ヒトコムHD Research Memo(9):2020年8月期は前期比12.0%の営業増益予想

配信元:フィスコ
投稿:2020/06/12 15:19
■今後の見通し

ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>の2020年8月期は、第2四半期の実績が期初の利益計画を上回ったものの、通期予想を年初計画から据え置いている。売上高が前期比12.8%増の72,000百万円、営業利益が同12.0%増の3,350百万円、経常利益が同12.2%増の3,370百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.2%増の1,900百万円である。新型コロナウイルスによる影響は、3月から始まる下期に本格化するが、現時点において、その影響を見極めることは難しい状況にある。ただし、バランスシートに占める固定資産の割合が小さく、売上高と利益額に対して従業員数(2019年8月期末:連結704人)も少ないことから、影響は限定的と予想される。

セクターごとの浮き沈みを想定し、当面の影響の緩和措置と今後の成長に向けた取り組みを行っている。アウトソーシング事業と人材派遣事業は、販売系営業支援が東京を中心とした家電量販店など、業務委託先の営業時間短縮や店舗休業の影響を受けている。対応策として、5Gの拡大を見据えたデジタルマーケティングを展開する。データを活用した根拠ある営業支援体制の強化による新たなソリューションの提案や、外国人人材活用体制の推進に取り組む。セールスビジネス支援では、インサイドセールスを活用し効率的・効果的な営業体制を構築する。

ツーリズム・スポーツの分野では、訪日客の激減、国内観光・イベントの自粛・延期やプロスポーツなどの開催延期が起きている。将来のインバウンド需要の急激な回復を見据えたランドオペレーション事業の強化や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期を好機と捉え、ラグビー2019W杯の知見を生かしたスポーツイベントの企画運営力の向上を図る。

EC・TC支援事業は、ネット事業であるためコロナの影響を受けておらず、むしろビジネス機会が増大している。実店舗での販売が困難になった企業がECにシフトしており、同社グループはECサイト支援・受託の新規顧客開拓や食品など新業態への拡大を図る。

ホールセールは、主な生産拠点である中国の物流混乱などによる商品の納期遅延の発生が危惧される。生産・物流拠点の見直しなどによるバリューチェーンの最適化やリスク分散化を図る。

2021年8月期の好材料として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と5Gの普及が挙げられる。いずれも国家的なイベントとなる。携帯電話などに用いられる移動体通信システムは、おおむね10年おきに世代交代する。2020年春から商用サービスが開始された5Gは、来期以降に普及が進むだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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