■中長期成長戦略その進捗状況
1. 新中期経営計画『NEXT1800』について
(1) 中期経営計画の概要
サンワテクノス<8137>は2019年5月に新3ヶ年中期経営計画『NEXT1800』を公表した。同社の中長期の成長戦略は、この3ヶ年中期経営計画をメルクマール(道標)に、そこで掲げた重点施策や計数目標の着実な実行を通じて中長期にわたる持続的成長の実現を目指すことを旨としている。
同社は長期経営ビジョンとして「サンワビジョン2025」を有しており、そこでは“コアビジネスの強化で、ものづくり現場と流通のトータルコーディネーター企業として地域社会の産業振興の発展に貢献し、2026年3月期に2,500億円の連結売上高へチャレンジできる体制を構築”していくとしている。新中期経営計画『NEXT1800』はこれまでの中期経営計画と同様、同社の経営理念及び「サンワビジョン2025」の実現に向けた3年間のアクションプランという位置付けだ。
『NEXT1800』では、基本方針として“コアビジネスの強化で顧客のものづくりに貢献する”を始めとして4項目を掲げている。その上で、それぞれの方針を受けた重点施策を掲げている。詳細は後述するが、収益成長の中核の部分では前中期経営計画『Challenge1500』を進化・発展させて、より確度の高い成長戦略の実現を目指す一方、新たな取り組みとしてより長期的な成長への布石となるような新事業創出への取り組みを掲げた。また、社会の変化に対応する形でICTの活用で生産性を高める働き方改革や働きがいのある企業風土の実現、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献など、社会性の強いテーマを従来以上に前面に出している。
(2) 『NEXT1800』の経営目標
『NEXT1800』の経営目標としては、中期経営計画のタイトルにあるように、最終年度の2022年3月期において売上高180,000百万円、営業利益4,800百万円、経常利益5,000百万円の達成を掲げている。
その初年度に当たる2020年3月期は、上期決算が期初予想を下回って着地し、通期予想も期初予想から下方修正されている。こうした状況から、2021年3月期及び2022年3月期の経営目標値も今後修正される可能性はある。
しかしながら、既述のように同社の業績は取扱商材の実需に対して上下に大きく変動する特性がある。2020年3月期はそれが下方向に出たわけだが、需要回復局面では反対に同社の業績が実需の動き以上に強いモメンタムを示すと期待される。
問題はそのタイミングだが、現在の業績悪化の主因となっている米中貿易摩擦は、米国による関税措置第4弾(前半1,120億米ドル分を2019年9月1日に実施、後半1,600億米ドル分は12月15日発動予定)で一旦の終了となると考えられる。中国からの輸入額5,500億米ドルのほぼすべてに制裁関税を課したことになるためだ。関税率の引き上げ等の制裁強化の動きが継続することも可能性としてはあるものの、今後両国は貿易協議による摩擦緩和へと軸足を移していくことになると弊社ではみている。
こうした見方が正しいとするならば、同社を取り巻く事業環境の最悪期は上期だった可能性が高まる。企業経営者は先行きを予想しながら先行的に投資を行い、実需を着実に取り込もうとするためだ。米中貿易摩擦には香港やウイグルなどの問題が絡み合っているほか、米中以外のところではブレグジット等の他の要因もあって、一足飛びに問題が解決するとは期待すべきではないが、緩やかに、しかし着実に改善して行けば、同社の業績もまた底を打ち、右肩上がり基調に戻ると期待される。こうしたスピード感で考えれば、2022年3月期に実需が本格的な回復期を迎え、その恩恵を受けて同社の業績が上振れする可能性は十分あり得ると弊社ではみている。2020年3月期見通しの下方修正によって発射台が一旦引き下げられたものの2022年3月期の業績水準が当初計画の線に落ち着くという可能性は十分にあるということだ。
こうした外部要因とは別に、同社自身の成長への取り組みは、着実に進捗している。新中期経営計画がスタートして間がないため、企業業績に明確に反映されないものも多いが、水面下では着実に進捗している。以下では4つの基本方針(テーマ)について具体的な進捗状況を紹介する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
1. 新中期経営計画『NEXT1800』について
(1) 中期経営計画の概要
サンワテクノス<8137>は2019年5月に新3ヶ年中期経営計画『NEXT1800』を公表した。同社の中長期の成長戦略は、この3ヶ年中期経営計画をメルクマール(道標)に、そこで掲げた重点施策や計数目標の着実な実行を通じて中長期にわたる持続的成長の実現を目指すことを旨としている。
同社は長期経営ビジョンとして「サンワビジョン2025」を有しており、そこでは“コアビジネスの強化で、ものづくり現場と流通のトータルコーディネーター企業として地域社会の産業振興の発展に貢献し、2026年3月期に2,500億円の連結売上高へチャレンジできる体制を構築”していくとしている。新中期経営計画『NEXT1800』はこれまでの中期経営計画と同様、同社の経営理念及び「サンワビジョン2025」の実現に向けた3年間のアクションプランという位置付けだ。
『NEXT1800』では、基本方針として“コアビジネスの強化で顧客のものづくりに貢献する”を始めとして4項目を掲げている。その上で、それぞれの方針を受けた重点施策を掲げている。詳細は後述するが、収益成長の中核の部分では前中期経営計画『Challenge1500』を進化・発展させて、より確度の高い成長戦略の実現を目指す一方、新たな取り組みとしてより長期的な成長への布石となるような新事業創出への取り組みを掲げた。また、社会の変化に対応する形でICTの活用で生産性を高める働き方改革や働きがいのある企業風土の実現、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献など、社会性の強いテーマを従来以上に前面に出している。
(2) 『NEXT1800』の経営目標
『NEXT1800』の経営目標としては、中期経営計画のタイトルにあるように、最終年度の2022年3月期において売上高180,000百万円、営業利益4,800百万円、経常利益5,000百万円の達成を掲げている。
その初年度に当たる2020年3月期は、上期決算が期初予想を下回って着地し、通期予想も期初予想から下方修正されている。こうした状況から、2021年3月期及び2022年3月期の経営目標値も今後修正される可能性はある。
しかしながら、既述のように同社の業績は取扱商材の実需に対して上下に大きく変動する特性がある。2020年3月期はそれが下方向に出たわけだが、需要回復局面では反対に同社の業績が実需の動き以上に強いモメンタムを示すと期待される。
問題はそのタイミングだが、現在の業績悪化の主因となっている米中貿易摩擦は、米国による関税措置第4弾(前半1,120億米ドル分を2019年9月1日に実施、後半1,600億米ドル分は12月15日発動予定)で一旦の終了となると考えられる。中国からの輸入額5,500億米ドルのほぼすべてに制裁関税を課したことになるためだ。関税率の引き上げ等の制裁強化の動きが継続することも可能性としてはあるものの、今後両国は貿易協議による摩擦緩和へと軸足を移していくことになると弊社ではみている。
こうした見方が正しいとするならば、同社を取り巻く事業環境の最悪期は上期だった可能性が高まる。企業経営者は先行きを予想しながら先行的に投資を行い、実需を着実に取り込もうとするためだ。米中貿易摩擦には香港やウイグルなどの問題が絡み合っているほか、米中以外のところではブレグジット等の他の要因もあって、一足飛びに問題が解決するとは期待すべきではないが、緩やかに、しかし着実に改善して行けば、同社の業績もまた底を打ち、右肩上がり基調に戻ると期待される。こうしたスピード感で考えれば、2022年3月期に実需が本格的な回復期を迎え、その恩恵を受けて同社の業績が上振れする可能性は十分あり得ると弊社ではみている。2020年3月期見通しの下方修正によって発射台が一旦引き下げられたものの2022年3月期の業績水準が当初計画の線に落ち着くという可能性は十分にあるということだ。
こうした外部要因とは別に、同社自身の成長への取り組みは、着実に進捗している。新中期経営計画がスタートして間がないため、企業業績に明確に反映されないものも多いが、水面下では着実に進捗している。以下では4つの基本方針(テーマ)について具体的な進捗状況を紹介する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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