■要約
ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、「トップ校」(19校)と呼ばれる県内公立進学校の合格者数では2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態となっている。2019年3月末の校舎数は小中学部が130スクール、高校部が15校、個別指導部が1校のほか、2016年3月より新たに開始した学童保育「STEPキッズ」1校の計147校(前期末比3校増)となっている。2019年4月末時点の在籍生徒数は約2.6万人。学習塾業界の中ではトップクラスの収益性と安定性を誇る。
1. 2019年9月期第2四半期累計業績
2019年9月期第2四半期累計(2018年10月-2019年3月)の売上高は前年同期比3.9%増の5,694百万円とほぼ会社計画どおりとなり、経常利益は同15.9%減の1,227百万円となった。期中平均生徒数が前年同期比2.4%増と堅調に推移したほか、主に中学2〜3年生向けの特色検査対策講座※等特別講座の受講者数が増加し、平均単価の上昇につながった。また、2019年春の高校入試実績において、「横浜プロジェクト」(横浜市内の公立トップ校合格者数でナンバー1を獲る)を計画どおり達成したほか、「翠嵐プロジェクト」(横浜・川崎方面で影響力の強い名門進学校である横浜翠嵐高校の合格者数でナンバー1を獲る)についても1年前倒しで達成するなど、神奈川県内における公立進学校向け学習塾として、盤石な地位をさらに固めつつある状況となっている。今回、両プロジェクトの目標を達成したことにより、従業員818名に特別賞与184百万円を支給したほか、プロジェクト推進のための学習環境の整備を目的としたプロジェクターやパソコンの導入により、備品費及び修繕費が前年同期比で101百万円増加したため減益となったが会社想定どおりであり、プロジェクトを達成した点において前向きに評価される。
※神奈川県公立高校受験において、共通試験や面接とは別に、主にいわゆる進学校が導入している検査。進学校では主に、問題を解決する思考力・判断力・表現力や創造力等を把握するための記述試験。
2. 2019年9月期の業績見通しと事業戦略
2019年9月期の業績見通しは、売上高で前期比3.7%増の11,442百万円を見込んでおり、利益については開示していない。2020年9月期までの2期間は将来の成長に向けた基盤づくりに集中して取り組む方針であり、利益目標をあえて設定せず積極的な投資を行っていくためだ。川崎市や横浜市北部地区など今後も就学人口の増加が見込める地域でスクールを展開していくだけでなく、「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」を継続していくことでブランド力を高め、当該地域のシェアを拡大していく戦略だ。2019年春の合格者実績発表以降、入塾の問い合わせが増加しており、2019年4月末の在籍生徒数は前年同期比4.2%増となるなど、早速その効果が出始めている。そのほか、学童保育部門については、2019年秋に「STEPキッズ辻堂教室」、2020年春に「STEPキッズ茅ヶ崎教室」を開校し、合計3教室を展開する予定となっている。2016年春に開校した「湘南教室」が既に黒字化しており、新規開校する2教室も、開校3年目からの黒字化を見込んでいる(定員数は1教室140名程度)。
3. 株主還元策株主還元策として、従来は配当性向30%を目安に増配を続けてきたが、今後2年間を投資期間と位置付けていることもあり、今回は2020年9月期までの配当予定をあらかじめ発表している。2019年9月期については前期比4.0円増配の38.0円、2020年9月期は40.0円と連続増配となる。また、株主優待制度については、9月末の株主に対して保有株式数と継続保有期間に応じてオリジナルQUOカード(500~4,000円分)を贈呈する。
■Key Points
・質の高い学習指導に定評、神奈川県内の公立トップ高校で圧倒的な合格実績を誇る
・2019年4月末の生徒数は低学年層を中心に前年同期比4.2%増と順調に増加
・横浜・川崎エリアでブランド力向上に取り組み、中長期的な成長基盤を構築する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、「トップ校」(19校)と呼ばれる県内公立進学校の合格者数では2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態となっている。2019年3月末の校舎数は小中学部が130スクール、高校部が15校、個別指導部が1校のほか、2016年3月より新たに開始した学童保育「STEPキッズ」1校の計147校(前期末比3校増)となっている。2019年4月末時点の在籍生徒数は約2.6万人。学習塾業界の中ではトップクラスの収益性と安定性を誇る。
1. 2019年9月期第2四半期累計業績
2019年9月期第2四半期累計(2018年10月-2019年3月)の売上高は前年同期比3.9%増の5,694百万円とほぼ会社計画どおりとなり、経常利益は同15.9%減の1,227百万円となった。期中平均生徒数が前年同期比2.4%増と堅調に推移したほか、主に中学2〜3年生向けの特色検査対策講座※等特別講座の受講者数が増加し、平均単価の上昇につながった。また、2019年春の高校入試実績において、「横浜プロジェクト」(横浜市内の公立トップ校合格者数でナンバー1を獲る)を計画どおり達成したほか、「翠嵐プロジェクト」(横浜・川崎方面で影響力の強い名門進学校である横浜翠嵐高校の合格者数でナンバー1を獲る)についても1年前倒しで達成するなど、神奈川県内における公立進学校向け学習塾として、盤石な地位をさらに固めつつある状況となっている。今回、両プロジェクトの目標を達成したことにより、従業員818名に特別賞与184百万円を支給したほか、プロジェクト推進のための学習環境の整備を目的としたプロジェクターやパソコンの導入により、備品費及び修繕費が前年同期比で101百万円増加したため減益となったが会社想定どおりであり、プロジェクトを達成した点において前向きに評価される。
※神奈川県公立高校受験において、共通試験や面接とは別に、主にいわゆる進学校が導入している検査。進学校では主に、問題を解決する思考力・判断力・表現力や創造力等を把握するための記述試験。
2. 2019年9月期の業績見通しと事業戦略
2019年9月期の業績見通しは、売上高で前期比3.7%増の11,442百万円を見込んでおり、利益については開示していない。2020年9月期までの2期間は将来の成長に向けた基盤づくりに集中して取り組む方針であり、利益目標をあえて設定せず積極的な投資を行っていくためだ。川崎市や横浜市北部地区など今後も就学人口の増加が見込める地域でスクールを展開していくだけでなく、「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」を継続していくことでブランド力を高め、当該地域のシェアを拡大していく戦略だ。2019年春の合格者実績発表以降、入塾の問い合わせが増加しており、2019年4月末の在籍生徒数は前年同期比4.2%増となるなど、早速その効果が出始めている。そのほか、学童保育部門については、2019年秋に「STEPキッズ辻堂教室」、2020年春に「STEPキッズ茅ヶ崎教室」を開校し、合計3教室を展開する予定となっている。2016年春に開校した「湘南教室」が既に黒字化しており、新規開校する2教室も、開校3年目からの黒字化を見込んでいる(定員数は1教室140名程度)。
3. 株主還元策株主還元策として、従来は配当性向30%を目安に増配を続けてきたが、今後2年間を投資期間と位置付けていることもあり、今回は2020年9月期までの配当予定をあらかじめ発表している。2019年9月期については前期比4.0円増配の38.0円、2020年9月期は40.0円と連続増配となる。また、株主優待制度については、9月末の株主に対して保有株式数と継続保有期間に応じてオリジナルQUOカード(500~4,000円分)を贈呈する。
■Key Points
・質の高い学習指導に定評、神奈川県内の公立トップ高校で圧倒的な合格実績を誇る
・2019年4月末の生徒数は低学年層を中心に前年同期比4.2%増と順調に増加
・横浜・川崎エリアでブランド力向上に取り組み、中長期的な成長基盤を構築する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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