S&P500月例レポート(2019年10月配信)<後編>

投稿:2019/10/11 13:32

<中編>から続く

●世界の株式市場

 ○世界の株式市場は9月に概ね上昇し、48市場中3市場が上昇した8月に対して、49市場のうち36市場が上昇しました(9月にクウェートがS&P新興国総合指数に追加されました)。市場に打撃を与えているのは先月と同様、世界経済の減速です。各国中央銀行は景気刺激策として、利下げと小規模な量的緩和プログラムを打ち出しました。総じて、9月は先進国市場が新興国市場を引き続きアウトパフォームした一方で、世界の株式市場の53.7%を占める米国はアンダーパフォームしました。世界の株式市場は全体で、8月の2.68%下落、7月の0.10%上昇に対し、9月は1.88%上昇しました。米国市場の1.58%上昇を除くと、グローバル市場は9月に2.25%上昇しました。

 ○2019年第3四半期では、グローバル市場は9月に上昇したものの8月の下落の穴を埋めることができず、0.74%の下落となりました。米国の0.68%の上昇を除くと、グローバル市場の下落は2.37%となります。年初来では、グローバル市場は13.80%上昇しましたが、米国の18.36%上昇を除くと8.80%の上昇でした。より長期的な指標でも米国の強さが示され、過去1年間ではグローバル市場は1.61%の下落となり、米国の0.87%の上昇を除くと、4.39%の下落でした。過去2年間のグローバル市場は米国(16.46%上昇)を含めると5.76%の上昇、米国を除くと4.88%の下落となっています。過去3年間では米国(35.55%上昇)を含めると23.27%の上昇、米国を除くと10.968%の上昇でした。

 ○9月にS&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆8,950億ドル増加しました(8月は1兆5,130億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は9月に1兆3,790億ドル増加し(同8,150億ドル減)、米国市場は5,160億ドル増加しました(同6,990億ドル減)。

 ○9月のまとめ

 ○世界の株式市場は9月に1.88%上昇しました。米国市場は1.58%上昇し、米国を除くグローバル市場は2.25%上昇しました。過去3カ月間では、グローバル市場は0.74%の下落、米国の0.68%の上昇を除くと、2.37%の下落でした。年初来ではグローバル市場は13.80%の上昇、米国の18.36%上昇を除くと、8.80%の上昇でした。過去1年間で見ると、グローバル市場は1.61%下落し、米国の0.87%の上昇を除くと、4.39%の下落となっています。

 ○新興国市場は9月に1.16%上昇し、過去3カ月間では4.83%下落、年初来では5.10%上昇、過去1年間では1.43%の下落となりました。

 ○先進国市場は9月に1.98%上昇(米国を除くと2.58%上昇)、過去3カ月間では0.26%下落(同1.65%下落)、年初来では14.86%上昇(同9.90%上昇)、過去1年間では1.34%下落(同5.10%下落)となっています。

 ○セクター間のリターンのばらつきは縮小し、11セクター中10セクターが上昇しました(8月は3セクター、7月は5セクターが上昇)、パフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、4.51%上昇)と最低のセクター(ヘルスケア、0.74%下落)の騰落率の差は5.24%(過去1年間の平均は7.37%)と、8月の10.20%から縮小し、年初来では24.13%(8月末時点は26.34%)となりました。

 ○新興国市場は2カ月連続での下落の後(8月は4.77%下落、7月は1.20%下落)、1.16%上昇しました。過去3カ月間では4.83%下落、年初来では5.10%上昇、過去1年間では1.43%の下落となっています。過去2年間の騰落率は5.81%の下落、過去3年間では12.27%の上昇となりました。注意すべき点として、9月にはクウェートが指数に追加されました。

 ○9月は、24市場のうち14市場が上昇し、1市場が上昇した8月、8市場が上昇した7月とは非常に対照的な結果となりました。8月に9.65%下落でパフォーマンスが最低だったトルコが、11.55%上昇でパフォーマンスが最高となり、年初来でも9.65%上昇と騰落率をプラスとしました。2番目はパキスタンで、9月は7.36%の上昇、年初来では25.12%の下落となりました。パフォーマンスが最低だったのは指数に新たに追加されたクウェートで、指数追加後の最初の月に4.89%下落し、年初来では12.34%の上昇となりました。次いでパフォーマンスは振るわなかったのがアラブ首長国連邦で、9月は3.28%の下落、年初来では0.29%の上昇となりました。

 ○先進国市場は9月に全体で1.98%上昇し、米国を除くリターンはこれを上回る2.58%の上昇となりました。過去3カ月間では0.26%の下落(米国を除くと1.65%の下落)、年初来では14.86%の上昇(同9.90%上昇)、過去1年間では1.59%下落(同5.10%下落)しました。過去2年間では7.18%上昇しましたが、米国を除くと4.59%下落しており、過去3年間では24.60%の上昇、米国を除くと10.71%の上昇となりました。

 ○9月は25市場のうち22市場が上昇しました。対して、8月は2市場が上昇していました。パフォーマンスが最高となったのは韓国で、9月は6.39%の上昇、年初来では4.12%の下落となっています。2番目は英国で、9月は4.06%の上昇、年初来では6.81%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのは香港で、9月は1.26%の下落(8月は8.32%下落)、年初来では1.52%の下落となりました。次いで振るわなかったのがデンマークで、9月は0.62%の下落、年初来では10.22%の上昇となりました。

 ○注意すべき点として、日本は3.32%の上昇(年初来では8.43%上昇)、ドイツは2.37%の上昇(同7.28%上昇)、カナダは1.51%の上昇(同19.50%上昇)となりました。

 S&P 500指数は月末時点で2,976.74と、8月末の2,926.46から1.72%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス1.87%)。8月は1.81%の下落(同マイナス1.58%)でした。同指数は年初来では18.74%(同プラス20.55%)、第3四半期は1.19%(同プラス1.70%)、過去1年間では2.15%(同プラス4.25%)上昇しています。ダウ平均は8月末の26,406.28ドルから1.95%上昇し(同プラス2.05%)、26,916.83で月を終えました。8月は1.72%の下落(同マイナス1.32%)でした。同指数は、第3四半期は1.19%(S&P 500指数と同率、配当込みのトータルリターンはプラス1.83%)、年初来では15.39%(同プラス17.51%)、過去1年間では1.73%上昇しています(同プラス4.21%)。S&P 500指数の日中ボラティリティ(日中の高値と安値の差)は8月の1.43%(7月は0.54%)から0.79%に低下し、年初来では0.92%となりました(8月末時点は0.93%)。同指標は、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962以降の最低、平均は1.43%)でした。出来高は8月の前月比13%増の後、同2%増加し(営業日数調整後)、前年同月比で12%増加しました。前日比で1%以上の変動を記録した日数は減少し、8月の22営業日中11営業日(上昇が7日、下落が4日)に対して、20営業日中2日で1%以上上昇し、1%以上下落した営業日はありませんでした。年初来では188営業日中32日(上昇が20日、下落が12日)となっています。日中の変動率が1%以上となった日数は、8月の22営業日中16日に対して20営業日中4日となりました(年初来では188営業日中64日、2018年は251営業日中110日)。

 セクター間のリターンのばらつきは(8月に急拡大した後)9月に縮小し、11セクター中10セクターが上昇し、8月の3セクター(7月は7セクター)を上回りました。パフォーマンスが最高のセクター(金融、4.46%上昇)と最低のセクター(ヘルスケア、0.32%下落)の騰落率の差は4.78%(1年平均は9.40%)と、8月の13.39%(7月は5.13%)から縮小しました。この騰落率の差は年初来では26.79%(8月末時点は28.49%)となっています。

 9月は、大きなイベント(サウジアラビアの油田攻撃、貿易問題、金利)が市場を混乱させる中でも、リスクオン・モードが復活しました。9月は金融が4.46%上昇と反発し、パフォーマンストップとなりましたが、同セクターはまだ8月の5.07%の下落を完全には取り戻していません(第3四半期は1.44%上昇)。同セクターは年初来では17.59%上昇しています。2番目は公益事業で、8月の4.66%上昇(8月は騰落率トップ)の後3.96%上昇し、第3四半期は8.40%の上昇、年初来では22.29%の上昇となりました。

 エネルギーは8月の8.73%の急落(8月は騰落率最下位)の後3.56%上昇し、第3四半期は7.25%下落、年初来では3.08%上昇(全セクター中最低)しています。消費関連セクターは上昇したものの、9月もパフォーマンスに(再び)乖離が生じ、生活必需品が1.30%上昇し(8月は2.33%上昇)、年初来の上昇率を20.60%とした一方、一般消費財は0.72%上昇し(8月は1.43%下落)、年初来で21.21%上昇しています。情報技術は1.44%上昇し、第3四半期は2.97%上昇、年初来では29.87%の上昇(全セクター中最高)となりました。ヘルスケアは0.32%の下落と唯一値を下げ(8月は0.69%下落)、第3四半期は2.71%下落、年初来では4.21%の上昇となりました。

 個別銘柄の騰落状況を見ると、前月から一転し、9月は値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました。9月の値上がり銘柄数は366銘柄(平均上昇率は5.79%)と、8月の193銘柄(同5.11%)、7月の292銘柄から増加しました。10%以上上昇した銘柄は46銘柄(同14.41%)と8月の15銘柄、7月の26銘柄を上回り、2銘柄が25%以上上昇しました(8月はゼロ)。

 一方、値下がり銘柄数は139銘柄(平均下落率は3.85%)と、8月の312銘柄、7月の213銘柄から減少しました。10%以上下落した銘柄は3銘柄(同13.35%)と、8月の102銘柄、7月の18銘柄を下回り、2銘柄(8月は10銘柄)が25%以上下落しました。2019年第3四半期は、281銘柄が上昇し、そのうち86銘柄が10%以上上昇した一方、224銘柄が下落し、そのうち78銘柄が10%以上下落しました。年初来では値上がり銘柄数は412銘柄で(平均上昇率は25.82%、8月末時点は381銘柄)、347銘柄(同310銘柄)が10%以上、184銘柄(同162銘柄)が25%以上上昇した一方、値下がり銘柄数は87銘柄で(平均下落率は14.55%、8月末時点は119銘柄)、45銘柄(同66銘柄)が10%以上、17銘柄(同23銘柄)が25%以上下落しました。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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