宮崎太陽銀行 林田洋二取締役頭取インタビュー

地域経済の維持・活性化に向けて、さらにリレーションシップバンキングに邁進!

 新型コロナウイルスの感染拡大に日本経済が揺れている。当然、九州経済も例外ではないが、そこには地元に根付き、地域経済の活性化を目指す力強い企業が多く存在している。しかし、地方証券取引所の上場銘柄は、全国的な「知名度」の低さなども加わり、投資家にとっては情報不足の感は否めない。地方には、キラリと光る多くの優良な企業息づいている。福岡証券取引所の単独上場会社の会(通称:単場会)http://fse.irnavi.minkabu.jp/にもそうした魅力溢れる銘柄がある。この単場会の企業トップが、自身の言葉でビジネスモデルや成長戦略、経営課題などを語ってくれた。今夏発生した九州豪雨からの復興、復旧が本格化するなか、旺盛な突破力で成長ロードを走る福証単場会の銘柄に注目したい。

8560:宮崎太陽銀行
取締役頭取 林田洋二氏

 地域の経済発展に貢献するとともに、身近で親しみやすい銀行として健全経営に努めている宮崎太陽銀行 <8560> [福証]。 地元のお客さまとのリレーションを無形資産としてとらえ、着実な顧客価値提供の裏付けをもって、この無形資産の含み益の最大化に宮崎太陽銀行は注力する」という営業推進の大方針を掲げ、地域経済の維持・活性化に向けた諸施策に取り組まれている同行の林田洋二頭取に話を聞いた。

【1】貴行の事業の状況について伺います。
人口減少・少子高齢化などの社会課題に加え、コロナ感染拡大の影響も生じておりますが貴行では直近の業績をどう分析し、評価されていますか?

 当行は、宮崎県、鹿児島県の両県を主要な営業基盤としており、宮崎県内46ヵ店に加え、鹿児島県内5ヵ店、大分県および福岡県内に各1ヵ店を設置し、預金、貸出のほか、内国為替、外国為替、証券、保険商品の窓口販売業務などを行っております。また、関連会社2社においては、情報・事務・医療機器などのリースおよび株式・社債などへの投資、経営コンサルティング業務を行っております。

 直近である2020年3月期の業績は、有価証券利息配当金や資金運用収益が前年同期比で増加した一方で、2019年1月に更改した勘定系システム関連経費が嵩んだことや、第4四半期において、新型コロナウイルス感染拡大の影響により株式など売却益が減少したことから、前年同期比で減収減益となりましたが、当初の業績予想については上回る結果となりました。

 これは、当行が、兼ねてより事業者のお客さまの本業に関するお手伝いに注力させていただいており、そうした取り組みが実を結びつつある結果だと捉えております。

 今年度、事業者のお客さまにおかれては、新型コロナウイルス感染拡大による事業運営上の影響を一層受けると予想されますので、引き続き、地域活性化への貢献姿勢を業務運営の出発点とし、当行グループの全役職員が一丸となって、事業者のお客さまに対する本業のお手伝いに努めていかなければならないと考えております。

【2】中長期における経営戦略について伺います。
経営理念の実現に向けた具体的な数値目標やビジョンなど、お聞かせください。

 当行は、2010年3月に金融機能強化法に基づく資本増強を実施しておりますが、同法の趣旨は公的資金の活用による地域活性化の実現であり、これは、当行の経営理念「地域社会の繁栄」に通じるものであります。

 地域活性化に向けて、当行自身がお取引先の事業運営の相談相手となり、寄り添いながら本業のお手伝いに努めていくというリレーションシップバンキングに向けた地道な活動を積み重ねることで、お取引先一社一社の企業価値が向上すると共に、共通価値の創造が実現できるものと考えております。

 こうした考えの中、当行は現在、第四次の経営強化計画を履行中であります。当計画では、「当行自身の短期的な収益や短期的業容の向上への執着を改め、地元のお客さまとのリレーションを無形資産としてとらえ、着実な顧客価値提供の裏付けをもって、この無形資産の含み益の最大化に宮崎太陽銀行は注力する」という営業推進の大方針を掲げ、この方針の下、お取引先の実権者との事業運営に関わる綿密な対話を重ねながら、新たなビジネスモデルである販路開拓や事業承継など、ウィズコロナ、ポストコロナに向けた本業のお手伝いに取り組んでおります。

 また、上述の様に、当行は地域活性化を自らの使命と位置づけ、その実現に資する取り組みを実行中でありますが、その達成のためには、株主の皆さまを始めとする、当行のステークホルダーの皆さま方に、こうした当行の使命や取り組み姿勢、具体的取り組み一つひとつを、いかにご理解いただけるかが重要であると考えております。

 そのため、当行では、経営陣とステークホルダーの皆さまとの相対での対話の場を積極的に設けさせていただくほか、福岡証券取引所への適時開示、記者会見、プレスリリース、ホームページを通じた情報発信などに取り組んでおります。

 引き続き、コロナ禍における地域経済の維持・活性化に資する取り組みの着実な実行に加え、その下支えとなるステークホルダーの皆さまに対する当行の取り組みをご理解いただくための対話や情報発信などの活動についても、コロナ禍において可能な範囲で継続してまいりたいと考えております。

【3】貴行の事業展開について伺います。
厳しい経済環境下において、今後の事業展開への取り組みをお聞かせください。

 地元エリアにおいては、少子高齢化や人口減少、経営者の高齢化・後継者不足に伴う得意先の休廃業や解散に加え、新型コロナウイルス感染拡大によって、お取引先の販路縮小や売上減少など甚大な影響が出ており、かつてないほど厳しい経営環境に置かれております。

 こうした中、当行では地域経済の維持・活性化に向けて、新型コロナウイルス禍への対応を最優先に考え、まずコロナ禍においては、お取引先の足元の資金繰りを支え財務基盤を安定化させながら、いち早く新たな収入の道を一緒に考えること、次にコロナ収束後に向けた新しい事業展開も含め再成長の道筋を一緒に考えること、これらに柔軟かつ迅速かつ徹底して取り組んでまいります。

 ウィズコロナ、ポストコロナにおいて、我々地域金融機関が果たすべき最大の役割は、お取引先への経営改善支援、事業再生支援であります。昨年度末あたりから、条件変更を含めた資金繰り支援を中心に取り組んでまいりましたが、今後はご融資させていただいた資金を、経営改善、事業再生に向けて有効にお使いいただくため、それぞれのお取引先に適した経営改善支援、事業再生支援など、お取引先の持続可能性を高めるお手伝いに全力を尽くしていく所存であります。

 そのためには、表面的な財務情報だけでなく、事業の中身をしっかりと理解し、経営者さまの思いや熱意を共有することが不可欠であり、その上で、組織的かつ継続的に、当行グループが持つ人材、ノウハウ、情報、外部とのネットワークを最大限駆使しながら、販路開拓や新事業展開、事業承継などに向けた活動を加速させていかなければなりません。

 今回のコロナ禍により、これまで堅調に回復していた地域経済は足踏みすることとなり、現在、事実上の第2波の影響も懸念される状況にありますが、改めてお取引先一社一社の事業内容を見つめ直し、お取引先との関係を一層深めるリレーションシップバンキングを進めながら、様々な観点での支援に努めてまいりたいと考えております。

【4】ビジネスリスクについてお話をお願いします。
貴行のビジネス展開におけるリスクと影響について教えてください。

 当行は、リスク管理を経営の最重要課題の一つと位置づけ、当行の経営体力に適切な水準にリスクをコントロールした上で収益力の向上を図るという、「健全性の維持」と「収益性の確保」の双方にバランスの取れた経営に注力しております。

当行がリスク管理の対象とする主要なリスクは以下の通りであります。

1.信用リスク
ご融資先の財務内容の悪化などにより、資産の価値が減少ないし消失し、当行が損失を被るリスク。

2.市場関連リスク
金利の上昇および株価の下落が発生した場合に、含み損が増加しかつ相応の有価証券評価損が発生することで、当行の業績に悪影響を及ぼすリスク。

3.流動性リスク
市場の急変や財務状態の悪化などにより、必要な資金が確保できなくなる、あるいは資金の確保に本来支払うべき金利以上の金利を支払わざるを得なくなるようなリスク。

4.オペレーショナルリスク
銀行の業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切あるいは機能しないこと、または外生的な事象により損失を被るリスク。

 上記の主要なリスクのうち、4.オペレーショナルリスクは、「事務リスク」、「システムリスク」、「風評リスク」、「人的リスク」などで構成されており、このうち、「人的リスク」は、当行の業務運営上必要な人的資源が確保されないことにより、事業運営の継続に悪影響を及ぼすリスクを指します。

 当行では現在、コロナ禍で足踏みしている地域経済の持ち直しを図るべく、地域活性化に資する事業者のお客さまの本業のお手伝いに注力しております。

 こうした取り組みの担い手である人材については、銀行業務の実務はもとより、メンタルヘルスマネジメントやハラスメントなどにかかる研修・教育を図りながら、地域金融機関としての当行が、経営理念に照らし、どのような方策をもって地域活性化に貢献していこうとしているのかについて、経営陣と行員間の直接対話によって共有することとしております。引き続き、地域の現在、そして将来に向けての人的資源の確保と育成に努めてまいります。

【5】最後に、投資家に向けてお話をお願いします。
貴行では投資家に対してどのようなコミットが可能でしょうか?コーポレートガバナンスやコンプライアンス、経営理念に絡めた上でお話をいただければ幸いです。

 前述の通り、当行は、経営理念の一つに「地域社会の繁栄」を掲げております。

 この理念のもと、地域活性化(「地域社会の繁栄」)に向けた取り組みとして、これまでの地域密着型金融の取り組み成果やコロナ禍における地域経済、地元事業者さまなどの実態を踏まえ、当行グループが保有する地域情報やネットワークを活用しながら、コロナ禍において、日々事業の存続に向けて頑張っておられる事業者のお客さまに対する販路開拓や事業再生など、本業のお手伝いに組織的に取り組んでまいりたいと考えております。

 この実現に向け、コーポレートガバナンスの観点では、昨年6月、取締役の職務執行の監査などを担う監査等委員会を取締役会の構成委員とすることにより取締役の監督機能を強化し、更なる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレートガバナンスの充実を図るため、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。

 さらに、本年1月には、取締役会の指名および報酬などの決定に関する公正性・透明性・客観性を強化するため、取締役会の任意の諮問機関として指名報酬委員会を設置しております。

 このほか、内部統制に係る基本方針に基づき、業務の適正を確保する体制として、リスク管理・コンプライアンス管理・内部監査を包括した内部管理体制を構築し、経営の効率性と健全性の維持・向上を図ることを経営の最重要課題の一つに位置づけ、経営の意思決定の迅速化・機動性の向上、経営監督機能の強化など、適切なガバナンスが機能する組織および企業風土の構築に取り組んでおります。

 引き続き、コーポレートガバナンスを十分に機能させながら、地元事業者のお客さまに対する金融仲介機能を安定的かつ持続的に発揮する地域金融機関の本来の役割を果たし、地域活性化の実現に努めてまいりたいと考えております。
 
●資料請求・問い合わせ先
株式会社宮崎太陽銀行 総合企画部
〒880-8606 宮崎県宮崎市広島二丁目1-31
TEL:0985-60-6270 FAX:0985-60-7070
https://www.taiyobank.co.jp/

配信元: みんかぶ株式コラム

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