明日の株式相場戦略=個別株のダイナミズムに着目する時

世界的な緩和競争が流動性相場を後押ししているほか、頼みの綱である米国経済に対する信頼感が改めて高まりつつある。前週末の10月の米雇用統計に続き、前日発表された10月のISM非製造業景況感指数が改善傾向を示し、これらを背景に米10年債利回りが1.86%台まで浮上、これは終値ベースでは8月1日以来3カ月ぶりの水準となる。外国為替市場では米中協議の進展期待もリスクオンを後押ししドル買いの動きを誘導、1ドル=109円台前半まで進んだ円安が株式市場には心地よいBGMとなった。
この時期は決算発表が絡むためなかなか一筋縄ではいかないが、こういう時は、既に決算発表を終え時間が経過している銘柄や、決算期が違う銘柄などの値動きをみると大体の感触がつかめる。地合いは総じて悪くない。引け後に、全体指数に影響の大きいソフトバンクグループ<9984.T>の決算が発表されたが、上期の営業赤字をマーケットがどう評価するか、あすの値動きが注目される。
個別銘柄全般をみても強い足を際立たせるものが増えてきた。新高値銘柄は、きょうは東証1部で202に達した(東証1部以外では東証2部が13、マザーズ3、ジャスダック24)。ちなみに日経平均が400円高した前日に東証1部の新高値銘柄は247と急増し直近のピークをつけた。しかし、これは特異な現象ではない。前週1週間をさかのぼると、東証1部で新高値をつけた銘柄は前週末1日が104、10月31日が191、30日が214、29日が227、28日が165だった。10月下旬から新高値圏に躍り出る銘柄が急増傾向をたどっている。
したがって、ここは強い株につくというセオリーが一段と生きてくる地合いとなっている。もちろん、東証1部の騰落レシオが恒常的に120%台を上回る状況下、リターンリバーサルを狙う手法も立派なストラテジーだが、個別株のダイナミズムを感じられる地合いにあって、その流れに則した順張り戦略の有効性は高い。
要は買った後の投資スタンスが重要となる。反転した時を想定してロスカットポイントを決めて臨めば、上値追い途上の株につくというのは、それほど怖いものではない。「深追い」との線引きを自分なりにしっかりしておくことが大切だ。
例えば6月下旬につけた年初来高値1349円の更新を目前に捉えている都築電気<8157.T>は強い株の典型と言ってよさそう。19年4~9月期営業利益は前年同期比約3倍の10億5400万円と好調だった。PER10倍未満で3%近い配当利回りを確保しながらPBR0.8倍近辺の時価は依然として水準訂正余地が意識される。富士通系ディーラーでAI・IoT分野のツボを心得ている。このほか、PBR0.5倍で配当利回りが4%ある佐鳥電機<7420.T>なども併せてマークしておきたい。
また、目先やや過熱感も否定できないアイドママーケティングコミュニケーション<9466.T>だが、8月下旬に安値を形成してからの戻り足は文字通りダイナミズムに溢れている。目先押し目を形成したとしても、それは大勢上昇波の踊り場とみて注目しておく価値はありそうだ。流通業向けに販促一貫支援を手掛けているが、業績は成長トレンドに乗っている。AI時代の値付け「電子棚札」関連のテーマに乗るが、直近、中国アリババグループのパートナー企業との資本・業務提携を締結しており、これが株価を強く刺激する格好となっている。
日程面では、あすは10月の都心オフィス空室率、10月の輸入車販売など。海外では英中銀の金政策会合。9月の米消費者信用残高。米30年国債の入札も予定される。このほか9月の豪貿易収支など。(中村潤一)
出所:MINKABU PRESS
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