■3月25日(月)■4月~6月に集中する国際問題をどう乗り切るか

著者:堀篤
投稿:2019/03/25 08:42

期限は5月18日

 先週末の海外市場は、世界景気の減速懸念で荒れた。週初には東京市場にも多少の影響があるかもしれないが、基本的には21000円近辺は買いで対処しても良いだろう。まだ、日経平均株価は21000円から22000円のボックスの中にある、と考えてよいのではないだろうか。
確かに景気減速懸念は重要なファクターだが、今の景気減速感は、米中通商摩擦問題と英国ブレグジット問題に収斂する、という解釈の下にある。つまり、景気は悪化しているが、「関税問題やブレグジット問題がなんとかなれば、いずれ回復する」という認識下にある、というわけだ。つまり、この2つの問題が姿を変えた問題に過ぎない(今はまだ、と言った方が良いだろうか)。
 米中通商摩擦を巡っては、4月3日からワシントンで協議が行われることになり、相互に進展を認める発言をしている。ブレグジットを巡っては、欧州議会は、4月12日まで、英国の短期的な離脱延期を認め、英国議会がEUの離脱案を呑めば、さらに5月22日まで離脱は延期できる、とした。
 この2大イシューは、明暗を分けていると言って良いだろう。米中問題は期待通りの進展を見せる一方、英国が提案した6月までの離脱延期は認められず、EU議会は英国に対して、脅しとも捉えられる逆提案をしたことになる。

この一連の出来事で、リスクは、中国から欧州へ移ったと考えるべきだろう。中国で懸念されている金融危機や一帯一路政策の失策は、全人代であったような積極的な財政政策や、習近平氏による欧州訪問によって、足下の懸念とは言えなくなってきた。しかし逆に、欧州の動向は、不透明感を増している。
英国からの各国の資本引上げや、イタリア、ドイツの景気減退リスクは、直近の経済指標からは、大きく高まっていると見ることができる。
また、日本も実は大きな問題を抱えている。2月27日に商務省からホワイトハウスへ出された自動車関税への報告書についての結論を、トランプ氏は90日以内に出す必要がある。その期限は5月18日だ。
今後の主な日程をまとめると、以下の通りとなる。

4月12日:英国EU離脱期限
4月下旬:習近平氏訪米
4月27日~東京市場10連休
5月7日~14日 3月銘柄決算発表ピーク
5月18日:米国政府、自動車関税報告書への対応結論リミット

習近平氏の訪米で米中摩擦が大きく進展すると考えれば、10連休の前に、東京市場では株式を仕込んでおく必要がある。しかし、4月12日の英国離脱期限を考えると、そこまでは待っておきたい、というのももっともな考えだ。
つまり、4月12日を待ちながらじょじょに仕込み、連休明けに、売る、という1か月間の戦略を前提に考えるのが妥当だろう。
連休明けに売却を前提に考えるのは、日米間の問題の為だ。日米自動車交渉は、6月の大阪サミットを前に、安倍氏とトランプ氏の間で、決着をつけておくべきと誰もが考えるところだが、これもまた、大きなリスクであり、5月半ばまでホールドするのも、また博打だと言えるだろう。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想