■業績動向
1. 2020年5月期連結業績の概要
日本プロセス<9651>の2020年5月期の連結業績は、売上高が2019年5月期比7.7%増の7,770百万円、営業利益が18.3%増の727百万円、経常利益が18.1%増の785百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.5%増の558百万円だった。期初計画(売上高7,620百万円、営業利益635百万円、経常利益685百万円、親会社株主帰属当期純利益470百万円)を上回る増収・2ケタ増益で、上場来最高業績を3期連続で更新した。なお連結子会社の国際プロセスを期首(2019年6月1日付)に吸収合併し、オフショア開発子会社の中国・IPD大連を重要性が増したため新規連結対象とした。
全体として受注が順調に拡大した。また重点施策として取り組んでいるグループ間の連携強化が進展し、請負化やオフショア開発が拡大して計画を上回る増収だった。グループのアルゴリズム研究所、IPD大連の売上も拡大した。利益面では、プロジェクト管理強化による生産性向上や作業工程効率化などの効果も寄与して、計画を上回る2ケタ増益だった。
全社ベースの売上総利益率は22.4%で1.2ポイント上昇、販管費比率は13.1%で0.4ポイント上昇した。働きやすい環境・設備・制度や人材育成への投資を継続して販管費が増加、販管費比率が上昇したが、増収効果や生産性向上効果で吸収した形である。セグメント別には、ITサービスを除く全セグメントが増収増益だった。なかでも特定情報システム、産業・公共システムが大幅伸長した。
2. セグメント別動向
セグメント別の動向は以下のとおりである。
(1) 制御システム
制御システムは、売上高が4.2%増の1,344百万円、利益が10.2%増の317百万円だった。エネルギー関連は、火力発電所向け監視・制御システムが減少したが、配電関連が拡大した。東京電力の子会社など新規顧客開拓も進展した。鉄道関連は、新幹線運行管理システムの更新案件、東京圏輸送管理システム(ATOS)、在来線運行管理システムが順調に推移し、高効率化によって利益率は1.3ポイント上昇した。
(2) 自動車システム
自動車システムは、売上高が1.0%増の1,887百万円、利益が7.1%増の449百万円だった。エンジン制御案件が減少したが、注力分野の自動運転・ADAS関連で車載ネットワーク制御や基盤ソフトウェアが拡大した。オフショア開発のIPD大連の生産性向上効果も寄与して、利益率は1.3ポイント上昇した。
(3) 特定情報システム
特定情報システムは、売上高が17.7%増の699百万円、利益が58.0%増の169百万円だった。地理情報関連の案件が中止となったが、危機管理関連案件の獲得、画像処理分野の新規顧客獲得などで大幅増収だった。自動運転・ADAS関連(車載カメラによる道路標識画像認識・識別)が横ばいだが顧客との信頼関係は強固である。全体として増収効果や作業効率化効果で大幅増益だった。利益率は6.1ポイント上昇した。
(4) 組込システム
組込システムは、売上高が9.9%増の1,044百万円、利益が16.8%増の254百万円だった。主力の半導体関連でSSDが好調だった。新規3製品にも参画した。自動運転・ADAS関連の基盤ソフトウェア開発は横ばいだったが、IoT建設機械関連(産業・公共システムに含めていた案件を2020年5月期から組込システムに集約)では、主要顧客との信頼関係が深まり、安定受注化が進展した。医療関連は顧客都合でやや苦戦した。利益率は半導体関連の好調で1.4ポイント上昇した。
(5) 産業・公共システム
産業・公共システムは、売上高が21.9%増の1,957百万円、利益が14.4%増の419百万円だった。鉄道駅務機器で東芝の券売機開発案件を機種一括受注した。航空・宇宙の危機管理関連では安定基盤化が進展した。デジタルカメラ関連やフォトイメージング関連は、インドのTrenserとの連携を強化して売上拡大した。ロボティクス関連、AI関連、IoT関連はおおむね横ばいだった。利益率は1.4ポイント低下した。
(6) ITサービス
ITサービスは、売上高が7.6%減の836百万円、利益が10.9%減の144百万円だった。収益性の低い小規模保守・運用サービスからシステム構築サービスへのシフトなど構造改革を推進しているため減収減益だが、注力分野のパブリッククラウドのシステム構築は拡大した。利益率は0.6ポイント低下した。
財務健全性高い
3. 財務状況
財務面で見ると、2020年5月期末の総資産は11,295百万円で2019年5月期末比666百万円増加した。流動資産で受取手形及び売掛金、電子記録債権、有価証券などが増加した。純資産は9,396百万円で574百万円増加した。この結果、2020年5月期末の自己資本比率は0.2ポイント上昇して83.2%となった。無借金経営で、内部留保は潤沢である。財務健全性は極めて高いと言えるだろう。
なお2019年5月期から、税効果会計に係る会計基準の一部改正(企業会計基準第28号、平成30年2月16日)等を適用している。このため「主要経営指標」では2017年5月期まで適用前の数値を記載している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 2020年5月期連結業績の概要
日本プロセス<9651>の2020年5月期の連結業績は、売上高が2019年5月期比7.7%増の7,770百万円、営業利益が18.3%増の727百万円、経常利益が18.1%増の785百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.5%増の558百万円だった。期初計画(売上高7,620百万円、営業利益635百万円、経常利益685百万円、親会社株主帰属当期純利益470百万円)を上回る増収・2ケタ増益で、上場来最高業績を3期連続で更新した。なお連結子会社の国際プロセスを期首(2019年6月1日付)に吸収合併し、オフショア開発子会社の中国・IPD大連を重要性が増したため新規連結対象とした。
全体として受注が順調に拡大した。また重点施策として取り組んでいるグループ間の連携強化が進展し、請負化やオフショア開発が拡大して計画を上回る増収だった。グループのアルゴリズム研究所、IPD大連の売上も拡大した。利益面では、プロジェクト管理強化による生産性向上や作業工程効率化などの効果も寄与して、計画を上回る2ケタ増益だった。
全社ベースの売上総利益率は22.4%で1.2ポイント上昇、販管費比率は13.1%で0.4ポイント上昇した。働きやすい環境・設備・制度や人材育成への投資を継続して販管費が増加、販管費比率が上昇したが、増収効果や生産性向上効果で吸収した形である。セグメント別には、ITサービスを除く全セグメントが増収増益だった。なかでも特定情報システム、産業・公共システムが大幅伸長した。
2. セグメント別動向
セグメント別の動向は以下のとおりである。
(1) 制御システム
制御システムは、売上高が4.2%増の1,344百万円、利益が10.2%増の317百万円だった。エネルギー関連は、火力発電所向け監視・制御システムが減少したが、配電関連が拡大した。東京電力の子会社など新規顧客開拓も進展した。鉄道関連は、新幹線運行管理システムの更新案件、東京圏輸送管理システム(ATOS)、在来線運行管理システムが順調に推移し、高効率化によって利益率は1.3ポイント上昇した。
(2) 自動車システム
自動車システムは、売上高が1.0%増の1,887百万円、利益が7.1%増の449百万円だった。エンジン制御案件が減少したが、注力分野の自動運転・ADAS関連で車載ネットワーク制御や基盤ソフトウェアが拡大した。オフショア開発のIPD大連の生産性向上効果も寄与して、利益率は1.3ポイント上昇した。
(3) 特定情報システム
特定情報システムは、売上高が17.7%増の699百万円、利益が58.0%増の169百万円だった。地理情報関連の案件が中止となったが、危機管理関連案件の獲得、画像処理分野の新規顧客獲得などで大幅増収だった。自動運転・ADAS関連(車載カメラによる道路標識画像認識・識別)が横ばいだが顧客との信頼関係は強固である。全体として増収効果や作業効率化効果で大幅増益だった。利益率は6.1ポイント上昇した。
(4) 組込システム
組込システムは、売上高が9.9%増の1,044百万円、利益が16.8%増の254百万円だった。主力の半導体関連でSSDが好調だった。新規3製品にも参画した。自動運転・ADAS関連の基盤ソフトウェア開発は横ばいだったが、IoT建設機械関連(産業・公共システムに含めていた案件を2020年5月期から組込システムに集約)では、主要顧客との信頼関係が深まり、安定受注化が進展した。医療関連は顧客都合でやや苦戦した。利益率は半導体関連の好調で1.4ポイント上昇した。
(5) 産業・公共システム
産業・公共システムは、売上高が21.9%増の1,957百万円、利益が14.4%増の419百万円だった。鉄道駅務機器で東芝の券売機開発案件を機種一括受注した。航空・宇宙の危機管理関連では安定基盤化が進展した。デジタルカメラ関連やフォトイメージング関連は、インドのTrenserとの連携を強化して売上拡大した。ロボティクス関連、AI関連、IoT関連はおおむね横ばいだった。利益率は1.4ポイント低下した。
(6) ITサービス
ITサービスは、売上高が7.6%減の836百万円、利益が10.9%減の144百万円だった。収益性の低い小規模保守・運用サービスからシステム構築サービスへのシフトなど構造改革を推進しているため減収減益だが、注力分野のパブリッククラウドのシステム構築は拡大した。利益率は0.6ポイント低下した。
財務健全性高い
3. 財務状況
財務面で見ると、2020年5月期末の総資産は11,295百万円で2019年5月期末比666百万円増加した。流動資産で受取手形及び売掛金、電子記録債権、有価証券などが増加した。純資産は9,396百万円で574百万円増加した。この結果、2020年5月期末の自己資本比率は0.2ポイント上昇して83.2%となった。無借金経営で、内部留保は潤沢である。財務健全性は極めて高いと言えるだろう。
なお2019年5月期から、税効果会計に係る会計基準の一部改正(企業会計基準第28号、平成30年2月16日)等を適用している。このため「主要経営指標」では2017年5月期まで適用前の数値を記載している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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