■E・Jホールディングス<2153>の会社概要
2. 事業概要
同社グループは主に官公庁の公共事業等において、企画・構想から計画策定・事業化、調査・設計、工事施工管理、運営維持管理まで事業プロジェクトのすべての工程に関してワンストップでサービス提供できることを強みとしている。2020年5月末時点の連結対象子会社は9社で構成され(その他非連結子会社8社、持分法適用関連会社1社)、従業員数は1,517名(前期末比140名増)となっている。また、2020年5月期より、重要性の観点から演算工房を持分法適用関連会社とした。演算工房は京都に本社を置き、主に建設・土木分野で用いる測量機器の制御・データ管理を行うためのソフトウェアを開発・提供している。
(1) 子会社の概要
連結売上高の7割強を占める主力子会社のエイト日本技術開発では、企画・計画策定、調査・設計、診断、マネジメント等の建設コンサルタント業務のほか、海外コンサルタント業務、観光農園やアグリビジネス等の地方創生につながる事業の開発等を行っている。その子会社となる都市開発設計(株)では、上下水道や道路等の計画策定、工事設計・管理業務を主に行っている。
また、売上高の1割強を占める近代設計では、道路・橋梁等の施工管理や発注者支援業務等を展開しているほか、国土交通省が推進する無電柱化プロジェクト(計画・設計・調査・維持管理支援)の受注シェアで約2割強と高い実績を持っていることが特徴として挙げられる。無電柱化の方法はいくつかあるが、基本は地上に敷設されている電線や通信ケーブルを地下に移設する。この際、道路に埋設されているガス・水道管などと輻輳することになるため、各事業者との緊密な折衝・調整が求められる。そのノウハウが同社の競争力の源泉となっている。このノウハウはグループで共有化され、エイト日本技術開発でも数件の受注実績が出始めている。そのほか、(株)共立エンジニヤ及び共立工営(株)では測量・地質調査・設計業務を、日本インフラマネジメントでは測量、施工管理、技術者派遣、計測機器のレンタル販売業務等を行っている。
また、2020年5月期の第2四半期より新たに連結子会社として加わったアークコンサルタントは、主に岡山県北部エリアを中心に測量、道路や橋梁等の計画・設計、河川等の設計等の建設コンサルタント業務を行っている。年間売上規模は3億円弱となる。また、アイ・デベロップ・コンサルタンツは九州北部エリアを地盤に、社会インフラの発注者支援業務やインフラ施設管理業務等を展開している。年間売上規模は8~9億円程度となる。それぞれの地域における事業規模拡大を目的に子会社化した。アイ・デベロップ・コンサルタンツに関してはのれんが約11億円(11年定額償却)発生している。
(2) 発注機関別・地域別受注構成比
同社の受注高の8~9割は官公庁向けで占められており、その中でも道路・橋梁などの交通インフラや治水・治山など国土保全に関わる案件の比率が高いことが特徴となっている。2020年5月期では、国交省を中心とした中央省庁が35.8%、都道府県が31.2%、市町村が17.9%と官公庁だけで84.9%を占めており、民間企業が14.6%、海外が0.5%となっている。なお、海外についてはアフリカやアジア地域における道路整備や治水・給水プロジェクト等、(独法)国際協力機構(以下、JICA)を通じた受注が大半を占めている。
地域別の受注高構成比で見ると、2020年5月期では関東エリアが22.1%と最も大きく、次いで本社のある中国エリアが21.7%、近畿が16.3%となり3つの地域で約60%を占めている。5年前の2015年5月期との比較で見れば、関東が2ポイント、近畿が3ポイント、九州が2ポイントそれぞれ上昇している。逆に四国が3ポイント、海外が2ポイント、北海道・東北が1ポイントと低下している。
受注プロジェクトについては1年内に終わる案件がほとんどとなっている。工期が複数に分割されているもので継続受注した場合は、トータルで3~4年の長期にわたるプロジェクトもある。また、官公庁案件については売上の検収時期が3月に集中する傾向にあることから、売上高の6~7割が第4四半期(3月-5月期)に集中する。このため、第3四半期までは例年、損失を計上する季節要因がある点には留意する必要がある。
3. 経営理念
同社グループの経営理念(ミッション)は、「地球環境にやさしい優れた技術力と判断力で真に豊かな社会づくりに貢献する」こととしている。また、経営ビジョンは「持続的成長と企業価値向上を追い続ける、わが国第1級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループを目指す」ことを掲げている。
経営ビジョンの実現を目指すため、同社はイノベーション※1、プロフェッショナリズム※2、誠実※3、チームワーク※4といった観点から4つの行動規範を規定し、事業活動を行っている。
※1 イノベーション…社会や環境の変化を見極め、あらゆるインフラ分野の課題解決を目指し、グローカル(グローバルからローカルまで)な思考で行動する。
※2 プロフェッショナリズム…多様で高度なニーズに的確に応えることのできる優れた技術と豊かな感性、誠実な人格を有するプロフェッショナル集団として、人材価値、企業価値を高めるため、自己研鑽に努める。
※3 誠実…関連法令ばかりでなく、企業倫理~職業倫理も遵守し、公正・中立的な立場で社会的責任を遂行する。
※4 チームワーク…わが国第1級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループとしての自覚を持ち、常に高い目標を掲げ、その実現に向けてグループの総力で挑戦する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 事業概要
同社グループは主に官公庁の公共事業等において、企画・構想から計画策定・事業化、調査・設計、工事施工管理、運営維持管理まで事業プロジェクトのすべての工程に関してワンストップでサービス提供できることを強みとしている。2020年5月末時点の連結対象子会社は9社で構成され(その他非連結子会社8社、持分法適用関連会社1社)、従業員数は1,517名(前期末比140名増)となっている。また、2020年5月期より、重要性の観点から演算工房を持分法適用関連会社とした。演算工房は京都に本社を置き、主に建設・土木分野で用いる測量機器の制御・データ管理を行うためのソフトウェアを開発・提供している。
(1) 子会社の概要
連結売上高の7割強を占める主力子会社のエイト日本技術開発では、企画・計画策定、調査・設計、診断、マネジメント等の建設コンサルタント業務のほか、海外コンサルタント業務、観光農園やアグリビジネス等の地方創生につながる事業の開発等を行っている。その子会社となる都市開発設計(株)では、上下水道や道路等の計画策定、工事設計・管理業務を主に行っている。
また、売上高の1割強を占める近代設計では、道路・橋梁等の施工管理や発注者支援業務等を展開しているほか、国土交通省が推進する無電柱化プロジェクト(計画・設計・調査・維持管理支援)の受注シェアで約2割強と高い実績を持っていることが特徴として挙げられる。無電柱化の方法はいくつかあるが、基本は地上に敷設されている電線や通信ケーブルを地下に移設する。この際、道路に埋設されているガス・水道管などと輻輳することになるため、各事業者との緊密な折衝・調整が求められる。そのノウハウが同社の競争力の源泉となっている。このノウハウはグループで共有化され、エイト日本技術開発でも数件の受注実績が出始めている。そのほか、(株)共立エンジニヤ及び共立工営(株)では測量・地質調査・設計業務を、日本インフラマネジメントでは測量、施工管理、技術者派遣、計測機器のレンタル販売業務等を行っている。
また、2020年5月期の第2四半期より新たに連結子会社として加わったアークコンサルタントは、主に岡山県北部エリアを中心に測量、道路や橋梁等の計画・設計、河川等の設計等の建設コンサルタント業務を行っている。年間売上規模は3億円弱となる。また、アイ・デベロップ・コンサルタンツは九州北部エリアを地盤に、社会インフラの発注者支援業務やインフラ施設管理業務等を展開している。年間売上規模は8~9億円程度となる。それぞれの地域における事業規模拡大を目的に子会社化した。アイ・デベロップ・コンサルタンツに関してはのれんが約11億円(11年定額償却)発生している。
(2) 発注機関別・地域別受注構成比
同社の受注高の8~9割は官公庁向けで占められており、その中でも道路・橋梁などの交通インフラや治水・治山など国土保全に関わる案件の比率が高いことが特徴となっている。2020年5月期では、国交省を中心とした中央省庁が35.8%、都道府県が31.2%、市町村が17.9%と官公庁だけで84.9%を占めており、民間企業が14.6%、海外が0.5%となっている。なお、海外についてはアフリカやアジア地域における道路整備や治水・給水プロジェクト等、(独法)国際協力機構(以下、JICA)を通じた受注が大半を占めている。
地域別の受注高構成比で見ると、2020年5月期では関東エリアが22.1%と最も大きく、次いで本社のある中国エリアが21.7%、近畿が16.3%となり3つの地域で約60%を占めている。5年前の2015年5月期との比較で見れば、関東が2ポイント、近畿が3ポイント、九州が2ポイントそれぞれ上昇している。逆に四国が3ポイント、海外が2ポイント、北海道・東北が1ポイントと低下している。
受注プロジェクトについては1年内に終わる案件がほとんどとなっている。工期が複数に分割されているもので継続受注した場合は、トータルで3~4年の長期にわたるプロジェクトもある。また、官公庁案件については売上の検収時期が3月に集中する傾向にあることから、売上高の6~7割が第4四半期(3月-5月期)に集中する。このため、第3四半期までは例年、損失を計上する季節要因がある点には留意する必要がある。
3. 経営理念
同社グループの経営理念(ミッション)は、「地球環境にやさしい優れた技術力と判断力で真に豊かな社会づくりに貢献する」こととしている。また、経営ビジョンは「持続的成長と企業価値向上を追い続ける、わが国第1級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループを目指す」ことを掲げている。
経営ビジョンの実現を目指すため、同社はイノベーション※1、プロフェッショナリズム※2、誠実※3、チームワーク※4といった観点から4つの行動規範を規定し、事業活動を行っている。
※1 イノベーション…社会や環境の変化を見極め、あらゆるインフラ分野の課題解決を目指し、グローカル(グローバルからローカルまで)な思考で行動する。
※2 プロフェッショナリズム…多様で高度なニーズに的確に応えることのできる優れた技術と豊かな感性、誠実な人格を有するプロフェッショナル集団として、人材価値、企業価値を高めるため、自己研鑽に努める。
※3 誠実…関連法令ばかりでなく、企業倫理~職業倫理も遵守し、公正・中立的な立場で社会的責任を遂行する。
※4 チームワーク…わが国第1級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループとしての自覚を持ち、常に高い目標を掲げ、その実現に向けてグループの総力で挑戦する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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