NYコラム(29日)ダウ平均は強含みもみあいスタートか⁈–FOMC結果判明を控え様子見姿勢は根強い

著者:加藤裕一
投稿:2020/07/29 20:00

NY株式市場(29日)AMD・ボーイングが決算発表後に時間外で上昇–米議会で与野党間の溝が埋まらず

29日のニューヨーク株式市場でダウ平均は、強含みながらもみ合う寄り付きとなりそうだ。

本格化している主力企業の決算発表では、好決算と強気のガイダンスを示したAMDが時間外取引で大幅高となっていることから、ハイテク株の下支えとなりそうだ。同じく4–6月期決算がアナリスト予想を上回る大幅な赤字となったボーイング株価が、悪材料出尽くしから時間外取引で上昇していることは、ダウ平均の打たれ強さを意識させるスタートにつながりそう。一方で低調な業績動向を示したビザが時間外で軟調に推移していることはダウ平均の重しとなりそうだ。

注目されているFOMCは29日に最終日を迎えた。結果判明は日本時間30日午前3時だ。午前3時30分にはパウエルFRB議長の記者会見を控えていることから、ダウ平均は結果判明までポジションを大きく傾けにくいだろう。

今回のFOMCでは現行の緩和的な金融政策を維持するものとみられており、FOMC終了後に行われるパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まっている。終了後の記者会見でパウエル議長が、アメリカ経済の先行きに慎重な姿勢を示した上で、YCCなど将来的な金融緩和措置の追加策などに言及すれば、相場の地合いに変化がもたらされよう。ダウ平均は、取引終了にかけてパウエル議長の会見内容をにらみながら売り買いが交錯することも想定しておきたいところだ。

与党・共和党が1兆ドル規模の新型コロナウイルス対策を提示したアメリカ議会では、与野党間の激しい駆け引きが連日繰り広げられている。失業給付の特別措置が期限切れとなる7月末までの法案成立に向けた大詰め協議でも妥協点を見出せずにいるのが現状だ。ダウ平均は7月末の期限が刻一刻と迫るとともに売られやすい催促相場に切り替わっていく短期的なリスク・シナリオも勘案せざるを得ないだろう。

加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想