■沿革と会社概要
1. 沿革
1930年に初代社長が東京都にスプリング専門工場を設立して創業した。1946年に株式会社に改組し、社名を株式会社加藤スプリング製作所に、2001年に現在の株式会社アドバネクスに変更した。
1964年に東証2部へ新規上場を果たし、2004年に東証1部へ指定替えとなった。
アドバネクス<5998>は、1980年代以降、世界的なヒットを飛ばし、トップシェア製品を輩出した。音楽テープ用テープパッド(国内シェア70%)、ビデオテープ用リーフスプリング(世界シェア50%)、3.5インチフロッピーディスク用シャッター(世界シェア80%)、携帯電話用ヒンジ(世界シェア50%)、光ディスク用センターハブ(国内シェア90%)などである。現在は、医療用の留置針用ばねで国内シェア60%を獲得している。
日本の電気機器メーカーは、かつてAV機器などで世界市場を席巻したが、デジタル化の進展やスマートフォンなどの新製品の登場、新興国の台頭により、事業規模の縮小や撤退に追い込まれた。同社は市場の変化に合わせて、安定した需要が見込まれ、製造技術、製品の品質、供給力、グローバル供給体制や継続的なコスト削減力が求められる、精密ばね分野で競争優位性を発揮できる自動車向けに注力している。
海外への進出も早く、1971年に米国に子会社を設立したのを皮切りに、シンガポール、イギリス、香港、タイ、中国、ベトナム、メキシコ、ドイツ、チェコ、インドネシア、インドに海外子会社を開設している。
2. 事業内容
2015年3月期にプラスチック事業を売却したため、現在は精密ばね専業メーカーである。単一事業セグメントであるが、用途別と所在地別の連結売上高の内訳を公表している。2019年3月期の市場別売上高構成比は、自動車(輸送機器)が47.9%、OA機器が16.3%、医療機器が8.8%、精密機器が5.0%、インフラ・住設機器が4.1%、航空機器が3.4%、AV・家電が3.1%、情報通信機器が2.9%、その他が8.5%であった。2019年3月期までの3ヶ年のCAGR(年平均成長率)は、総売上高の3.2%に対し、自動車(輸送機器)が12.9%と高い。一方、OA機器が-6.5%、精密機器が-3.8%と落ち込んだ。自動車市場は、2015年3月期以降、最大の顧客先となっている。
取引先は約2,000社あり、製品種類は約15,000種類に及ぶ。世界で1、2位を争うドイツ系及び日系自動車部品メーカーと取引をしている。
所在地別の売上高構成比は、日本が39.6%、アジアが39.0%、米州が11.7%、欧州が9.6%である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 沿革
1930年に初代社長が東京都にスプリング専門工場を設立して創業した。1946年に株式会社に改組し、社名を株式会社加藤スプリング製作所に、2001年に現在の株式会社アドバネクスに変更した。
1964年に東証2部へ新規上場を果たし、2004年に東証1部へ指定替えとなった。
アドバネクス<5998>は、1980年代以降、世界的なヒットを飛ばし、トップシェア製品を輩出した。音楽テープ用テープパッド(国内シェア70%)、ビデオテープ用リーフスプリング(世界シェア50%)、3.5インチフロッピーディスク用シャッター(世界シェア80%)、携帯電話用ヒンジ(世界シェア50%)、光ディスク用センターハブ(国内シェア90%)などである。現在は、医療用の留置針用ばねで国内シェア60%を獲得している。
日本の電気機器メーカーは、かつてAV機器などで世界市場を席巻したが、デジタル化の進展やスマートフォンなどの新製品の登場、新興国の台頭により、事業規模の縮小や撤退に追い込まれた。同社は市場の変化に合わせて、安定した需要が見込まれ、製造技術、製品の品質、供給力、グローバル供給体制や継続的なコスト削減力が求められる、精密ばね分野で競争優位性を発揮できる自動車向けに注力している。
海外への進出も早く、1971年に米国に子会社を設立したのを皮切りに、シンガポール、イギリス、香港、タイ、中国、ベトナム、メキシコ、ドイツ、チェコ、インドネシア、インドに海外子会社を開設している。
2. 事業内容
2015年3月期にプラスチック事業を売却したため、現在は精密ばね専業メーカーである。単一事業セグメントであるが、用途別と所在地別の連結売上高の内訳を公表している。2019年3月期の市場別売上高構成比は、自動車(輸送機器)が47.9%、OA機器が16.3%、医療機器が8.8%、精密機器が5.0%、インフラ・住設機器が4.1%、航空機器が3.4%、AV・家電が3.1%、情報通信機器が2.9%、その他が8.5%であった。2019年3月期までの3ヶ年のCAGR(年平均成長率)は、総売上高の3.2%に対し、自動車(輸送機器)が12.9%と高い。一方、OA機器が-6.5%、精密機器が-3.8%と落ち込んだ。自動車市場は、2015年3月期以降、最大の顧客先となっている。
取引先は約2,000社あり、製品種類は約15,000種類に及ぶ。世界で1、2位を争うドイツ系及び日系自動車部品メーカーと取引をしている。
所在地別の売上高構成比は、日本が39.6%、アジアが39.0%、米州が11.7%、欧州が9.6%である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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