新型ウイルス巡り乱高下
新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、茲許のドル/円相場は109円台後半から112円台前半まで急伸したのち110円台前半へと反落する乱高下を演じた。米国は新型ウイルス流行の影響を最も受けにくいとの評価に基づきドルは上昇していたが、米2月製造業/サービス業PMIで企業センチメントが予想外に悪化した事をきっかけに反落。一方、新型ウイルスに汚染されたクルーズ船を巡る日本政府の対応に批判が集まるなど、日本リスクで一時売られた円は、感染がイランやイタリアなどアジア域外にも拡大すると買い戻しが入った。新型ウイルスの影響で、ドルと円を巡る市場の評価がいずれも目まぐるしく変化しているだけに、ドル/円は方向感を掴みにくい相場展開となりそうだ。目先的に乱高下が繰り返される可能性もあろう。本日は、新型ウイルスの流行によって世界経済の先行き不安が広がる中、昨日大幅安となった欧米株式市場の動向が注目されよう。その他、昨日は米10年債利回りが1.35%台まで低下して2016年7月に記録した史上最低水準(1.32%前後)に接近した。本日の米国債市場の動向にも注目が集まりそうだ。ドル/円相場の値動きの面では、110.30円前後を下値支持にできるかどうかに注目したい110.30円前後はかつての上値抵抗であり、先週19日に突破した事で上昇に弾みが着いたチャートポイントだ。他方、112円台で売りそびれた向きは少なくないと見られるだけに、111円台後半から強まる事が予想される戻り売りをこなせるかにも注目したい。