■今後の見通し
1. 2019年8月期の業績見通し
明光ネットワークジャパン<4668>の2019年8月期の連結業績は、売上高で前期比6.3%増の20,320百万円、営業利益で同29.0%増の1,860百万円、経常利益で同24.5%増の1,940百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同55.2%増の1,020百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期累計で営業利益が計画比307百万円上方修正されたが、下期は明光義塾事業の再構築に向けた戦略投資の追加費用として200百万円(生徒募集活動費150百万円、教室環境整備費30百万円、ICTコンテンツへの投資20百万円)を上積みするほか、東京医進学院やユーデック、晃洋書房など子会社の業績下振れで70百万円、明光義塾教室減少の影響で30百万円の利益減を見込み、通期では期初計画並みの水準を予想している。
前期比での増収要因は、ケイラインの子会社化と当第3四半期以降に連結対象に加わるKMGの寄与が主因となっている。ケイラインで800-900百万円程度、KMGで400-500百万円前後の増収要因となる。また、ケイライン、KMGともに営業利益段階ではのれん償却費の計上により、若干のマイナスになると弊社では見ている。このため、前期比での増益要因は販促費用の減少やその他の経費抑制が主因となる。
同社はここ数年で、明光義塾の有力FC企業であるMAXIS、ケイライン、KMGを相次いで子会社化したが、その目的は各社の連携をさらに強化することで明光義塾チェーン全体の競争力を底上げしていくことにある。その一環として、2019年8月期より新たにMAXISの代表取締役社長が本社の執行役員となり、教務部を管掌することとなった。MAXISは、明光義塾全体が苦戦を強いられるなかで教室当たり生徒数や生徒当たり売上高でグループ平均を上回る実績を上げるなど、運営力や教務・指導力で高く評価されており、こうしたノウハウをグループ全体で共有することが狙いとなっている。早速、各地域でFCオーナーや教室長などを対象とした研修会の開催数を増やすなど教務力の向上に取り組んでおり、2019年4月よりFC全教室で開始した「MEIKO式コーチング」の導入効果が今後出てくるものと期待される。
FC企業子会社化で明光義塾事業の売上が拡大、キッズ事業や日本語学校事業の今後の成長に期待
2. 事業セグメント別見通し
2019年8月期の事業セグメント別売上高は、明光義塾直営事業が前期比10.6%増の10,544百万円、明光義塾フランチャイズ事業が同0.7%減の5,205百万円、予備校事業及びその他事業が同5.2%増の4,570百万円となる見通し。
明光義塾事業においては、「MEIKO式コーチング」を2019年4月以降、FC教室も含めて全教室で展開する体制が整い、今後、生徒募集活動を強化しながら当第4四半期末までに生徒数で前年同期並みの水準までキャッチアップすることを目指している。教室数については不採算教室の閉鎖等、スクラップ&ビルドを継続して進めていく方針となっており、当面は教室当たり生徒数の増加と生徒当たり売上単価の上昇により、教室当たり収益力を回復していく計画となっている。
明光義塾直営事業については、前述したとおりケイラインとKMGの子会社化が増収要因となる。一方、明光義塾フランチャイズ事業についてはケイラインやKMGからのロイヤルティ収入剥落が減収要因となるが、同要因を除けば同事業も若干の増収を見込んでいることになる。計画を達成するうえでのポイントは、「MEIKO式コーチング」の全教室導入によって、第3四半期以降に生徒数の減少傾向に歯止めがかかるかどうかにかかっている。このため、同社ではテレビCMやWeb広告など生徒募集にかかる販促費を下期も投下していく予定にしている。
その他の事業では、キッズ事業と日本語学校事業の成長が見込まれる。特に、キッズ事業は2019年4月に自治体や学校等からの助成型及び受託型案件を合わせて5施設の運営を開始したほか、同社にとって初のFCスクールとなる「京急キッズファン」(東京都大田区)もオープンした。FCスクールについては、京浜急行電鉄<9006>のグループ会社である京急開発(株)との提携により実現したものだ。学童保育に対するニーズは旺盛で、今後もこうした助成型、受託型案件の獲得並びにFC展開により、成長が加速化していくものと予想される。
日本語学校事業についても外国人留学生等の増加を背景に、増収増益基調が続く見通し。現在、定員数は2校合計で2,090名となっているが、在籍生徒数が定員の約90%に達したことから校舎移転を実施(早稲田EDUは2017年12月、JCLIは2018年10月移転)、収容能力を2,360名まで拡大している。2019年4月に外国人労働者の受け入れ拡大を目的とした改正出入国管理法が施行されたこともあり、日本語学校に対する需要はさらに拡大するものと予想され、日本語学校で国内大手となる同社の成長機会も大きいと弊社では見ている。
そのほか、早稲田アカデミー個別進学館については現時点で具体的な増設計画はないものの、FC展開により2019年8月期中に1〜2校程度、校舎数を増やしたい考えだ。また、サッカー事業についてはスクールの新設計画がなく、当面は現状維持が続く見通し。
さらには、新しいスタイルの個別指導塾として2018年春より「スタディクラブ」をスタートさせており、当第2四半期末までに3校舎を展開している。小学生から高校生を対象としており、特徴はEdTechを活用することで、講師1人で多数の生徒を受け持つことが可能となっていることにある。生徒はタブレット端末とデジタル教材を用いて学習していくことになる。サービス内容はおおむね好評を得ているようで、今後はFC展開も検討していくことにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年8月期の業績見通し
明光ネットワークジャパン<4668>の2019年8月期の連結業績は、売上高で前期比6.3%増の20,320百万円、営業利益で同29.0%増の1,860百万円、経常利益で同24.5%増の1,940百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同55.2%増の1,020百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期累計で営業利益が計画比307百万円上方修正されたが、下期は明光義塾事業の再構築に向けた戦略投資の追加費用として200百万円(生徒募集活動費150百万円、教室環境整備費30百万円、ICTコンテンツへの投資20百万円)を上積みするほか、東京医進学院やユーデック、晃洋書房など子会社の業績下振れで70百万円、明光義塾教室減少の影響で30百万円の利益減を見込み、通期では期初計画並みの水準を予想している。
前期比での増収要因は、ケイラインの子会社化と当第3四半期以降に連結対象に加わるKMGの寄与が主因となっている。ケイラインで800-900百万円程度、KMGで400-500百万円前後の増収要因となる。また、ケイライン、KMGともに営業利益段階ではのれん償却費の計上により、若干のマイナスになると弊社では見ている。このため、前期比での増益要因は販促費用の減少やその他の経費抑制が主因となる。
同社はここ数年で、明光義塾の有力FC企業であるMAXIS、ケイライン、KMGを相次いで子会社化したが、その目的は各社の連携をさらに強化することで明光義塾チェーン全体の競争力を底上げしていくことにある。その一環として、2019年8月期より新たにMAXISの代表取締役社長が本社の執行役員となり、教務部を管掌することとなった。MAXISは、明光義塾全体が苦戦を強いられるなかで教室当たり生徒数や生徒当たり売上高でグループ平均を上回る実績を上げるなど、運営力や教務・指導力で高く評価されており、こうしたノウハウをグループ全体で共有することが狙いとなっている。早速、各地域でFCオーナーや教室長などを対象とした研修会の開催数を増やすなど教務力の向上に取り組んでおり、2019年4月よりFC全教室で開始した「MEIKO式コーチング」の導入効果が今後出てくるものと期待される。
FC企業子会社化で明光義塾事業の売上が拡大、キッズ事業や日本語学校事業の今後の成長に期待
2. 事業セグメント別見通し
2019年8月期の事業セグメント別売上高は、明光義塾直営事業が前期比10.6%増の10,544百万円、明光義塾フランチャイズ事業が同0.7%減の5,205百万円、予備校事業及びその他事業が同5.2%増の4,570百万円となる見通し。
明光義塾事業においては、「MEIKO式コーチング」を2019年4月以降、FC教室も含めて全教室で展開する体制が整い、今後、生徒募集活動を強化しながら当第4四半期末までに生徒数で前年同期並みの水準までキャッチアップすることを目指している。教室数については不採算教室の閉鎖等、スクラップ&ビルドを継続して進めていく方針となっており、当面は教室当たり生徒数の増加と生徒当たり売上単価の上昇により、教室当たり収益力を回復していく計画となっている。
明光義塾直営事業については、前述したとおりケイラインとKMGの子会社化が増収要因となる。一方、明光義塾フランチャイズ事業についてはケイラインやKMGからのロイヤルティ収入剥落が減収要因となるが、同要因を除けば同事業も若干の増収を見込んでいることになる。計画を達成するうえでのポイントは、「MEIKO式コーチング」の全教室導入によって、第3四半期以降に生徒数の減少傾向に歯止めがかかるかどうかにかかっている。このため、同社ではテレビCMやWeb広告など生徒募集にかかる販促費を下期も投下していく予定にしている。
その他の事業では、キッズ事業と日本語学校事業の成長が見込まれる。特に、キッズ事業は2019年4月に自治体や学校等からの助成型及び受託型案件を合わせて5施設の運営を開始したほか、同社にとって初のFCスクールとなる「京急キッズファン」(東京都大田区)もオープンした。FCスクールについては、京浜急行電鉄<9006>のグループ会社である京急開発(株)との提携により実現したものだ。学童保育に対するニーズは旺盛で、今後もこうした助成型、受託型案件の獲得並びにFC展開により、成長が加速化していくものと予想される。
日本語学校事業についても外国人留学生等の増加を背景に、増収増益基調が続く見通し。現在、定員数は2校合計で2,090名となっているが、在籍生徒数が定員の約90%に達したことから校舎移転を実施(早稲田EDUは2017年12月、JCLIは2018年10月移転)、収容能力を2,360名まで拡大している。2019年4月に外国人労働者の受け入れ拡大を目的とした改正出入国管理法が施行されたこともあり、日本語学校に対する需要はさらに拡大するものと予想され、日本語学校で国内大手となる同社の成長機会も大きいと弊社では見ている。
そのほか、早稲田アカデミー個別進学館については現時点で具体的な増設計画はないものの、FC展開により2019年8月期中に1〜2校程度、校舎数を増やしたい考えだ。また、サッカー事業についてはスクールの新設計画がなく、当面は現状維持が続く見通し。
さらには、新しいスタイルの個別指導塾として2018年春より「スタディクラブ」をスタートさせており、当第2四半期末までに3校舎を展開している。小学生から高校生を対象としており、特徴はEdTechを活用することで、講師1人で多数の生徒を受け持つことが可能となっていることにある。生徒はタブレット端末とデジタル教材を用いて学習していくことになる。サービス内容はおおむね好評を得ているようで、今後はFC展開も検討していくことにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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