アトラエ Research Memo(3):独自性の高い人材サービスとテクノロジーのリーディングカンパニー(2)

配信元:フィスコ
投稿:2019/07/23 15:43
■会社概要

4. 強み
(1) 成長戦略を実現するための組織力
アトラエ<6194>は、サービスライフサイクルの短いインターネットの世界においては、時代の変化に適応したサービスを次々と生み出し続けられるような組織文化やノウハウの蓄積こそが、企業としての永続性を実現できるカギになると考えており、組織力の強さにどの会社よりもこだわっている。事業の運営単位を常にフラットでミニマムに保つことで、ベンチャーらしいスピード感、変化適応力を維持し、メンバーの経営意識、責任感を高めることで、社会に提供する価値の最大化に挑戦し続けている。

具体的には、肩書という概念をなくしチーム(プロジェクト)単位で働く完全フラットな組織、勤務時間や場所の管理はメンバー一人ひとりに任されるなど、ルールをミニマム化し、一人ひとりが参画意識を高め、高い責任と裁量を持って自発的に働ける環境を創り出している。

これらの取り組みにより、wevoxエンゲージメントスコア1位を獲得するとともに、働きがいのある会社のランキングであるGreat Place To Work(GPTW)2019年版では小規模部門において日本1位、アジア5位を受賞するなどの高い評価を得ている。若くて有能な人材が高いエンゲージメントを保ちながら、長期にわたり働き続けている。エンゲージメントの高い組織だからこそ、中長期的な戦略立案・実行が可能であり、新規事業の開発を行いながらも7年間右肩上がりの生産性を持続するという離れ業を実現しており、長期的な競争力を有する稀有な組織となっている。

(2) ビッグデータの蓄積、解析及び活用
同社では求職者並びに求人企業に関するプロフィールデータ、アクションデータ及び選考データ(登録、応募、書類選考通過、内定等)などを10年以上にわたり独自に蓄積してきた。従来のキャリアアドバイザーによる属人的かつ労働集約的なマッチングをテクノロジーやビッグデータの活用で、より効率的かつ効果的に、人を介さずに高い書類選考通過率(マッチング精度)を実現している。このことが人材紹介市場における同社の優位性の確立につながっている。

なお、上記の内容は「Green」におけるものであるが、組織改善ツール「wevox」ではエンゲージメントサーベイのデータ、ビジネスマッチングアプリ「yenta」では利用者間のマッチングに関する情報など、他のサービスでも同様にビッグデータの蓄積、解析及び活用を行っており、いずれも後発の追随を許さず同社の独自性・優位性につながっている。

5. 競合
求人メディアである「Green」については広義の意味での競合企業としては、(株)リクルートキャリア、(株)パーソルキャリアなどを始めとする人材紹介会社やそれらによって運営されている求人メディアなどを挙げられる。既存の企業が多く、参入障壁が低いため新規参入企業も多く、激しい競争が繰り広げられているが、ビッグデータ解析によるマッチング精度の向上と、圧倒的な価格優位性が、同社の競争優位性を高める差別化要因として働いている。また、「wevox」については、エンゲージメントの可視化ツールという分野では目立った競合は見当たらないと考えられる。

6. リスク
同社では、事業上のリスクとして、求人企業の採用ニーズの悪化を最大のリスクとして考えている。同社はリーマン・ショックを乗り越えた経験を有しており、それ以降コストの変動費化を図るとともに、景気に左右されにくい経営管理体制を整備・構築している。しかし、主力サービスの「Green」は、IT/Web業界を中心とした人材採用支援を行っており、求人企業の雇用水準が低迷した場合には、同社業績に影響を及ぼす可能性も考えられる。しかし、IT/Web業界だけでなく、営業・経理など幅広い職種もカバーしているため、極端なリスクにはつながりにくいと考えられる。

また、売上構成がほぼ「Green」への一極集中となっており、「Green」を上回る競合が発生し「Green」のシェアが低下した場合、全社の売上げが落ち込む可能性がある。しかし、既に2018年9月期より「wevox」のマネタイズが始まっており、「yenta」のマネタイズも2019年9月期以降に本格的な開始が見込まれているなど、売上構成のリスクは低減が図られつつある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)

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配信元: フィスコ

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