■業績動向
1. 2019年12月期の業績動向
クロス・マーケティンググループ<3675>の2019年12月期の業績は、売上高18,580百万円(前期比6.2%増)、営業利益1,267百万円(同32.7%増)、経常利益1,150百万円(同36.9%増)、親会社株主に帰属する当期純損失477百万円(前年同期は507百万円の利益)となった。
期初の会社計画に比べて、売上高で1,420百万円の未達、営業利益で17百万円の過達、経常利益で41百万円の過達、親会社株主に帰属する当期純利益で1,047百万円の未達となった。売上高の未達はKadenceグループで予定していた大型案件の売上計上が期ずれを起こしたこと、営業利益、経常利益の過達は国内事業が堅調だった上コストコントロールが効いたこと、親会社株主に帰属する当期純利益の未達はKadenceグループの各社において、大型案件の計上の遅れや組織体制の変化、業績動向を考慮し、減損損失1,085百万円を特別損失に計上したことが要因である。
ITソリューション事業とプロモーション事業が大幅増収
2. 2019年12月期のセグメント別業績動向
セグメント別の業績については、リサーチ事業が売上高14,554百万円(前期比1.8%増)、営業利益2,249百万円(同15.7%増)、ITソリューション事業が売上高3,284百万円(同29.2%増)、営業利益274百万円(同6.2%減)、その他の事業が売上高742百万円(同13.0%増)、営業利益106百万円(同80.2%増)となった。
リサーチ事業については、国内・海外ともに新規顧客の開拓と既存顧客の深耕を進めた。国内では、主力のクロス・マーケティングを中心に営業体制を強化したほか、デジタルマーケティングやビッグデータの領域における新サービスを開発・提供したことで、一般事業会社や広告代理店などからの受注が増加し、堅調な業績となった。特にメディカル・ヘルスケアリサーチを展開するメディリードは、新サービスの開発・展開に加え、積極的な営業活動により受注が拡大し、前期比33%の大幅増収となった。海外は、堅調に推移している拠点はあるものの、香港やベトナムなど一部拠点でそれぞれの状況に応じて再編成を実施した。なお、遅れていた大型案件の一部が第4四半期に売上計上されるなど、底打ちの兆しが見受けられるのは朗報だ。
ITソリューション事業については、積極的な営業展開による新規顧客開拓に加え、得意の金融業界を中心に既存顧客から継続的に受注を獲得することができた。また、2018年11月に子会社化したサポタントの連結を開始したこともあって、売上は好調に推移した。しかし、受託案件の開発リソース・品質の管理を徹底して粗利率の確保に努めたものの、サポタントののれん償却により営業利益は減益となった。その他の事業については、プロモーション事業を行っているディーアンドエムが、リサーチ事業とのグループ内連携により営業体制が強化され、広告代理店など顧客開拓が順調に推移した。また、デジタルマーケティングやプロモーションサービスなど、運用型案件を積極的に獲得したこともあって大幅増収増益となった。
最高益更新の見通しだが、それでもやや保守的
3. 2020年12月期の業績見通し
同社は2020年12月期業績見通しについて、売上高19,570百万円(前期比5.3%増)、営業利益1,360百万円(同7.3%増)、経常利益1,330百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益820百万円(同1,297百万円の増益)を見込んでいる。
主力の国内リサーチ事業では、新規顧客の開拓と既存顧客への深耕を進める一方、業務の効率化や生産性向上に向け、システム投資やBPO(Business Process Outsourcing)、BPR(Business Process Re-engineering)を推進する方針である。海外リサーチ事業は、Kadenceグループ全体として改めて成長可能な事業構造・組織体制を構築しつつ、一定の収益確保を目指す。ITソリューション事業を含むデジタルマーケティング領域においては、さらに積極的に投資を行う計画である。このように各事業とも着実な業容拡大、付加価値の向上、生産性の高い事業構造構築を目指すが、一方で中期成長に向けた人材採用やサービス開発、デジタルトランスフォーメーションに伴う投資も行っていく方針である。とはいえ、2019年12月期までの構造改革で海外リサーチ事業の収益性改善が期待できること、国内の事業に関しては好調継続が予想されることから、同社の見通しはやや保守的と思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2019年12月期の業績動向
クロス・マーケティンググループ<3675>の2019年12月期の業績は、売上高18,580百万円(前期比6.2%増)、営業利益1,267百万円(同32.7%増)、経常利益1,150百万円(同36.9%増)、親会社株主に帰属する当期純損失477百万円(前年同期は507百万円の利益)となった。
期初の会社計画に比べて、売上高で1,420百万円の未達、営業利益で17百万円の過達、経常利益で41百万円の過達、親会社株主に帰属する当期純利益で1,047百万円の未達となった。売上高の未達はKadenceグループで予定していた大型案件の売上計上が期ずれを起こしたこと、営業利益、経常利益の過達は国内事業が堅調だった上コストコントロールが効いたこと、親会社株主に帰属する当期純利益の未達はKadenceグループの各社において、大型案件の計上の遅れや組織体制の変化、業績動向を考慮し、減損損失1,085百万円を特別損失に計上したことが要因である。
ITソリューション事業とプロモーション事業が大幅増収
2. 2019年12月期のセグメント別業績動向
セグメント別の業績については、リサーチ事業が売上高14,554百万円(前期比1.8%増)、営業利益2,249百万円(同15.7%増)、ITソリューション事業が売上高3,284百万円(同29.2%増)、営業利益274百万円(同6.2%減)、その他の事業が売上高742百万円(同13.0%増)、営業利益106百万円(同80.2%増)となった。
リサーチ事業については、国内・海外ともに新規顧客の開拓と既存顧客の深耕を進めた。国内では、主力のクロス・マーケティングを中心に営業体制を強化したほか、デジタルマーケティングやビッグデータの領域における新サービスを開発・提供したことで、一般事業会社や広告代理店などからの受注が増加し、堅調な業績となった。特にメディカル・ヘルスケアリサーチを展開するメディリードは、新サービスの開発・展開に加え、積極的な営業活動により受注が拡大し、前期比33%の大幅増収となった。海外は、堅調に推移している拠点はあるものの、香港やベトナムなど一部拠点でそれぞれの状況に応じて再編成を実施した。なお、遅れていた大型案件の一部が第4四半期に売上計上されるなど、底打ちの兆しが見受けられるのは朗報だ。
ITソリューション事業については、積極的な営業展開による新規顧客開拓に加え、得意の金融業界を中心に既存顧客から継続的に受注を獲得することができた。また、2018年11月に子会社化したサポタントの連結を開始したこともあって、売上は好調に推移した。しかし、受託案件の開発リソース・品質の管理を徹底して粗利率の確保に努めたものの、サポタントののれん償却により営業利益は減益となった。その他の事業については、プロモーション事業を行っているディーアンドエムが、リサーチ事業とのグループ内連携により営業体制が強化され、広告代理店など顧客開拓が順調に推移した。また、デジタルマーケティングやプロモーションサービスなど、運用型案件を積極的に獲得したこともあって大幅増収増益となった。
最高益更新の見通しだが、それでもやや保守的
3. 2020年12月期の業績見通し
同社は2020年12月期業績見通しについて、売上高19,570百万円(前期比5.3%増)、営業利益1,360百万円(同7.3%増)、経常利益1,330百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益820百万円(同1,297百万円の増益)を見込んでいる。
主力の国内リサーチ事業では、新規顧客の開拓と既存顧客への深耕を進める一方、業務の効率化や生産性向上に向け、システム投資やBPO(Business Process Outsourcing)、BPR(Business Process Re-engineering)を推進する方針である。海外リサーチ事業は、Kadenceグループ全体として改めて成長可能な事業構造・組織体制を構築しつつ、一定の収益確保を目指す。ITソリューション事業を含むデジタルマーケティング領域においては、さらに積極的に投資を行う計画である。このように各事業とも着実な業容拡大、付加価値の向上、生産性の高い事業構造構築を目指すが、一方で中期成長に向けた人材採用やサービス開発、デジタルトランスフォーメーションに伴う投資も行っていく方針である。とはいえ、2019年12月期までの構造改革で海外リサーチ事業の収益性改善が期待できること、国内の事業に関しては好調継続が予想されることから、同社の見通しはやや保守的と思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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