今週は、米中貿易摩擦とOPEC会議の行方に要注意

著者:出島 昇
投稿:2018/06/18 18:23

先週は、週始め23000円回復するも、その後は上値の重い展開

 先週の予測では、国際政治(G7、米朝首脳会談)、金融政策(欧米日の中央銀行の金融政策更新の会議やFOMC)など、注目材料多く、強弱入り交じって基本的には方向感のない展開が想定され、22500~23000円の中でのもみあいになるとしました。

 日経平均の動きとしては、前週に25日移動平均線を上にぬけたものの、先週の終値は22694円となって6月SQ値22825円を下回って引けたことで、ここを早目に上にぬければ、5月21日の戻り高値23050円を試すことになるとしました。23050円を上回って引けると柴田罫線で「ろく買」という追加の買法則がでて、もう一段上が期待できるためです。基本的には22500~23000円の中でのもみあいとなりそうだとしました。

 結果的には、12日(火)の日経平均は、米朝首脳会談の期待もあってザラ場では23011円と23000円台を回復しましたが、終値は△74円の22878円となりました。その後はFOMCでの年3回の利上げ予定が年4回(あと2回)の利上げへと上方修正されたことや、米中貿易摩擦が高まってきたことで、アメリカ株式の上値重く、それに連動した形で日経平均の上値も重くなり、22700~23000円の狭いレンジでのもみあいとなり、週末の15日(金)は22851円で引けました。

 11日(月)は、先週末のアメリカ株式の上昇と、この日の4月機械受注が予想を大きく上回ったこと、さらに後場には円安基調となったことで、一時△161円の22856円まで上昇して、終値は△109円の22804円で引けました。

 12日(火)は、この日、行われる米朝首脳会談への期待から、一時△207円の23011円と23000円台を回復しましたが、会談の中身を見極めたいとしてマイナスになる場面もあり、結局は△74円の22878円となりました。

 13日(水)は、米朝首脳会談は予想内の結果であったことから株価には影響せず、次にはFOMCの結果待ちとなり、一部では利上げペースが早まるとの見方から円安歩調となったことで△88円の22966円で引けました。

 14日(木)になると、前日のアメリカ市場でFOMCが年内あと2回の利上げを示したことで金利先高感から、NYダウが▼119ドルの25201ドルと下落し、これを受けて日経平均は▼123円の22842円で寄り付き、後場には米中貿易摩擦の高まりへの懸念も加わって▼227円の22738円の安値引けとなりました。

 週末の15日(金)は、前日のECB理事会で利上げは来年度以降としたことを受け欧州債利回り低下、欧州株高となったことで日経平均は△144円の22883円で寄り付きましたが、直後の22885円を高値に上値は重くなり、22770円まで上げ幅を縮小するものの、円の弱含みから大引けにかけて盛り返し△113円の22851円で引けました。久しぶりに売買代金が3兆円を突破しました。押し目買い意欲強く、上値を試すタイミングを探すところに入ってきている感じです。

 15日(金)のアメリカ市場は、トランプ政権が中国からの500億ドルの輸入品に対して25%の制裁関税を課すとしたことで米中貿易戦争が高まることが懸念されNYダウは一時▼280ドルの24894ドルまで下げましたが、下げ幅を縮小し▼84ドルの25090ドルで引けました。シカゴの日経先物は▼65円の22765でした。

今週は、米中貿易摩擦とOPEC会議の行方に要注意

 先週は、米朝首脳会談や日米欧の金融政策のイベントは想定内で通過したものの、今後の企業のファンダメンタルズに影響を与える米中貿易摩擦が再燃していることで手控えムードとなり、23000円の上値は重く、先週と同じように22500~23000円のレンジ内のもみあいが想定されます。米中の交渉によって一時的に落ち着くことはあるかもしれませんが、11月の中間選挙までは実績を出したいトランプ政権としては、中国に対してより強い対応に出そうです。

 中国経済はアメリカに対する輸出に依存しており。2017年度の中国製品の世界に対する全輸出の88%がアメリカ向けで約40兆ドル以上の貿易黒字をなっています。その黒字を使って軍事面も強化され、アメリカに対抗するところまできているため、トランプ政権としては許せないというところまできているようです。G7でもかわりますようにアメリカは孤立してもかまわないスタンスをとっており、アメリカの保護貿易が一層高まれば世界の貿易摩擦となりそうですが、今週は22日開催のOPECで減産合意が解消されるかどうかという懸念とともに、大きなマイナス要因となります。これらが落ち着いていれば23000円台を目指すものの、悪化すれば一時的に22500円を下に切ってくることも考えられます。

 本日の18日(月)は、午前8時頃に大阪北部地震があったことで、先週末の米中貿易戦争懸念からアメリカ株式が下がっていたことも加わり、▼45円の22806円と売り先行で始まりました。米中貿易戦争は不透明なことから後場には一時▼250円の22601円まで下げましたがETF買い観測に支えられ下げ渋り、▼171円の22680円となんとか25日移動平均線(18時点22646円)を維持して引けました。25日移動平均線は上昇から横向きになっておりますので、25日移動平均線を切ってくると再び22000~23000円の前半でのもみあいになる可能性があります。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、チャートの動きとしては、先週25日移動平均線を上回ってきているので、6月SQ値の22825円を上回り、さらに5月21日の23050円を上回ってくると、柴田罫線で「ろく買」が出て、もう一段上が期待できるとしました。

 結果的には、6月12日(火)に23011円と23000円台を回復したものの、その後は上値重く、22700~23000円の狭いレンジでのもみあいとなりました。アメリカ株式が米中貿易摩擦の高まりや、FOMCでの利上げスピードの加速懸念で上値が重くなったことで日本株式も同じようなう動きとなりました。

 今週の予測では、再び23000円台を回復できるかどうかは、米中貿易戦争の程度によります。激化すればアメリカの保護貿易が世界経済にマイナスの影響を与える懸念から株価は下落する懸念があります。一方で米中の交渉が前向きに進めば米株高、長期金利の上昇からの円安進行となって日経平均は戻りを試すことになります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週は、米朝首脳会談やFOMCなどの重要イベントが控えており、方向感の定まらない展開が想定されるものの、注目すべきG7でアメリカの輸入制限が批判されて孤立しており、米中貿易摩擦も懸念されていますので上値は重いといえました。

 週始めは、先週末のG7でのアメリカの保護貿易が批判されて孤立化しましたが、米朝首脳会談を控えて期待もあり、NYダウは一時25402ドルと戻り高値を更新しました。米朝首脳会談は、予想内の結果で株価に影響はありませんでしたが、FOMCで年内3回の利上げ予定が年4回となったことで▼119ドルの25201ドルと下落しました。その後も上値は重く4日連続安となって週末は▼84ドルの25090ドルで引けました。

 先週のFOMCの結果は、アメリカ経済や雇用情勢は堅調さが続くという自信から利上げ回数は年3回から年4回(あと2回)に上方修正しました。しかし、今週はトランプ政権が中国に対する課税で貿易戦争激化の可能性があり、交渉がスムーズに進まないようだと株価にはマイナス要因となります。又、22日開催のOPECで減産合意が解消となれば、原油価格が下落し景気の下ブレ懸念がでてくることになります。米中貿易の交渉が進み原油減産合意が継続するようだと株価は25800ドルを目指すことになります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、米朝首脳会談が順調に行われれば、地政学的リスクの後退でドル買い・円売り、又、FOMCの結果で金利見通しが上方修正されるとドル買い・円売りとなるとし、一方で米中貿易摩擦が高まるとドル売り・円買いになるとしました。

 結果的には、米朝首脳会談とFOMCの発表を受けて円が一時110.90円まで買われましたが、週末に米中貿易戦争の激化懸念から110.41円までドルが売られ110.60円で引けました。

 今週は、基本的には日米金利差拡大もあってドルが買われる流れにありますが、米中貿易戦争の激化への警戒感があり、ドルの上値は限定的と思われます。ドルは戻りを試しながらももみあうという展開が想定されます。109.5~111.5円のレンジを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム