今週の米ドル/円予想 関税戦争と景気動向(6/3週)

著者:山口哲也
投稿:2019/06/03 11:09

【先週のドル/円の動向と今週の主要イベント】

今週の主要経済指標
先週の米ドル/円は続落。週初109.315で寄り付いた米ドル/円は、週後半にかけて概ね109円台で推移していたものの、トランプ大統領が6月10以降のメキシコからの輸入品全てに5%の関税を賦課し、メキシコが不法移民を巡る対応をするまで関税を段階的に25%まで引き上げるとの報道に加え、中国製造業PMIが市場予想より弱かったことで109円台割れまで下落。更に世界的な景気減速懸念で米株式が下落、米国債利回りも低下したことで、ドル円は1月以来の安値となる108.350まで下落。108.370で引けました。

なお、週末にトランプ大統領は、インドとトルコを一般特恵関税制度の対象から除外しています。また、ドイツの連立与党の一角SPDのナーレス党首が辞任しており、ドイツにおいては連立政権の行方に不安感が漂います。

今週発表予定の主要経済指標は以下とおりで、米中の主要経済指標に加え、政策金利動向などにも注目です。

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】

【米ドル/円(TFX)週足 チャート】
米ドル/円の週足チャートです。
米ドル/円は節目となる109円を割り込んで108円台前半まで下落。先週のチャートでも白い破線で示していましたが、108円は過去の安値水準でもあり、当面のサポートとして意識されます。
ただし、ダブルトップの形成が完了したとも考えられ、今後は、この水準へのトライが想定され、108円を割り込む場合は107円台前半(ダブルトップのネックラインとトップとの差から算出)が目標価格となります。
一方で、レジスタンスは109円前後を想定しています。

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】

【米ドル/円(TFX)日足 チャート】
米ドル/円の日足チャートです。
先週の米ドル/円は一目の雲の転換線に上値を抑えられるような形で週末を迎え、メキシコの関税や中国の経済指標、米株価の下落などにより、節目となる109円を割り込んで大きく下落する展開となりました。
週末には、インドへの関税や、中国の米中貿易協議白書などの材料もあり、今週は主要な経済指標に加え、RBAやインド中銀については政策金利の引き下げが予想されており、引き続き世界経済のリセッション入り懸念が高まりやすい状況です。
したがって、当面は109円をバックに戻り売り方針で、108円を試す展開を考えています。

このコメントは弊社チーフテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
山口哲也
フジトミ証券株式会社 チーフ・テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想