■要約
イグニス<3689>は、スマートフォン向けアプリの企画・運営・販売等を主力としている。「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションのもと、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立。ロングセラーであった『ぼくとドラゴン』等の「ゲーム事業」については2020年3月2日に譲渡したが、恋愛・婚活マッチングサービス『with』を主力とする「マッチング事業」が大きく伸びており、収益の柱となっている。さらには、2019年8月にリリースしたバーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』や所属タレント等の自社IPによる音楽ビジネスを展開する「エンターテック事業」についても徐々に実績が積み上がるとともに、今後の方向性も見えてきた。
2020年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比10.2%増の2,992百万円、営業利益が142百万円(前年同期は514百万円の損失)と増収及び大幅な損益改善(営業黒字転換)を実現した。売上高は、引き続き『with』(マッチング事業)の伸びが増収に大きく寄与。「エンターテック事業」もまだ小規模ながら順調に伸びてきた。損益面でも、『with』の伸びが損益改善に大きく寄与したほか、『ぼくとドラゴン』(ゲーム事業)による利益貢献も大きかった。一方、積極的な事業投資段階にある「エンターテック事業」は大幅な営業損失が続いているが、「マッチング事業」と「ゲーム事業」の利益でカバーし、連結ベースで営業黒字を確保した。
2020年9月期の業績予想について同社は、期初の売上高予想を4,000百万円(前期比28.2%減)から5,000百万円(同10.2%減)へ増額修正した。前期比で減収予想となっているのは、期初の段階で詳細未確定であった「ゲーム事業」の譲渡が理由であるが、『with』の伸びが想定を上回る見込みとなったことや、「ゲーム事業」の譲渡のタイミングが2020年3月2日となり、第2四半期の途中まで売上を計上したことが、期初の売上高予想を増額修正した経緯である。一方、利益予想については、「エンターテック事業」における今後の売上高や事業投資について不確定要素があるため、引き続き非公表としている。なお、新型コロナウイルス感染拡大については、「エンターテック事業」におけるIP創出分野では自社所属タレントのイベント中止・延期、内容変更が生じ、またVR音楽ライブプラットフォーム運営の分野では在宅勤務等による若干の生産性低下が懸念されるものの、事業推進・業績全体への影響は軽微であると想定している。
同社の成長戦略は、積み上げ型となる「マッチング事業」及び爆発力のある「エンターテック事業」のそれぞれに経営資源を集中することでバランスの良い事業ポートフォリオを構築し、成長及び拡大を目指す方向性である。特に、『INSPIX LIVE』の『INSPIX WORLD』への大型アップデートやVR音楽ライブの中国展開が、新たな市場の創出(開拓)という点において今後の成長性を大きく左右する可能性が高い。また、当面の注目点として、2020年5月21日に情報解禁となった「初音ミク」VRライブのリリースに向けた動きにも注目する必要がある。
財務面では、2018年3月発行の第14回新株予約権(ドイツ銀行割当)の残存分が、2020年5月13日付で全て行使され、約13億円の資金調達を実現。これに伴い「継続企業の前提に関する注記」(以下、GC注記)の記載が解消された。
■Key Points
・2020年9月期上期の業績は増収及び大幅な損益改善(営業黒字転換)を実現
・「ゲ—ム事業」については2020年3月2日に譲渡完了
・2020年9月期の売上高予想を増額修正(利益予想は非開示)
・積み上げ型となる「マッチング事業」及び爆発力のある「エンターテック事業」による事業ポートフォリオを構築し、成長及び拡大を目指す方向性
・第14回新株予約権(ドイツ銀行割当)の全行使により約13億円の資金調達を実現し、GC注記の記載が解消
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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イグニス<3689>は、スマートフォン向けアプリの企画・運営・販売等を主力としている。「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションのもと、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立。ロングセラーであった『ぼくとドラゴン』等の「ゲーム事業」については2020年3月2日に譲渡したが、恋愛・婚活マッチングサービス『with』を主力とする「マッチング事業」が大きく伸びており、収益の柱となっている。さらには、2019年8月にリリースしたバーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』や所属タレント等の自社IPによる音楽ビジネスを展開する「エンターテック事業」についても徐々に実績が積み上がるとともに、今後の方向性も見えてきた。
2020年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比10.2%増の2,992百万円、営業利益が142百万円(前年同期は514百万円の損失)と増収及び大幅な損益改善(営業黒字転換)を実現した。売上高は、引き続き『with』(マッチング事業)の伸びが増収に大きく寄与。「エンターテック事業」もまだ小規模ながら順調に伸びてきた。損益面でも、『with』の伸びが損益改善に大きく寄与したほか、『ぼくとドラゴン』(ゲーム事業)による利益貢献も大きかった。一方、積極的な事業投資段階にある「エンターテック事業」は大幅な営業損失が続いているが、「マッチング事業」と「ゲーム事業」の利益でカバーし、連結ベースで営業黒字を確保した。
2020年9月期の業績予想について同社は、期初の売上高予想を4,000百万円(前期比28.2%減)から5,000百万円(同10.2%減)へ増額修正した。前期比で減収予想となっているのは、期初の段階で詳細未確定であった「ゲーム事業」の譲渡が理由であるが、『with』の伸びが想定を上回る見込みとなったことや、「ゲーム事業」の譲渡のタイミングが2020年3月2日となり、第2四半期の途中まで売上を計上したことが、期初の売上高予想を増額修正した経緯である。一方、利益予想については、「エンターテック事業」における今後の売上高や事業投資について不確定要素があるため、引き続き非公表としている。なお、新型コロナウイルス感染拡大については、「エンターテック事業」におけるIP創出分野では自社所属タレントのイベント中止・延期、内容変更が生じ、またVR音楽ライブプラットフォーム運営の分野では在宅勤務等による若干の生産性低下が懸念されるものの、事業推進・業績全体への影響は軽微であると想定している。
同社の成長戦略は、積み上げ型となる「マッチング事業」及び爆発力のある「エンターテック事業」のそれぞれに経営資源を集中することでバランスの良い事業ポートフォリオを構築し、成長及び拡大を目指す方向性である。特に、『INSPIX LIVE』の『INSPIX WORLD』への大型アップデートやVR音楽ライブの中国展開が、新たな市場の創出(開拓)という点において今後の成長性を大きく左右する可能性が高い。また、当面の注目点として、2020年5月21日に情報解禁となった「初音ミク」VRライブのリリースに向けた動きにも注目する必要がある。
財務面では、2018年3月発行の第14回新株予約権(ドイツ銀行割当)の残存分が、2020年5月13日付で全て行使され、約13億円の資金調達を実現。これに伴い「継続企業の前提に関する注記」(以下、GC注記)の記載が解消された。
■Key Points
・2020年9月期上期の業績は増収及び大幅な損益改善(営業黒字転換)を実現
・「ゲ—ム事業」については2020年3月2日に譲渡完了
・2020年9月期の売上高予想を増額修正(利益予想は非開示)
・積み上げ型となる「マッチング事業」及び爆発力のある「エンターテック事業」による事業ポートフォリオを構築し、成長及び拡大を目指す方向性
・第14回新株予約権(ドイツ銀行割当)の全行使により約13億円の資金調達を実現し、GC注記の記載が解消
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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