S&P500月例レポート(2019年7月配信)<後編>

<中編>から続く

●世界の株式市場

 ○世界の株式市場は5月の下落から一転して軒並み上昇に転じ、6月は6.20%の大幅上昇となりました。遡ってみると、5月は6.20%と大きく値を下げましたが、4月は3.11%上昇していました(3月は0.78%の上昇)。6月は先月とは逆に、米国市場が6.85%上昇し、グローバル市場をアウトパフォームしました。5月は米国市場の6.66%の下落を除いた場合、グローバル市場は5.66%の下落でした。過去3カ月間では、グローバル市場は2.72%の上昇となり、米国の3.60%上昇を除くと、1.71%の上昇でした。年初来では、グローバル市場は14.65%上昇しましたが、米国の17.56%の上昇を除外すると、11.45%の上昇でした。過去1年間では、グローバル市場は2.42%の上昇となり、米国の6.85%の上昇を除くと、2.34%の下落でした。より長期的な指標は米国がアウトパフォームしていることを引き続き示しており、過去2年間のグローバル市場は米国(20.40%上昇)を含めば11.69%の上昇、米国を除くと2.86%の上昇となっています。過去3年間では30.57%の上昇、米国(39.90%上昇)を除くと20.99%の上昇でした。

 ○6月にS&Pグローバル総合指数の時価総額は3兆1,480億ドル増加しました(5月は3兆4,000億ドル減、4月は1兆6,370億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は6月に1兆3,290億ドル増加し(同1兆4,470億ドル減、同5,310億ドル増)、米国市場は1兆8,190億ドル増加しました(同1兆9,530億ドル減、同1兆1,060億ドル増)。

 ○6月のまとめ

  ・世界の株式市場は6月に6.20%上昇しました。米国市場は6.85%上昇し、米国を除くグローバル市場は5.45%上昇しました。過去3カ月間では、グローバル市場は2.72%の上昇、米国の3.60%の上昇を除くと、1.71%の上昇でした。年初来では、グローバル市場は14.65%の上昇、米国の17.56%の上昇を除くと、11.45%の上昇でした。過去1年間でみると、グローバル市場は2.42%上昇し、米国の6.85%の上昇を除くと、2.34%の下落となっています。

  ・新興国市場は6月に4.97%上昇し、過去3カ月間では0.35%上昇、年初来では10.44%上昇、過去1年間では0.11%の上昇となりました。

  ・先進国市場は6月に6.34%上昇(米国を除くと5.59%上昇)、過去3カ月間では3.00%上昇(同2.11%上昇)、年初来では15.15%上昇(同11.74%上昇)、過去1年間では2.68%の上昇となっています(同3.01%下落)。

 ○11セクター全てが上昇する中(5月は全11セクターが下落、4月は11セクター中8セクターが上昇)、セクター間のリターンのばらつきはやや拡大しました。パフォーマンスが最高のセクター(素材、9.53%上昇)と最低のセクター(不動産、1.95%上昇)の騰落率の差は7.58%(過去1年間の平均は7.38%)と、5月の7.57%から拡大し、年初来では15.28%(5月は12.51%)となりました。

 ○新興国市場は5月の6.26%下落の後、4.97%上昇しました。過去3カ月間では0.35%、年初来では10.44%、過去1年間では0.11%上昇しています。過去2年間の騰落率は6.57%の上昇、過去3年間では27.22%の上昇となりました。

  ・6月は23市場のうち20市場が上昇しました。5月は5市場でした。パフォーマンスが最も高かったのはタイで、6月は10.20%上昇、年初来では19.01%上昇しました。2番目はコロンビアで、6月は9.70%の上昇、年初来では19.74%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのはパキスタンで、6月は14.11%の下落、年初来では21.91%の下落となっています。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはハンガリーで、6月は2.06%の下落、年初来では0.90%の下落となりました。

 ○先進国市場は6月に全体で6.34%上昇し、米国を除く先進国市場のパフォーマンスは5.59%の上昇でした。過去3カ月間では3.00%の上昇(米国を除くと2.11%上昇)、年初来では15.15%の上昇(同11.74%上昇)、過去1年間では2.68%の上昇(同3.01%下落)となりました。過去2年間では12.30%上昇しましたが、米国を除くと1.92%の上昇にとどまり、過去3年間では30.98%の上昇、米国を除くと19.44%の上昇となりました。

  ・6月は25市場全てが上昇しました。対して、5月は25市場全てが下落していました。パフォーマンスが最高となったのはルクセンブルグで、6月は12.29%の上昇、年初来では7.53%の下落となっています。2番目はスウェーデンで、6月は9.69%の上昇、年初来では13.04%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのは日本で、6月は3.35%の上昇、年初来では5.95%上昇となりました。次いで振るわなかったのがイスラエルで、6月は3.80%の上昇、年初来では11.26%の上昇となりました。

  ・注意すべき点として、ドイツは7.00%の上昇(年初来では11.92%上昇)、カナダは5.84%の上昇(同19.51%上昇)、英国は4.41%の上昇(同10.62%上昇)となりました。

●S&P 500

 S&P 500指数は5月末の2,752.06から6.89%上昇し(配当込みのトータルリターンはプラス7.05%)、2,941.76で月を終えました。5月は6.58%の下落(同マイナス6.35%)でした。同指数は年初来では17.35%上昇(同プラス18.54%)、過去1年間では8.22%上昇(同プラス10.42%)しています。ダウ平均は5月末の24,816.04ドルから7.19%上昇し(同プラス7.31%)、26,599.96ドルで月を終えました。5月は6.69%の下落(同マイナス6.32%)でした。同指数は年初来では14.03%上昇(同15.40%)、過去1年間では9.59%上昇(同プラス12.20%)しています。S&P 500指数の日中ボラティリティ(日中の高値と安値の差)は5月の1.11%から0.98%に低下し、年初来では0.89%となりました(5月末時点は0.93%)。同指標は、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以降の最低、平均は1.43%)でした。出来高は5月の前月比5%増の後3%減少し(営業日数調整後)、前年同月比で8%減でした。年初来では前年同期比2%減となっています。1%以上変動した日数は5月の22営業日中4日(いずれも下落)から、20営業日中2日(1日が1.05%上昇、1日が2.14%上昇)に減少し、年初来では124営業日中18日(上昇が11日、下落が7日)となりました。

 セクター間のリターンのばらつきは縮小し、11セクター全てが上昇し、5月のわずか1セクター、4月の8セクターを上回りました。パフォーマンスが最高のセクター(素材、11.48%上昇)と最低のセクター(不動産、1.26%上昇)の騰落率の差は10.23%と、5月の12.61%、4月の11.56%から縮小しました。この騰落率の差は年初来では19.00%(5月の16.43%から拡大、2018年通年は25.19%)となり、全11セクターが上昇しています。

 6月は素材セクターのパフォーマンスが最高となり、5月の8.48%下落から反発し、11.48%上昇しました。同セクターは年初来では15.96%上昇しています。5月にパフォーマンスが最低だったエネルギーセクター(11.71%下落)は、原油価格が上昇する中(大半が中東情勢の緊張による)、9.07%上昇と反発しました。同セクターは年初来では11.13%上昇していますが、2016年11月の米大統領選以降ではなお7.68%下落しています(騰落率がマイナスの唯一のセクター)。情報技術セクターが9.05%の上昇で、僅差で続きました。同セクターは年初来では26.12%、2016年の米大統領選以降では71.66%上昇しています(いずれも全セクター中最高)。

 ヘルスケアセクターは6.50%上昇しましたが、「国民皆保険制度(メディケア・フォー・オール)」と薬価制限に向けた政策がニュースで報じられる中、不安定な値動きとなりました。同セクターは年初来では7.12%上昇と、S&P 500指数の中でパフォーマンスが最低となっています。5月に0.90%と唯一上昇してパフォーマンスが最高となった不動産セクターは、1.26%の上昇で騰落率最下位となりました。同セクターは年初来では18.48%上昇しています。公益事業セクターも、リスクオンモードとなる中、3.09%の上昇で市場全体を下回りました。同セクターは年初来では12.82%上昇しています。消費関連セクターはパフォーマンスの乖離が続き、一般消費財セクターが7.63%上昇し、年初来の上昇率を20.99%とした一方、生活必需品セクターは4.81%上昇し、年初来で14.46%上昇しました。

 6月は値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は逆転し、値上がり銘柄数が大幅に上回りました。6月の値上がり銘柄数は458銘柄(平均上昇率は8.45%)となり、5月の107銘柄、さらには4月の359銘柄を上回りました。10%以上上昇した銘柄は156銘柄(平均上昇率は14.27%)と、5月の6銘柄、4月の67銘柄から大幅に増加し、4銘柄が25%以上上昇しました(5月はゼロ)。一方、値下がり銘柄数は46銘柄で(平均下落率は3.22%)と、5月の396銘柄、4月の145銘柄から減少しました。10%以上下落した銘柄は1銘柄と(18.01%下落)、5月の172銘柄、4月の11銘柄から減少し、25%以上減少した銘柄はありませんでした(5月は13銘柄)。

 2019年第2四半期は、317銘柄が上昇、そのうち124銘柄が10%以上上昇した一方、185銘柄が下落し、そのうち49銘柄が10%以上下落しました。

 年初来では、431銘柄が上昇し(平均上昇率は22.74%、5月末時点は383銘柄)、そのうち10%以上上昇した銘柄数が358銘柄(同261銘柄)、25%以上上昇した銘柄数が162銘柄(同80銘柄)だった一方、69銘柄(平均下落率は11.16%、5月末時点は118銘柄)が下落し、30銘柄(同47銘柄)が10%以上、7銘柄(同13銘柄)が25%以上下落しました。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム