあいを上放れしましたので、23300~24000円のレンジへの移行が想定されます。柴田罫線でみても22800円水準からゆるやかな上昇トレンド(A)となっており、この上昇トレンドを上にぬけると24000円を試すことになります。日経平均は上昇していますが売買代金の盛り上げは欠けており米国株次第となっています。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、トランプ大統領のコロナ感染への影響と追加経済対策の行方が注目され、特に与野党の追加経済対策への合意が高まれば株価の上昇材料になるとしました。

 結果的に、トランプ大統領は早くも5日に退院し、追加の経済対策も合意への期待がさらに高まったことで、NYダウは上昇を続け、10月7日には28303ドルで買転換となり、週末の9日には28676ドルまで上昇しました。特に10月9日にはトランプ大統領が共和党と民主党の支援策よりさらに大きな包括的経済対策を示したことで、3日続伸の△161ドルの28586ドルで引け、8月以来の週間上昇となりました。

 今週は、銀行をスタートに第3四半期の企業決算シーズンが始まります。一方、追加の経済政策の交渉も合意に向けて動いており行方が注目されます。与野党の包括的な追加策で何らかの合意に達すれば、一段の買い材料となります。3週間後に大統領選が近づいており合意には懐疑的見方が根強いですが、少しでも協議が前進すれば、選挙後の合意期待が下支えとなって上昇をサポートするとみられます。
 

 

(指標)ドル/円

 先週は、トランプ大統領の容態や追加経済政策の行方をみながら方向感のない展開を想定。

 結果的には、トランプ大統領の早期退院や9月ISM非製造業指数の改善でドル買い先行。その後、トランプ大統領が追加経済政策の与野党の協議を延期するよう示唆したことで、ドル売り・円買いへ。しかし、週末にはトランプ大統領が航空業界、中小企業に財政支援策を支持する姿勢を示したことで、再び与野党合意への期待が高まりました。しかし、9日(金)にマコネル上院院内総務が選挙前の合意は困難だと述べたことで105.63円の円高で引けました。

 今週も米国の大統領選に向け、トランプ大統領とバイデン候補の政策や発言が注目され、為替相場動向の手掛かりとなりそうです。最新の情報ではバイデン氏がリードを広げており、同氏の勝利が高まればバイデン氏の政策は大幅増税だが、それをもとにした大型インフラ投資を考えており、長期的には米国経済の活性化につながるとの見方が増えています。そうなるとドル・円相場に対する支援材料となります。一方、追加経済政策はトランプ大統領が先週末に包括的経済政策と民主党、共和党の提案の規模を上回る規模を提示しており、政治ショーのようになっています。期待が過剰にもりこまれれば、政局次第で相場が混乱することになります。105~107円のレンジを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム