「ドル買い・円売り方向へシフト」したが…? - 揺れ動き(乱高下)は続く

著者:武市佳史
投稿:2018/06/28 11:19

◆東京タイムは“円買い”先行、NYタイムは“ドル買い”進行

※ご注意:予想期間は6月29日と表示されていますが、本日(6月28日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


米中貿易戦争懸念が燻る中、東京タイムは“円買い”が先行しました。
しかし現在のリスク回避時は「円買いのみならず、ドル買いも入りやすい」を地で往く動きとなり、“日足・一目均衡表先行スパン上限&50日移動平均線(109.700円水準)では下値を支えられました。

一方で『(中国の対米投資宣言について)最も厳しい措置を取らない』というトランプ米大統領発言が飛び出したことで、NYタイムには“ドル買い”が進行しました。
「連立解消の思惑が台頭したメルケル独政権(ユーロ)」「Brexit問題を閣内でまとめ切れないメイ英政権(ポンド)」に“それぞれ売り圧力”がかかったことも、前記“ドル買い”を後押しした印象があります。
110円ラインを回復、注目の“200日移動平均線(昨日は110.207円)”をも突破したドル円は、一時“110.489円”まで上値を伸ばしています。
もっとも米中貿易戦争懸念は「すぐに払拭する」といった類の話ではないだけに、そこからさらに上値を模索するには至りませんでした。

◆「ドル買い・円売り方向へシフト」した格好だが…?

EU首脳会議が本日から開催される(~29日)だけに、“欧州通貨売り⇒ドル買い”は続く可能性があります。
しかし「米中双方が25%の関税を課す」とされる来月6日までは、“米中貿易戦争懸念⇒リスク回避⇒円買い先行”という思惑が立ちやすいのは事実です。
このため「ドル買い・円売り方向へシフト」した格好ではありますが、「まだレンジ内での揺れ動き」と見るのが自然です。
そして「明確な方向性は見出しづらい」状況だけに、「110円ラインを挟んだ揺れ動き(乱高下)は続く」と見るのが、これまた自然ということになります。

「ドル売り/ドル買いどちらからも入れるマーケット環境」といえそうですが、“上方向(ドル買い)”との見方に変化はありません。
このため「あまり高いところはついていかない」「(もし叩かれるところがあれば)しっかり拾う」に、本日も徹したいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:111.000(大台)
上値4:110.914(5/23高値、6/15高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:110.753(6/21高値)
上値2:110.613(ピボット1stレジスタンス)
上値1:110.489(6/27高値)
前営業日終値:110.272
下値1:110.198(200日移動平均線)
下値2:110.000(大台、日足・一目均衡表転換線、100週移動平均線)
下値3:109.807(ピボット1stサポート)
下値4:109.683(6/27安値、日足・一目均衡表先行スパン上限、50日移動平均線)
下値5:109.502(日足・一目均衡表基準線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔一週間の為替市場を分析!マーケット・チェックWebセミナー〕にて公開中。

11:38 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想