■10月15日(月)■日本株の出遅れ感を調整する時期に

著者:堀篤
投稿:2018/10/15 08:53

米国株式市場のリスクと東京市場のメリット

先週の株式市場の動きは示唆に富むものだった。
日経平均株価は22323.43円まで下落し、想定していた3分の1、半値押しを突破して、ほぼ全値戻しという状況となった。
この大幅調整により、27000円という目標値は一旦遠ざかったと言え、その代わりに、23500円、24500円という2つの目標値が目先に提示されたことになる。
下値は、22000円割れまでの調整を、覚悟しなくてはならないだろう。
東京市場は、NYの長期金利上昇による余波を受けた形で調整を余儀なくされたが、NY市場は、思いのほか、調整が長引く可能性もある。しかし、東京市場には、この調整に付き合う必然性はなく、22000円からの反発し、23500円までの戻りをまずは試すことになるだろう。

今回の下落は、NY市場が、長期金利の上昇により調整したことに始まる。これは今年1月から2月にかけて生じた下落と理由が同じであり、そこに投資家は不安を感じている。このとき、日経平均は、24000円近辺から、20300円処まで、3か月間で20%近くの大幅調整となっている。今回も同じ程度の調整になるとすると、21000円まで下落することになるが、今回はそうはならない可能性の方が高い。
それは、NY市場と東京市場の連動性が薄れていくことが想定できるからだ。

NY市場は、長期間にわたる上昇の限界が近い可能性がある。長期金利の上昇が、株式益利回りとのスプレッド拡大を通じて、ハイテク株の上昇を抑えており、そのことがハイテク株に対するマイナス面を際立たせ始めている。ハイテク株の高PERへの否定が始まっているのだ。PERが103倍のアマゾンが急落を繰返しているのがその象徴だろう。
様々な理由をつけて、今後、ハイテク株の成長性を疑問視しする動きが本格化すれば、NY市場はさらなる下落を免れられないだろう。
また、米中貿易摩擦が、米国経済に与える影響や、長期金利の上昇が米国消費へ与える影響、特に、個人信用に関わる不安定性や新興国債務問題と連動すれば、米国株式市場はリスクが高まることになる。
一方、東京市場は、NY市場との差を縮める好機だ。未だインフレ懸念が少なく、企業業績は期待が出来る、という状況下の東京市場には優位性がある。NYダウと日経平均の、為替レートを一定とした比較では、先週末はその差は10.44%だが、この差は、アベノミクスが始まって以来過去5年間では最高水準にある。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想