今週は、アメリカの長期金利と為替に注目。下値は23200円水準か

著者:出島 昇
投稿:2018/10/09 18:46

先週は、24400円台のせのあと、利益確定売り、円安一服、アメリカ株安を受けて24000円割れ

 先週の予測では、上昇スピードと年初来高値を更新したことからいえば、いつ調整してもおかしくないものの、アメリカ株式が堅調で円安基調が継続すれば24500円を目先の上値のフシとして24000~24500円の中でもみあいを想定しました。

 結果的には、週前半に24448円まで上昇後、円安一服から利益確定売り優勢となって24000円を割り込み、さらにアメリカ市場で予想を上回る経済指標を受けて10年債利回りが2011年以来の3.2%を上回る結果となり、株式の割安感が弱まったことで、NYダウが8日ぶりに大きく下げたことで、週末の5日(金)は▼191円の23783円と3日続落で引けました。

 10月1日(月)は、前週末のアメリカ株高と円安基調を受け、△53円の24173円で寄り付き、一時△186円の24306円とザラ場での年初来高値を更新しました。名実ともに下半期相場入りで資金配分の思惑もあったものの、急ピッチな上げに対する警戒感から上げ幅を縮小する場面あるものの、終盤にかけて持ち直し△125円の24245円と続伸しました。

 2日(火)は、前日のアメリカ市場で米国とメキシコ・カナダが新しい北米自由貿易協定で合意したことが好感され、NYダウは大きく上昇。これを好感して△130円の24276円で寄り付き、一時△202円の24448円まで上昇するものの、利益確定売りに前引けは▼0.3円の24245円と小反落でした。後場になると持ち直してプラス圏の動きとなって堅調に推移していましたが、大引けにかけて再び上値が重くなり△24円の24270円と連日の年初来高値で3日続伸となりました。

 3日(水)は、円相場の弱含みから利益確定売り優勢となり、▼51円の24219円で寄り付き、前場は小安い水準の動きとなっていましたが、後場になると輸出関連株主導で一段安となり、一時▼240円の24030円まで下げ、終値は▼159円の24110円と4日ぶりの反落でした。

 4日(木)は、前日のNYダウが連日の史上最高値更新し、114円台半ばの円安進行となったことで、△131円の24242円で寄り付き、その後は時間外でのアメリカ株先物が下落したことで、日経平均も下落に転じ、前引けは▼56円の24054円でしたが、後場になると心理的フシ目の24000円を割り込むと、一時▼187円の23923円まで下げ、▼135円の23975円で引けました。

 為替は1ドル=114.40円台でしたが、円安効果よりもアメリカの長期金利上昇からの株安が気になっていました。

 5日(金)は、前日のアメリカ市場で好調な経済指標の発表を受けて、10年債利回りが3.2%台と2011年以来の水準となったことで、世界的金利上昇懸念から、リスク回避の円買い・ドル売りとなり、NYダウは8日ぶりの下落となり、一時300ドルをこす下下げとなりました。これを受けて▼193円の23781円で寄り付き、一時▼245円の23730円まで下落し、終値は日銀のETF買い期待のあって下げ渋り、▼191円の23783円と3日続落となりました。

 5日(金)のアメリカ市場は、9月の雇用統計で非農業部門雇用者数と失業率が予想を下回ったことで、3指標はマチマチの動きで始まったものの、10年債利回りが7年5ヶ月ぶりに3.248%まで上昇し、株式の割高感が強まってNYダウは一時▼325ドルの26301ドルまで下落しました。為替も1ドル=114.08円から113.56円まで下落し、113.68円で引け、そのためシカゴの日経先物は▼160円の23660円となりました。

 日本が祭日で休場の8日(月)は、アメリカ市場は長期金利の高止まりから、NYダウは一時▼223ドルの26223ドルまで下落するものの、その後、買い戻され△39ドルの26486ドルの小反発となりました。しかし、ハイテク株は軟調でナスダックは▼52Pの7735Pと3日続落し、為替も113.15円の円高にふれており、そのためシカゴの日経先物は▼195円の23625円となっていました。

今週も米長期金利と為替に注目。下値は25日線(23200円水準)を守れるかどうか

 今週も引き続き、米長期金利が焦点となります。これまでの長期金利の上昇は、アメリカ経済の堅調さを示すもので、アメリカ株式にとってはプラスとなり、ドルも買われて円安となり、日経平均をサポートする動きとなっていました。ところが、先週は約7年ぶりの長期金利の上昇スピードが速すぎると米経済に悪影響がでると警戒感が広がり、株式が売られドルが売られる形となりました。

 アメリカの現状の経済指標を見る限り堅調であり、FRBも今のところ来年度も利上げ方針が維持されていることで、いったんの調整と思われます。日経平均も米長期金利と為替の動向に影響を受けますが、大きく下げたところは買いチャンスといえます。先週の予測では、NYダウの27000ドル、日経平均の24500円を目先の上値とし、利食い優先で次の下げを待つとしました、短期売買の場合は早くもそのチャンスが訪れてきました。

 目先の下値は25日移動平均線(23200円水準)で、ここを切ると23000円が心理的フシ目になります。そこまで下げると買いチャンスとなります。

 本日は、昨日のチグハグなアメリカ株式や上海株式の急落を受け、▼233円の23550円で始まり、円高進行も重しとなって23500円を割り込みました。前引けにかけて下げ渋ったものの、後場は再度、軟化し大引け近くで一時▼341円の23442円まで下落し、終値は▼314円の23469円となりました。押し目買いチャンスが近づいてきているといえます。

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(指標)日経平均

 先週の予測としては、まずは終値で年初来高値24129円、ザラ場での年初来高値24280円を上回れば24500円が目先の上値になるとし、9月からの急上昇の反動でいったん調整してもおかしくないとしました。

 結局、週前半は10月2日(火)に24448円まで上昇するものの24500円には届かず、10月3日(水)は円安一服から利益確定売りで▼159円の24110円と4日ぶりに反落し、10月4日(木)は時間外でアメリカ株先物の下落を受け心理的フシ目の24000円を割って引けました。週末はアメリカ市場で2011年以来の金利上昇となったことで、アメリカ株式の3指標が大きく下げ、日経平均も連動して▼191円の23783円で引けました。

 今週の日経平均は、米長期金利が焦点となり、長期金利の上昇が日米の金利差拡大期待を背景に円売り・ドル買いとなれば株式は上昇し、長期金利の上昇が早すぎるとの見方が続けば米株価の下落となり、日経平均も連動することになります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、11月の中間選挙が近づいており、アメリカの赤字削減をアピールするために米中貿易摩擦の激化が懸念されるとするものの、法人税減税の効果が企業業績をサポートするため高値圏でのもみあいが想定されるとしました。

 結果的には、週前半は米国とカナダの北米自由貿易協定の再交渉が合意されたことが好感され、NYダウは10月3日には一時26951ドル(柴田罫線では27000ドル台にのったら注意としています)までありました。しかし、9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は下ブレしたものの失業率は低下するなど全体で見れば堅調な結果を受けて、10年債利回りが2011年以来の3.2%台のせとなり、株価の割安感が薄れて、週後半の10月4日は▼200ドル、10月5日▼180ドルと2日連続の大きな下げとなって26447ドルで引けました。

 先週末の雇用統計も全体としてみれば堅調な内容であったことで、引き続き長期金利の上昇が継続すれば株式市場は上値の重い展開となり、ドル買いも一服となることが想定されます。基本的には米中貿易摩擦への懸念が背景にあり、長期金利が上昇すれば警戒感から株式市場ももみあいとなり、引線の終値で26383ドル以下で引けると短期の売転換出現となり、調整が長引くことになります。逆に10月2日の26824ドルを終値で上回れば27000ドルを試す動きとなります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、5日(金)の9月雇用統計に注目とし、内容が良ければ1ドル=114円水準を突破し、114.5円水準を想定しました。

 結果的には、NYダウの連日の最高値更新を受けてドルが買われ、10月3日(水)には、長期金利は約7年ぶりに3.2%水準まで上昇し、1ドル=114.55円まで買われました。その後、今度は長期金利の上昇が警戒されて、NYダウは2日連続の大幅下落となり、週末は113.56円まで下げ113.68円で引けました。

 今週は、先週の長期金利の上昇からの警戒感から株が下落となって債券も売られましたが、NYダウが落ち着けばFRBは2019年度も利上げ方針を維持する予定ですので、日米金利差からみるとドルの下値は限定的といます。かといって上値も限定的で115円水準は当面の上値抵抗となるところです。今週のレンジ112.5~114.5円。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム