今週も米中通商協議の早期合意を巡る思惑で23000~23500円の中のもみあい

著者:出島 昇
投稿:2019/11/25 18:25

週始めの23420円を高値に、一時22726円まで急落するも終値では23000円台守る

 先週の予想では、基本的には日経平均は米中の合意の進展次第だとし、方向性が不透明な状況では、23000円水準を下値に日柄調整になるとしました。

 結果的には、米中の合意は方向性が不透明なままであり、NYダウは週半ばから高値圏で軟調な動きとなったことで、日経平均も軟調な動きとなり、21日(木)には香港問題から合意が遠のくとみられ、一時▼421円の22726円まで急落しましたが、終値では23000円台を守り週の終値も△74円の23112円で引けました。

 11月18日(月)は、前週末のNYダウが4日続伸して28000ドルのせとなったことで、日経平均は△0.93円の23304円でスタートしたものの、円安とハンセン指数の上昇を受けて△113円の23416円と続伸しました。

 しかし、19日(火)は、前日の米株式は史上最高値続くものの、米中通商交渉の合意をめぐって方向性が不透明な状況となって、又、為替がドル売り・円買い基調となったことで、一時▼171円の23244円まで下落し、終値は▼124円の23292円と3日ぶりに反落しました。

 20日(水)は、前日の米議会で「香港人権民主主義法案」を全会一致で可決したことで、米中対立激化懸念からNYダウは▼102ドルと反落し、日経平均も売り先行で▼116円の23176円で寄り付き、一時▼206円の23086円まで下げ、後場になると日銀のETF買い期待を支えに下げ渋るものの戻り弱く▼144円の23148円と続落しました。

 21日(木)は、前日の米国のロイター報道で第二弾の合意への文書への署名が来年にずれ込む見込みとされたことを嫌気し、主要3指標そろって下落し、これを受けて日経平均は▼77円の23071円で寄り付くと、前場にCTA(商品投資顧問業者)による売り仕掛けで、一時▼421円の22726円まで下落し、前引けは下げ幅を縮小して▼276円の22872円と23000円を割って引けました。しかし、後場になると押し目買いと買い戻しで23000円台を回復し、前場の▼421円から大引けは▼109円の23038円と大幅に下落幅を縮小して引けました。

 22日(金)は、前日の米株式は米中合意を巡る不透明感が重しとなって続落しましが、日経平均は▼8円の23030円で寄り付くと、昨日までの3日間下落で過熱感が後退したこともあり、一時△180円の23219円まで上昇し、前引けは△141円の23180円でした。後場になると昼休みの間に上海株式が下げに転じ、ハンセン指数も上げ幅を縮小したことで、伸び悩み△74円の23112円で引けました。

 22日(金)の米国市場は、トランプ大統領と習主席の合意への前向きな発言を受け、又、良好な経済指標や好決算の百貨店株の上昇を受け、3指標そろって反発し、NYダウは△109ドルの27875ドルと4日ぶりの反発となりました。シカゴの日経先物は△35円の23165円でした。

今週も米中通商協議の早期合意を巡る思惑で23000~23500円の中のもみあい

 今週は、先週末に米中の首脳が第1段階の早期合意について前向きな発言をしたことで、3指標そろって反発し、NYダウも4日ぶりの反発となったことで、買いスタートで始まることが想定されます。しかし、その後は再び米中通商協議の行方に注目が集まることになります。というのは米国議会で「香港人権民主主義法案」が可決されたことで、トランプ大統領の対決姿勢では、中国側が内政干渉として対立する可能性があるからです。一部で合意は来年に延びたという見方もあるようです。早期合意への期待感が先行して株価が上昇してきただけに早期合意が後退することは株式市場にとってはマイナス要因となります。今週は国内外で大きなイベントはなく、28日は米国市場が感謝祭で休場(翌日は短縮営業)ですので、週を通して閑散相場になりやすく、日本市場も連動して23000~23500円のレンジの中でのもみあいとなりそうです。

 本日は、先週末の米国市場で米中両首脳の早期合意に向けての前向きの発言が伝わり、3指標そろって上昇(NYダウは4日ぶり反発)したことで、買い先行の△179円の23292円で寄り付き、香港の区議会議員選挙で民主派が過半数を獲得する見通しとなったことでハンセン指数が上昇し、上海株も上昇したことで、一時△234円の23347円まで上昇しました。買い一巡後は伸び悩むものの下値は限定的で△179円の23292円で引けました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、23000円水準を下値に日柄調整をしてもいいところとし、その場合は米中通商協議の第1段階の合意見通しが進展しない場合だとしました。

 結局、週の中盤から合意見通しがはっきりせず、さらに香港問題で米議会の「香港人権民主主義法案」が全会一致で可決されると、米中激化懸念が高まり、21日(木)は一時、日経平均は▼421円の22726円まで下落しました。これはCTA(商品投資顧問業者)の売り仕掛けで、すぐに押し目買いと買い戻しが入り、23000円台を回復し、週末も23000円台で引けました。

 今週は、国内や米国での大きなイベントはなく、米中通商協議の行方と香港情勢を巡り米中対立激化懸念が相場の材料となります。特に米議会が可決した「香港人権民主主義法案」に対し、中国が非難しているためトランプ大統領の対応によっては、米中通商協議の早期合意は後退し、相場にマイナス材料となる可能性もありあす。28日は米国市場は感謝祭で休場のため閑散相場となって上下にブレやすくなる可能性もあります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、米中の合意の方向性が不透明なままであれば、高値圏にあり28000ドルに到達しただけに株価は不安定な値動きの可能性もあるとしました。

 結果的に、11月19日(火)にザラ場で28090ドルの最高値をつけて反落となり、米中通商合意を巡る不透明さが重しとなりました。週末は両首脳の合意への前向きな報道がなされ△109ドルの27875ドルと反発して引けました。

 今週も先週に引き続き、米中通商協議の合意を巡って株式相場が変動する展開となるが、28日(木)は感謝祭で休場、29日(金)は午後1時までの短縮相場のため、週を通して換算相場となる可能性があります。25日はパウエル議長の講演が予定されていますが、現状では利下げは期待しにくい状況のため相場に影響を与えるようなコメントはないと思われる。最高値圏でのもみあいとなりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、米中通商協議は、第1段階の合意に近づいているものの、これまでの関税を巡っては意見が合わず不透明感が残されているが、ドル・円は基本的に底堅い動きとしました。

 結局、米中通商協議の行方を巡って売買が交錯し、ドル・円は伸び悩みました。その1つの理由は11月20日に香港人権法案を米議会が可決したことから、米中の合意が今年中に成立しないとの見方が広がり、ドル売り材料となりました。その後、米中首脳が合意への期待を述べたことでドル売り一服となりました。108.28~109.07円のレンジでの動きでした。

 今週も引き続き、米中通商協議の合意の時期やFRBの金融政策を巡る思惑が交錯し、方向感の乏しい相場展開となりそうです。

 特に米議会で成立した「香港人権民主主義法案」を巡る両国の関係悪化懸念から早い段階の合意期待が低下しています。そのため米中通商協議の先行きは依然として不透明であることから、ドル・円は狭いレンジでの値動きが続くと思われます。107.5~109.5円のレンジを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム