WHO、新型ウイルス「緊急事態」宣言=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2020/01/31 09:10

WHO、新型ウイルス「緊急事態」宣言

昨日のドル/円は、約3週間ぶり安値を更新したものの持ち直した。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、一時は今月8日以来の安値となる108.58円前後まで下落した。しかし、NY市場終盤には買戻しが優勢となり109.00円付近まで値を戻した。新型ウイルスは中国本土の感染者が7700人を超え、米国でも初めてヒトからヒトへの感染を確認。こうした中、世界保健機関(WHO)は、前回見送った「緊急事態」を宣言した。ただ、WHOのテドロス事務局長が「中国との取引や旅行の制限は提言しない」と述べた事などから過度な懸念が後退し、米国株は反発して取引を終えた。WHOの「緊急事態」宣言により、各国が感染拡大防止に向けた協調を強めるとの期待も浮上する中、本日のアジア市場の動向が注目される。特に、昨日大きく下落した台湾株や香港株の動きに注目したい。市場心理の悪化に歯止めがかかれば、ドル/円の反発も見込めそうだ。とはいえ、週末を控えて市場のムードが大きく好転する事は考えにくく、109円台前半では上値が重くなりそうだ。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想