[資源・新興国通貨5月の展望]豪中銀とNZ中銀は利下げするのか!?
豪ドル
RBA(豪中銀)は5月7日の会合で、0.25%の利下げに踏み切る可能性があります。豪州の1-3月期の総合CPIが前年比+1.3%、基調インフレ率は同+1.42%と、いずれもRBAのインフレ目標の下限である+2%を一段と下振れたためです。基調インフレ率は2016年に今回の水準近辺まで鈍化したことがあり、RBAはその時に利下げを実施しました(2016/5月と8月)。一方で、雇用情勢は2016年当時と比べて良好であるため、RBAは今回の会合で難しい判断を迫られそうです。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む5月会合の確率は、据え置きが56.4%、利下げが43.6%(4/25時点)。市場の見方が分かれているため、RBAがいずれの判断を下したとしても、豪ドルが反応しそうです(据え置き→上昇、利下げ→下落とみられます)。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)が5月8日に政策金利を発表します。0.25%の利下げが決定されるかもしれません。RBNZが“次の政策変更は利下げの可能性が高い”としているうえ、NZの1-3月期のCPI(消費者物価指数)がRBNZの見通し以上に2018年10-12月期から鈍化したためです。1-3月期のCPIは前年比+1.5%。RBNZの2月時点の見通しは+1.6%でした。
市場では、5月の会合で0.25%の利下げが決定されるとの見方が有力。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む確率は、据え置きが40.8%、利下げが59.2%(4/25時点)です。RBNZが利下げを決定した場合、NZドルは下値を試す展開になりそうです。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は4月24日の会合で、政策金利を1.75%に据え置くことを決定。声明では、利上げに言及した文言(「将来の利上げ時期についての不確実性が高まるなか」)を削除し、金融政策スタンスが“利上げバイアス”から“中立”へとシフトしたことを明確に示しました。
また、ポロズBOC総裁は会合後の会見で、「新たなネガティブなかく乱要因があれば、利下げする必要があるかを判断する材料になるだろう」と語り、利下げの可能性にも言及しました。
BOCが利上げバイアスを撤回してハト派的な姿勢を強めたことは、カナダドルにとってマイナス材料であり、カナダドルには目先、下押し圧力が加わりやすいと考えられます。ただ、ハト派的な姿勢を強めているのは、主要国の他の中銀も同様です。そのことが市場で意識されれば、カナダドルへの下押し圧力は緩和するとみられます。カナダドルは、原油価格の動向に影響を受けやすい地合いへと変化する可能性があります。
トルコリラ
“米国とトルコの関係の悪化への懸念”や“TCMB(トルコ中銀)の外貨準備高減少への懸念”など、トルコリラのマイナス材料が目立つ状況です。
米政府は、イラン産原油の輸入禁止措置の適用除外(トルコや日本を含む、8カ国・地域)を5月1日に撤廃します。トルコのS-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)購入をめぐり米国との関係が悪化するなか、トルコがイラン産原油の輸入を5月2日以降も継続した場合、両国の関係は一段と悪化する可能性があります。
TCMBが4月25日の会合時の声明で、これまでの「必要に応じて一段の金融引き締め(利上げ)を行う」との文言を削除しました。市場では早期の利下げ観測が浮上しており、トルコリラへの下落圧力は一段と強まりそうです。
南アフリカランド
南アフリカの総選挙が5月8日に行われ、SARB(南アフリカ中銀)の政策金利が5月23日に発表されます。それらが5月の南アフリカランドの独自材料になりそうです。
総選挙(下院の定数400)では、与党ANC(アフリカ民族会議)が過半数を維持するものの、議席は現有の249から減少しそうです。もしANCが過半数割れ寸前に追い込まれるようなことがあれば、党内の権力争いが再燃し、南アフリカ政治が不安定化する可能性もあります。
SARBの政策金利については、6.75%に据え置かれそうです。主要国中銀と同様にSARBもハト派姿勢を強めれば、南アフリカランドに対して下押し圧力が加わる可能性があります。
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