“その他新興国通貨”への下落波及が懸念されるが…?

著者:武市佳史
投稿:2018/08/13 11:26

◆“トルコリラ暴落”でリスク回避席巻も、“ドル買い圧力”も…

※ご注意:予想期間は8月14日と表示されていますが、本日(8月13日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


 「トルコへの貸し付けが大きい仏伊西の金融機関に関して、資産状況悪化を懸念」
この英FT紙報道を機に、先週末はトルコリラ暴落がマーケットを支配しました。
リスク回避フローに包まれたマーケットは、トルコリラ円をさらに史上最安値に導くとともに、クロス円通貨全般を軒並み下落させました。

一方でリスク回避フローは“円買いのみならずドル買い”にも機能しています。
前記欧州金融機関懸念を背景にした“ユーロ売り”が加わったという面はありますが、ユーロドル1.14ドル割れを始めに“ドル買いも顕著”に見られています。
このため綱引きとなるドル円は“やや円買い先行”という様相ではあるものの“ドル買い圧力”もあり、110円半ばでは下げ渋るという展開を見せています。

◆『イメージは下方向』は続くと見られるが…?

サマーヴァケーション+お盆休みとなる今週は、流動性がさらに低下すると見られます。
「トルコリラ暴落がどこで下げ止まるかは未知数」といわざるを得ない状況だけに、『イメージは下方向』も続くと見られます。
ただ『ドル買い基調が鮮明』であるのも事実であり、前記したように『ドル買い・円買いの綱引き通貨』という側面も持っています。

仮に現時点で支える下値(110円半ば)を割り込んだとしても、“日足・一目均衡表先行スパン上限(同110.288円)”“5/29~7/19の61.8%押し(110.041円)と重なる110円の大台ライン”が控えています。
「トルコリラ暴落⇒その他新興国通貨に波及⇒リスク回避の円買い先行」という展開に発展したとしても、ドル円に関しては『大きく崩れない(影響は軽微)』と見て対峙したいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

注:普段より値幅を拡大しています。

112.000(大台)
111.859(8/3高値、ピボットハイブレイクアウト)
111.677(日足・一目均衡表基準線)
上値5:111.522(8/6-7高値、、8/1~8/10の61.8%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:111.436(8/9高値、20日移動平均線)
上値3:111.331(8/1~8/10の50%戻し)
上値2:111.183(8/9-10高値、8/1~8/10の38.2%戻し、日足・一目均衡表転換線、ピボット1sレジスタンス)
上値1:111.000(大台)
前営業日終値:110.829
下値1:110.625(100週移動平均線)
下値2:110.515(8/10安値、週足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stサポート)
下値3:110.275(7/4-5安値、日足・一目均衡表先行スパン上限、50週移動平均線)
下値4:110.184(ピボット2ndサポート)
下値5:110.041(5/29~7/19の61.8%押し、大台)
109.952(200日移動平均線)
109.803(週足・一目均衡表先行スパン下限、20週移動平均線、ピボットローブレイクアウト)
109.751(日足・一目均衡表先行スパン下限、100日移動平均線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔一週間の為替市場を分析!マーケット・チェックWebセミナー〕にて公開中。

11:38 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想