日米欧の金融政策スタンス格差が鮮明に=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2018/06/15 08:36

日米欧の金融政策スタンス格差が鮮明に

昨日のドル/円は110円台後半へと反発。米5月小売売上高の好結果に加え、対ユーロでドル高が進んだ影響も大きかった。昨日は、欧州中銀(ECB)が量的緩和の年内終了を決めながらも早期の利上げには慎重な姿勢を強調した事でユーロ安(ドル高)が進行。一昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米景気の先行きに強気な見方を示し、年内の利上げペース加速を示唆した米連邦準備制度理事会(FRB)とのスタンスの違いが浮き彫りになった格好だ。

本日は日銀金融政策決定会合に注目したい。日銀はコアインフレ率が目標の半分にも届かない現状において、(金融緩和からの)出口の議論すら「時期尚早」との見解を維持する公算が大きい。黒田総裁が大規模緩和を粘り強く維持する姿勢を強調すれば、米FRBは言うに及ばず、ECBと比べてもハト派的なスタンスが際立つ事になるだろう。

米中貿易戦争への懸念などから、市場がリスク回避ムードに傾く事がなければ、金融政策スタンスのコントラストから円が売られやすくなりそうだ。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想