■今後の見通し
3.成長戦略
ウェーブロックホールディングス<7940>では、今後の成長戦略として「顧客関係の強化」と「メーカー回帰」を推進することで安定的かつ継続的な成長を目指していく方針だ。ICTの進化やECの普及でバリューチェーンの効率化が進む結果、メーカーと最終顧客の距離がさらに近くなると想定している。このため、同社においてもICT等の積極活用により市場ニーズをより直接的に取り込み、顧客との関係強化につなげていく必要があると考えている。外部からの人材登用も含めて専門チームを立ち上げ、各種取り組みを推進しており、徐々に成果が出始めている状況だ。
具体的には、新型コロナウイルス感染症対策として、飛沫防止フェイスシールド「スーパーテクミラーミラクルファイト」をPMMA/PC2層シートを活用して短期間で開発し、直営ECサイトにて2020年4月より販売を開始している。また、小売店舗向け等で需要が急増している感染防止用透明ビニールカーテン「タフニール」についても、直販のほか「モノタロウ」や「オレンジブック.com」などのECサイトで販売している。マテリアルソリューション事業では、EC&コミュニケーション部を設け、メーカーならではのEC展開を進めることで売上拡大を目指していく。一方で、ECでの売上拡大は既存の取引先となる卸・小売店との関係に影響を与えることになるが、共存共栄を基本スタンスとしており、メーカーゆえに保有するリソースを最大限に生かし、顧客ニーズに合った製品・ソリューションを提供することで成長を目指していく考えだ。
今後の成長分野としては、自動車向けの金属調加飾フィルムが注目される。同製品の特長は、既述のとおり電波透過性や光透過性、防錆性に優れ、成型性、意匠性を有することにある。自動車は5Gや自動運転技術の導入によりさらに進化していく見通しであり、車内外での無線通信のトラフィック量も格段に大きくなることが予想されている。電波干渉の影響を受けやすい金属部品に関しては、軽量化ニーズも含めて樹脂部品への切り替えが進む方向にあり、その流れのなかで金属調加飾フィルムの採用部位も拡大していくものと弊社では予想している。
現在は、ドアの取手部分やフロントグリル外装部品向けなどに採用が進んでいる。特に、自動車衝突防止装置用の電波送受信口をフロントグリルのエンブレムに配置するケースでは、電波透過性の高い金属調加飾フィルムの採用が検討されるケースが多く、中国や欧米メーカーを中心に検討および商談が進んでいる。また、光透過性を生かして昼は金属調の外観として、夜はライトアップにより演色性を高めることができるといった長所も評価されており、海外メーカーで採用が進んでいるもようだ。同社では海外市場での顧客開拓を進めるため、2018年に米国、2019年にドイツにそれぞれ事業拠点を開設しており、営業活動を強化している。現在の売上規模はまだ小さいものの、各メーカーの次期開発モデルでの採用検討は着々と進んでいるようで、中長期的に売上規模が一段と拡大する可能性は大きいと弊社では見ている。なお、M&Aについても引き続き成長戦略の一つとして掲げており、事業シナジーが期待できる企業や顧客基盤を持つ企業などを対象に検討を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3.成長戦略
ウェーブロックホールディングス<7940>では、今後の成長戦略として「顧客関係の強化」と「メーカー回帰」を推進することで安定的かつ継続的な成長を目指していく方針だ。ICTの進化やECの普及でバリューチェーンの効率化が進む結果、メーカーと最終顧客の距離がさらに近くなると想定している。このため、同社においてもICT等の積極活用により市場ニーズをより直接的に取り込み、顧客との関係強化につなげていく必要があると考えている。外部からの人材登用も含めて専門チームを立ち上げ、各種取り組みを推進しており、徐々に成果が出始めている状況だ。
具体的には、新型コロナウイルス感染症対策として、飛沫防止フェイスシールド「スーパーテクミラーミラクルファイト」をPMMA/PC2層シートを活用して短期間で開発し、直営ECサイトにて2020年4月より販売を開始している。また、小売店舗向け等で需要が急増している感染防止用透明ビニールカーテン「タフニール」についても、直販のほか「モノタロウ」や「オレンジブック.com」などのECサイトで販売している。マテリアルソリューション事業では、EC&コミュニケーション部を設け、メーカーならではのEC展開を進めることで売上拡大を目指していく。一方で、ECでの売上拡大は既存の取引先となる卸・小売店との関係に影響を与えることになるが、共存共栄を基本スタンスとしており、メーカーゆえに保有するリソースを最大限に生かし、顧客ニーズに合った製品・ソリューションを提供することで成長を目指していく考えだ。
今後の成長分野としては、自動車向けの金属調加飾フィルムが注目される。同製品の特長は、既述のとおり電波透過性や光透過性、防錆性に優れ、成型性、意匠性を有することにある。自動車は5Gや自動運転技術の導入によりさらに進化していく見通しであり、車内外での無線通信のトラフィック量も格段に大きくなることが予想されている。電波干渉の影響を受けやすい金属部品に関しては、軽量化ニーズも含めて樹脂部品への切り替えが進む方向にあり、その流れのなかで金属調加飾フィルムの採用部位も拡大していくものと弊社では予想している。
現在は、ドアの取手部分やフロントグリル外装部品向けなどに採用が進んでいる。特に、自動車衝突防止装置用の電波送受信口をフロントグリルのエンブレムに配置するケースでは、電波透過性の高い金属調加飾フィルムの採用が検討されるケースが多く、中国や欧米メーカーを中心に検討および商談が進んでいる。また、光透過性を生かして昼は金属調の外観として、夜はライトアップにより演色性を高めることができるといった長所も評価されており、海外メーカーで採用が進んでいるもようだ。同社では海外市場での顧客開拓を進めるため、2018年に米国、2019年にドイツにそれぞれ事業拠点を開設しており、営業活動を強化している。現在の売上規模はまだ小さいものの、各メーカーの次期開発モデルでの採用検討は着々と進んでいるようで、中長期的に売上規模が一段と拡大する可能性は大きいと弊社では見ている。なお、M&Aについても引き続き成長戦略の一つとして掲げており、事業シナジーが期待できる企業や顧客基盤を持つ企業などを対象に検討を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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