ピアラ Research Memo(2):業界特化型マーケティング支援企業で、成果にコミットするKPI保証が特徴(1)

配信元:フィスコ
投稿:2020/05/21 15:02
■会社概要

1. 会社沿革
ピアラ<7044>は、2004年に現代表取締役の飛鳥 貴雄(あすかたかお)氏が資本金100万円で有限会社ピアラとして創業したのが始まりとなる。飛鳥氏は創業前に大手外資系アパレルのトリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)に在籍しマーケティング部門を統括していたが、もともと独立志向が強く、アパレルブランドを自身で立ち上げたいとの想いで学生時代の友人ら3名とともに会社を立ち上げた。

創業当初は、前職時代の経験を生かして紙媒体のカタログにチラシを同封するビジネスモデルでスタートし、2008年からWebマーケティングのサービスを開始する。現在のECカートシステムである「RESULT EC(リザルトイーシー)」やクローズド型アフィリエイトASP「RESULT PLUS(リザルトプラス)」などがそれだ。「RESULT PLUS」は初代版のみ開発を外部に委託したが、「RESULT EC」や2012年に開発したAI搭載マーケティングオートメーションツール「RESULT MASTER(リザルトマスター)」などその後のプラットフォームはすべて自社で開発している。

デジタルマーケティング支援を展開していくなかで、これらのソリューションは多くの企業が開発・提供していたことから、差別化を図るためにソリューションサービスを無料にし、クライアント企業に対して成果(新規顧客獲得、リピート受注の獲得等)にコミットすることで成果報酬を獲得する「KPI保証サービス」を開始する。クライアント企業が1年かけて販売していた商品を3ヶ月で完売させたり、ヒット商品を創出するなど結果を出し続けることでクライアント企業からの評価も高まり、成長軌道に乗せていった。

また、同社は顧客ターゲットとして、SNSなどデジタルメディアと親和性の高いB&H及び食品分野の通販企業に特化して事業展開を進めているが、同様にこれら分野において高い費用対効果が得られる対面型のマーケティング支援にも注力している。2018年9月には全国に約2万局ある郵便局の広告指定代理店となり、局内で実演販売や悩み相談会等も開催している。

海外にも事業展開を進めており、2012年にタイに子会社を設立して以降、2013年に中国、2019年に台湾、ベトナムに子会社を設立し、アジア市場での日本商品のマーケティング支援に注力している。

なお、創業の目的の1つであったアパレル事業については、2009年に「Marblee(マーブリー)」ブランドを立ち上げたが、2016年に事業譲渡により撤退しており、その後はマーケティング支援事業に特化して事業拡大を進めている。また、2012年に比亞莱集団有限公司が同社の全株を取得し、比亞莱集団有限公司を親会社とする持株会社体制に移行しているが、これは当時、日本の株式市場の環境が思わしくなかったことから、香港市場での株式上場を目指していたためで、外部の資本が入ったわけではない。その後、日本の市場環境も好転し、日本で株式上場を目指す方針に切り替えたため、2014年に持株会社体制を解消し、2018年12月に東証マザーズ市場に上場を果たしている。

2. グループ体制と事業内容
(1) 子会社の状況
同社の事業は、同社及び連結子会社6社により構成されている。子会社のうち、(株)PIALab.は沖縄を拠点とし、マーケティングオートメーションの研究やアプリケーションソフトの開発などを行っている。また、2018年5月には徳島支社として「徳島おもてなし研究センター」を開設し、コールセンター業務(アルバイトを含めて65名程度)やチャットボットの運用などを行っている。これまで外部委託していたコールセンター業務の一部を、同子会社で代替している。

海外子会社については、タイのPIATEC(Thailand)Co.,Ltd.でシステム開発や運用保守管理業務を行っている。また、タイへの進出支援業務や和食料理動画メディア「Channel J(チャンネルジェイ)」の運営については、2019年8月に新設したCHANNEL J(THAILAND)Co.,Ltd.に移管しており、事業強化を進めている。中国では比智(杭州)商貿有限公司が、大手ECサイト(天猫、淘宝網等)や大手SNS(微信、微博)を活用したマーケティング企画、制作、デザイン、広告運用等を行っている。そのほか、越境EC支援や輸入請負販売代行サービスを行う子会社を2019年に台湾、ベトナムに設立している。海外事業の売上高は2019年12月期で2%弱とまだ小さいため、業績への影響は軽微なものの、B&H及び食品分野における日本企業のアジア進出意欲は強く、中長期的な成長を見込み進出している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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