三城HD Research Memo(6):認知度回復、新コンセプト店舗の拡充により業績の回復を図る(2)

配信元:フィスコ
投稿:2020/07/17 15:46
■三城ホールディングス<7455>の中長期の成長戦略

3. 商品施策
(1) フレーム
a) PB商品のブランディング
世界中で販売されているメガネの生産国が、中国やイタリアへ年々移っていくなかで、高品質な「日本製メガネ」が世界中から注目されている。しかし一方で、後継者不足などからこれら高品質な日本製メガネを製造する工場や職人が減少傾向にあるのも事実だ。このような状況下、同社グループでは福井県鯖江市に自社工場を構えることで、高品質な日本製品をバリュープライスで顧客へ提供することを目指している。同社ではこれを“MADE IN JAPAN project”と称し、顧客へ高品質なメガネを提供しながら産地への還元、産地との協業を推進していく計画だ。このプロジェクトの具体的な商品としては「style J」「PARIS MIKI (Authentic Eyewear)」などがあるが、これらのPB商品のブランディングをさらに強化する。

b) 提案商品の強化
同社が持つ提案商品をさらに強化する。「軽くて、羽のような掛け心地」の「MICRO titan」、「かるい、やさしい、たのしい!」の「AIRO lignt」のほか、最近ではスピードや天候、コンディションに左右されない掛け心地を実現するというスポーツライン「SP EXTREMES」が立ち上がった。こうしたラインの強化だけでなく、ファッションブランドのユナイテッドアローズやプロダクトデザイナーであるムラタ・チアキ氏とのコラボレーションを通して、同社が持つ技術や魅力を伝えていく施策も行っている。

(2) レンズ
a) 視生活の豊かさを提供:レンズの新サービス展開
「24G(トゥエンティ・フォー・ジー)」
・ 翌日に遠近両用レンズメガネを届ける
・ イスラエルからトップレンズ企業の1つであるSHAMIRと技術提携
・ 東京のレンズラボから完全受注生産
・ 特殊な形状のメガネやサングラスでも最速納品が可能

b) 視生活の豊かさを提供:新機能レンズの開発
乱視のことを第一に考えたメガネレンズ「ランシー」を開発。このレンズは、視界が広く自然な見え方をもたらす。一般的な乱視補正は2軸方向のみを補正するため、斜め方向やレンズ周辺を見た時に実際の乱視軸との間にずれが生じ、歪み・揺れが残るが、ランシーは、レンズの隅々まで歪みを抑えた視界が広がるように360°全方向補正ができる。

c) 視生活の豊かさを提供:シーンごとのニーズ訴求
日常生活のシーンに合わせたレンズを開発していく。スマートフォンなどによる目の負担を軽減するブルーライトカット及びピント調整サポートが付いた「スマホイージー」、一本で一日中使える調光レンズ、日中だけでなく夜・雨などのドライブも視界良好になる偏光レンズなどがある。

(3)補聴器
a) 補聴器販売
三城のオリジナル補聴器である「らくみみMKシリーズ」を中心に、三城の補聴器販売は2017年3月期の5,350百万円から2020年3月期には5,973百万円と着実に増加しているが、今後も補聴器販売に注力する。

b) 補聴器貸出し
三城の貸し出しサービスは、補聴器に興味はあるが高額である、初めてで不安、購入前にしっかり試したい、両親に使ってほしい—— といった「まずは補聴器を使ってみたい」という顧客の声に応えて誕生した。まずは「補聴器で聞く」「聞こえる世界を楽しんでもらいたい」という思いから、気軽に借りられる、安心のシステムと充実したラインナップを用意している。累計入会数は18,500人となり、好調に推移しているが、今後も注力していく。

(4) 電動車椅子「WHILL」:販売及びレンタル
定価45万円(非課税)の電動車椅子「WHILL Model C」を月額12,800円でレンタルできるサービスである。最長3ヶ月のレンタルを展開、取扱い店舗は全国450店に拡大、各地域の福祉課との連携も強化しており、レンタル件数は増加している。一方で販売も順調、2020年3月期の販売台数は前期比69.7%増となった。今後も着実に伸ばしていく方針。

4. 社会貢献活動
同社は社会貢献活動も積極的に行っている。以下は、災害支援を含めた様々な社会貢献活動の概要である。

(1) 災害支援活動
メガネ小売会社として古くから「緊急用メガネ」の備蓄に努めている。これは様々な度数のレンズを入れて作製したメガネを常時社内に備蓄し、災害時にこれらを被災者に配布するものだ。その歴史は古く、1991年の雲仙普賢岳の噴火時から行っている。近年では、2018年夏に起きた台風7号及び梅雨前線による集中豪雨(西日本)時や2019年9月−10月に台風15号、19号、20号が東日本に甚大な被害をもたらした際も、三城は各地域の店舗に支援コーナーを設置、SNSの告知で多くの人々に迅速な配布を行った。これら災害用に備蓄している緊急用メガネの無償配布は、多くの被災者から感謝が寄せられたという。

さらに緊急用メガネの無償提供のほか、補聴器や補聴器用電池、避難所へは保湿化粧品、またボランティアの参加者には防塵マスク、防塵ゴーグル、郊外店舗では生活用水の提供など、全国各地域の人々に支援活動を行っている。

(2) コミュニティをつなぐ
コミュニティをつなぐ活動として、移動訪問サービスを行っている。全国23エリアに31名のベテラン社員を配置し、有事の支援活動出動、ケア施設や個人の顧客からの依頼対応、移動スーパー「とくし丸」との協働などを行っている。

また夏休みには、「メガネの体験学校」を開催し、目の役割の大切さや視力を学び、メガネ組立ての体験を行っている。

(3) その他の活動
日本の眼鏡づくり職人と技術継承のための会社(株)クリエイトスリーを設立し、(株)オプトメイク福井を2019年6月に子会社化した。またSDGsの一環として、日本緑内障学会や鯖江市役所への賛同も表明している。

病気やけがにより見えにくくなった人々の視生活をAI小型カメラ「オーカムマイアイ2」、医療用遮光眼鏡、拡大読書器などによってサポートする活動も行っている。自治体により異なる日常生活用具給付購入に柔軟に対応できる体制を整えている。なお2019年6月に「読書バリアフリー法」が成立し、助成金補助の対象が拡大した。またロービジョン支援の一環として、毎年「ロービジョン川柳」を主催している。(ただし、2020年3月期は延期となった)

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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