ウェーブロックHD Research Memo(10):一過性の費用がなくなるアドバンストテクノロジー事業で増益を見込む

配信元:フィスコ
投稿:2020/07/09 15:10
■今後の見通し

2.事業セグメント別見通し
(1)インテリア事業
ウェーブロックホールディングス<7940>のインテリア事業の売上高は前期比5.1%減の9,200百万円、営業利益は同24.2%減の700百万円となる見通し。新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるものの、サンゲツとの連携を通じて、競合他社を上回るコスト競争力を梃子に、販売価格戦略を見直し数量の確保を狙う。発売から2年目となるサンゲツの量産品見本帳「SP 2019-2021」による量産品並びに比較的利益率の高い中級品の販売増などを目指すが、価格ダウンの影響で減収減益となる見通し。ただ、ナフサ価格の下落により原材料費は会社計画よりも低くなる可能性が高く、利益に関しては保守的なものと考えられる。

なお、主要顧客であるサンゲツの2021年3月期における壁装材の売上計画は前期比15.6%減となっていることから、前期に引き続いて取引シェアの拡大を目指していることがうかがわれる。一方、製造面では、生産設備の改良や生産工程の改善、生産現場の業務改善により、「製造の段取り時間削減」を進めることで時間当たりの生産可能数量を拡大し、市場全体が縮小しても利益の拡大が狙える強固な企業体質に作り上げていく方針だ。

(2)マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業の売上高は前期比3.7%増の16,800百万円、営業利益は同2.6%増の1,150百万円を見込んでいる。メーカーとしての強みを磨くことに回帰すると同時に、既存の販売チャネルとの関係を維持しつつ、市場構造の変革に呼応した事業改革や、ポストコロナに対応した業務改革、市場ニーズの変化に即応した製品開発などに取り組んでいく。特に2021年3月期においては「メーカーの特徴を生かし、メーカーならではのECの展開」を推進していく方針だ。

このため、従来は製造(日本ウェーブロック、ダイオ化成)と販売(イノベックス)で事業会社を分けていたが、2020年4月1日付でイノベックスに合併統合している。日本ウェーブロックは各種シート・フィルム製品を、ダイオ化成では防虫網や園芸用ネットなどをそれぞれ開発製造してきた。今回、これらを販売会社のイノベックスに統合することで、製造と販売、シート&フィルムとネット製品が、より有機的かつ機動的に融合されシナジーが発揮できるものと見ている。

ソリューション分野別の売上見通しでは、前期に低迷したアグリソリューション分野の売上回復を見込んでいるほか、パッケージングソリューション分野についても、新型コロナウイルス感染症の影響で食品用トレー等の需要が伸びており増収となる見通しだ。また、飛沫感染防止用ビニールカーテン「タフニール」についても収益へのインパクトは小さいものの小売店舗向けに需要が急増している。

(3)アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業の売上高は前期比25.0%減の3,000百万円、営業利益は同146.9%増の200百万円と減収増益となる見通し。売上高の減少は金属調加飾フィルムやPMMA/PC2層シートの減収に加えて、前第4四半期に急増した拡散板の仕入販売が一巡することが要因だ。一方、利益面では前期にPMMA/PC2層シートで発生した在庫評価減やクレーム費用などの一時費用がなくなることにより増益を見込んでいる。

金属調加飾フィルムは、中国自動車メーカーの工場が稼働を開始したものの、国内、米国においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響で生産台数が大きく落ち込んでおり、少なくとも上期は厳しい状況が続く見通し。一方、PMMA/PC2層シートについては主要顧客先の中国スマートフォンメーカーでの品質問題は収束したものの、競合との競争激化により新機種への採用は出遅れており、売上計画には若干程度しか織り込んでいない。

湿布薬等の医療用貼付剤用途の特殊印刷分野と、軟包材や段ボール・紙袋向け開封テープを供給するティアテープ及びカットテープ分野については、引き続き安定した売上成長を見込んでいる。

なお、アドバンストテクノロジー事業においても、金属調加飾フィルムの製造販売を行うウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーとPMMA/PC2層シートの製造販売を行うシャインテクノを2020年4月1日付で合併統合している。狙いとしては、営業を一体化することでPMMA/PC2層シートの自動車向けビジネスの拡大を加速していくことにある。現在、PMMA/PC2層シートについては、カーナビゲーションのタッチパネル部分やヘッドアップディスプレイ投射部の防塵シートとして徐々に採用が進んでいるものの、営業リソースが限られていたため十分な掘り起こしができていなかった。営業を一体化することで、顧客に対して様々なソリューション提案を行えるようになり、受注獲得につなげていく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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