NYコラム(23日)ダウ平均は上値の重い寄り付きか?!–新規失業保険申請件数が141.6万件に増加

著者:加藤裕一
投稿:2020/07/23 22:00

NY株式市場(23日)注目のテスラ決算はアナリスト予想を上回る–アメリカと中国の報復合戦の行方に注目

23日のニューヨーク株式市場でダウ平均は上値の重さを意識しながらの寄り付きとなりそうだ。

取引開始前に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数は、141.6万件となった。この結果、市場予想(130万件)を上回るとともに、今年4月以降で初めて増加に転じたことから、雇用情勢の回復期待が後退している。

ダウ平均構成銘柄では、マイクロソフトが発表した4–6月期決算で注目されていたクラウド事業の成長鈍化が示されたことから、時間外取引で軟調に推移。ダウ平均の上値を抑える要因となりそうなほか、23日の取引終了後に発表されるインテル決算を見極めたいとの姿勢も根強い相場環境だ。

前日に中国のヒューストン領事館閉鎖に至った米中関係では、新たに中国政府が成都のアメリカ領事館の閉鎖を検討していると報じられており、両国間の報復合戦がさらにエスカレートする様相を呈していることもリスク要因として上がられよう。

ただ、注目されていたテスラの4–6月期決算は最終損益が1億400万ドルの黒字と4四半期連続で黒字を達成確保したことから、S&P500種株価指数の採用要件をクリアしたことになる。時間外取引では、一時8%を超える上昇となった。S&P500種株価指数に採用されることがほぼ確実となったことから、23日の通常取引でもパッシブ運用を手掛ける機関投資家の投資資金が流入するとの観測が継続していることは、ニューヨーク株式市場の投資家マインドを下支えしそうだ。

ダウ平均は、朝方の売買をこなしたあと好決算を受けたテスラ株のリアクション動向に相場の関心がほぼ集中しそうで、相場の方向性を決定付けそうな1日となる。

加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想