■中長期成長戦略
1. 環境配慮型製品の市場は拡大基調
印刷用インキの市場動向を見ると、国内印刷用インキ市場の約4割を占め、サカタインクス<4633>が主力としているパッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用、飲料缶など金属缶印刷用など)の市場は拡大基調である。
また地球環境問題を背景として、世界的な需要は環境配慮型製品へシフトしている。したがって国内に限らず、アジア、米州、欧州でも、パッケージ印刷用インキ市場を中心に、環境配慮型高機能・高付加価値インキの市場拡大・開拓余地は大きい。
なお市場別動向として、北米市場は食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用の分野で、日本市場と同様に環境対応や高機能化が求められている。アジア市場は人口増加や経済成長を背景として印刷インキ市場全体が拡大基調である。また中国でも環境規制を背景として環境配慮型製品へのニーズが高まっている。
環境配慮型製品拡販や新規分野創出を推進
2. セグメントごとの施策
「中期経営計画2020 Innovation for the Future~未来に向けた革新~」では、企業理念である「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、情報メディアの多様化、食の安心・安全意識の高まり、環境規制の強化を背景とした印刷市場の変化に柔軟に対応し、CSR(企業の社会的責任)活動の充実や環境経営の推進を図ることにより、企業体質・経営基盤の強化に取り組む。そしてコア事業である印刷インキ事業及び機能性材料事業の拡大、コア事業で培った技術の応用展開による新規事業の創出を推進する。
印刷インキ事業では、環境配慮型高機能製品の開発・市場投入を推進している。製品例として、材料の一部を植物由来成分に置き換えたボタニカルインキシリーズ、地球温暖化ガス排出抑制に貢献する高感度UVインキ・EB硬化型インキ、食品の消費期限を延ばして食品ロス削減に貢献するガスバリア剤、さらにレイバリア剤、防湿コート剤、低炭素排出型印刷システムなどがある。
機能性材料事業では、建材やテキスタイルなど加飾成型や生活関連材料へのインクジェットインキ技術の応用展開、次世代型発光材料やタッチパネル用材料など画像表示材料分野における幅広い製品の開発・市場投入を推進する。
新規事業の創出では、光学、モビリティ、エネルギーにターゲットを絞り、各種機能性材料を軸とした開発を推進している。その一例として関連会社のシークスとの協業では、オプト・ケミカルをベースとした屈折率調整材料やLED封止剤材料、エレクトロニクス・ケミカル材料で構成される電子回路やセンサー材料などの事業創出を推進する方針だ。
またセグメント別の重点施策としては、印刷インキ・機材(日本)では環境配慮型・省エネ志向製品の積極展開、TPM活動の深化と物流最適化によるコスト削減、印刷インキ(アジア)では地域密着型製品の開発推進とパッケージ分野の拡大、環境配慮型・省エネ志向製品の積極展開、印刷インキ(米州)ではフィルムパッケージ印刷用・金属缶印刷用インキの拡販、パッケージ関連設備の増強、研究開発拠点集約による開発強化、印刷インキ(欧州)では拠点再構築による生産・販売体制の強化、ブランド力の強化、機能性材料事業では差別化製品のタイムリーな開発、戦略的パートナーシップの強化を推進している。
積極的な設備投資で生産能力増強
3. 積極的な設備投資
成長を加速させるため設備投資も積極推進している。現時点での設備投資計画は以下のとおりである。
今後の予定として、日本では大阪の研究棟拡張・充実が2021年完工予定、北米では米国ウィスコンシン州のパッケージ用インキ設備増強が2020年完工予定、アジアではタイのパッケージ用インキ設備増強が2020年完工予定、バングラデシュのパッケージ用インキ新工場が2020年完工予定、中国・広東省茂名のオフセットインキ第2工場が2021年完工予定である。
4. 欧州事業の早期黒字化を目指す
なお欧州事業に関しては、販売の伸びに生産が追い付かず、人件費や外注費の増加で損失が続いているため、早期黒字化を目指して生産再編などの構造改革を推進している。
具体的には、不採算だったフランスの工場閉鎖、イギリスとスペインの設備増強とともに、インクジェットインキを生産するチェコ、新たに子会社化したドイツのRUCO社(2020年6月に株式取得完了)を加えて、欧州における生産の最適化を図る方針だ。ブレグジット(EUからのイギリス離脱)に伴い、イギリスで生産している金属缶印刷用メタルインキの一部をEU域内に生産移管することも検討する。拡販及び生産の最適化によって収益改善を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
1. 環境配慮型製品の市場は拡大基調
印刷用インキの市場動向を見ると、国内印刷用インキ市場の約4割を占め、サカタインクス<4633>が主力としているパッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用、飲料缶など金属缶印刷用など)の市場は拡大基調である。
また地球環境問題を背景として、世界的な需要は環境配慮型製品へシフトしている。したがって国内に限らず、アジア、米州、欧州でも、パッケージ印刷用インキ市場を中心に、環境配慮型高機能・高付加価値インキの市場拡大・開拓余地は大きい。
なお市場別動向として、北米市場は食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用の分野で、日本市場と同様に環境対応や高機能化が求められている。アジア市場は人口増加や経済成長を背景として印刷インキ市場全体が拡大基調である。また中国でも環境規制を背景として環境配慮型製品へのニーズが高まっている。
環境配慮型製品拡販や新規分野創出を推進
2. セグメントごとの施策
「中期経営計画2020 Innovation for the Future~未来に向けた革新~」では、企業理念である「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、情報メディアの多様化、食の安心・安全意識の高まり、環境規制の強化を背景とした印刷市場の変化に柔軟に対応し、CSR(企業の社会的責任)活動の充実や環境経営の推進を図ることにより、企業体質・経営基盤の強化に取り組む。そしてコア事業である印刷インキ事業及び機能性材料事業の拡大、コア事業で培った技術の応用展開による新規事業の創出を推進する。
印刷インキ事業では、環境配慮型高機能製品の開発・市場投入を推進している。製品例として、材料の一部を植物由来成分に置き換えたボタニカルインキシリーズ、地球温暖化ガス排出抑制に貢献する高感度UVインキ・EB硬化型インキ、食品の消費期限を延ばして食品ロス削減に貢献するガスバリア剤、さらにレイバリア剤、防湿コート剤、低炭素排出型印刷システムなどがある。
機能性材料事業では、建材やテキスタイルなど加飾成型や生活関連材料へのインクジェットインキ技術の応用展開、次世代型発光材料やタッチパネル用材料など画像表示材料分野における幅広い製品の開発・市場投入を推進する。
新規事業の創出では、光学、モビリティ、エネルギーにターゲットを絞り、各種機能性材料を軸とした開発を推進している。その一例として関連会社のシークスとの協業では、オプト・ケミカルをベースとした屈折率調整材料やLED封止剤材料、エレクトロニクス・ケミカル材料で構成される電子回路やセンサー材料などの事業創出を推進する方針だ。
またセグメント別の重点施策としては、印刷インキ・機材(日本)では環境配慮型・省エネ志向製品の積極展開、TPM活動の深化と物流最適化によるコスト削減、印刷インキ(アジア)では地域密着型製品の開発推進とパッケージ分野の拡大、環境配慮型・省エネ志向製品の積極展開、印刷インキ(米州)ではフィルムパッケージ印刷用・金属缶印刷用インキの拡販、パッケージ関連設備の増強、研究開発拠点集約による開発強化、印刷インキ(欧州)では拠点再構築による生産・販売体制の強化、ブランド力の強化、機能性材料事業では差別化製品のタイムリーな開発、戦略的パートナーシップの強化を推進している。
積極的な設備投資で生産能力増強
3. 積極的な設備投資
成長を加速させるため設備投資も積極推進している。現時点での設備投資計画は以下のとおりである。
今後の予定として、日本では大阪の研究棟拡張・充実が2021年完工予定、北米では米国ウィスコンシン州のパッケージ用インキ設備増強が2020年完工予定、アジアではタイのパッケージ用インキ設備増強が2020年完工予定、バングラデシュのパッケージ用インキ新工場が2020年完工予定、中国・広東省茂名のオフセットインキ第2工場が2021年完工予定である。
4. 欧州事業の早期黒字化を目指す
なお欧州事業に関しては、販売の伸びに生産が追い付かず、人件費や外注費の増加で損失が続いているため、早期黒字化を目指して生産再編などの構造改革を推進している。
具体的には、不採算だったフランスの工場閉鎖、イギリスとスペインの設備増強とともに、インクジェットインキを生産するチェコ、新たに子会社化したドイツのRUCO社(2020年6月に株式取得完了)を加えて、欧州における生産の最適化を図る方針だ。ブレグジット(EUからのイギリス離脱)に伴い、イギリスで生産している金属缶印刷用メタルインキの一部をEU域内に生産移管することも検討する。拡販及び生産の最適化によって収益改善を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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