“(明確な)雲への潜り込み”を巡る攻防戦…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2020/05/11 10:41

◆ “大幅悪化”も、予想ほどは“悪化せず” - 米雇用統計

「△2050万人(非農業部門雇用者数)」「14.7%(失業率)」

想定された通り、米雇用統計は“見たこともない数値”となりました。
しかしながら「事前予想(△2200万人/16.0%)」ほどは悪化していないこともあり、センチメントは“逆に改善”しています。
“低賃金者の大幅雇用減”という特殊要因こそあるものの、「平均時給の大幅増(前月比:+0.5%→+4.7%/前年比:+3.3%→+7.9%)」も後を押した印象があり、ドル円は“106.742円”へと上値を伸ばしました。

一方で“日足・一目均衡表の雲(下限は106.697円)”が行く手を阻む構図は、何ら変わっておりません。
このため“上抜け”に至っておらず、期待した“雲への潜り込み”も明確とはいえない状況が続いています。
“買い戻し”こそ進行しているものの、現時点では“上値の重さ”も変わっていないと見るべきかもしれません。

◆ 「分水嶺」に接近中…

こうして“幾分改善”に留まった米雇用統計ですが、ここに来て新たに「米中懸念の緩和」も見え隠れしつつあります。
「株式主導のリスク選好」に加え、「債券主導のリスク回避」が巻き戻されるようなことがあると、“もう一段の上値追い”も期待できる…?

テクニカル的には“(明確な)雲への潜り込み”が引き続きポイントと見られますが、仮に成功すれば、“4/17~5/7の50%戻し(107.033円)”“同61.8%戻し(107.280円)”を経て、“4/30高値(107.502円)”まで上値メドが拡大する分水嶺でもあります。
“方向感定まらず”は変わっていませんが、“もう一段の巻き戻し”は十分に期待できる局面と考えたいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:107.502(4/30高値、50日移動平均線)
上値4:107.403(5/1高値、ピボットハイブレイクアウト)
上値3:107.282(4/6~5/7の38.2%戻し、4/17~5/7の61.8%戻し)
上値2:107.066(5/4高値、20日移動平均線、4/17~5/7の50%戻し、ピボット2ndレジスタンス、大台)
上値1:106.896(5/5高値、4/30~5/7の61.8%戻し、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:106.732(日足・一目均衡表先行スパン下限/転換線、週足・一目均衡表基準線、月足・一目均衡表転換線)
下値1:106.612(-1σ)
下値2:106.453(5/7~5/8の38.2%押し)
下値3:106.364(5/7~5/8の50%押し、ピボット1stサポート)
下値4:106.222(5/8安値、100月移動平均線、5/7~5/8の61.8%押し)
下値5:106.087(-2σ、ピボット2ndサポート)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想