■7月2日(月)■粘りを見せる日経平均株価

著者:堀篤
投稿:2018/07/02 13:47

不透明な海外市場と、粘りを見せる東京市場、このコントラストに投資のヒントがあるように思える

■75日線で粘る日経平均株価

日経平均株価は、22000円台前半で頑張っている。
特に先週は、75日移動平均線を3度下へ抜けたが、すべて戻ってきており、粘り強さは「半端ない」動きだった。
この土俵際の粘りが、次の上昇へつながる可能性は十分にある。
一方、世界中では、経済的な危機が徐々に差し迫ってきているように見える。
米中の貿易摩擦は、もしそれが実際に起こらなかったとしても、人はそれを想定し、その実現に合わせた動きをするので、結果として、貿易戦争が始まったと同じ現象が起きる、ということを投資家に知らし始めている。
不透明な海外市場と、粘りを見せる東京市場、このコントラストに投資のヒントがあるように思える。

■海外で膨らむ不安要素

先週は、中国元が急落し、新興国通貨への不安感が一層際立った。
このことは、新興国のドル建て債務が膨張する懸念を膨らませ、新興国の財政破たんを現実化させる可能性を強めている。
また、欧州でも先週、ダイムラーが予想外の減益を発表し、自動車業界への警戒感は倍増した。これを機に、投資家の欧州離れは加速しそうだ。米国の保護主義政策は、中国よりも欧州にこそ痛打を与える、というのが投資家のコンセンサスになりつつある。破たんのうわさが絶えないドイツ銀行の情勢も含め、欧州発の金融危機もまた可能性は十分だ。
そこへ来て、米国経済が予想外に強い、ということもリスクの一つだ。米国成長率は、株高に支えられた消費の強さに依存しているが、もし株価が急落すれば、これも剥落するかもしれない。FRBは、この危機感と新興国への影響を考慮し、利上げペースを上げるわけにいかないという判断をしている。しかし、利上げが遅れれば、インフレは急速に進む可能性がある。

■「買える」日本企業

これらの事象を考えると、投資できる地域は、日本に限られるのではないか、とさえ思えてくる、企業業績はまだ強く、東京五輪までまだ1年以上ある、という距離感もまた、買いやすい状況を作っている。
もちろん、貿易立国である日本が海外景気の状況の影響を受けるのは間違いないが、日本国内需要に応える企業や、その他の中小型株は、十分に買えるだろう。
今週、日経平均株価が75日移動平均線を割らずに推移すれば、海外市場が混乱したとしても、上昇波動をキープできるだろう。
「買える」企業は、基本的に日本国内需要に応える好業績企業だが、あまりに半導体関連や自動車関連が急落する場面があれば、こまめに拾い続けることも次の一手になるかもしれない。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想