今週は、米朝首脳会談再開期待で、25日移動平均線を上回れば戻りを試す動きへ

著者:出島 昇
投稿:2018/05/28 18:31

週始め23000円台回復するも米朝首脳会談延期発言で円高進行、株安へ

 先週の予測では、地政学的リスクや米中貿易交渉など強弱の材料を織り込みながら、23000円水準でのもみあいを想定しました。但し、日経平均は3月26日の20347円の安値から先週の5月18日(金)の22954円の高値まで約2600円の上昇幅で、かつ8週連続の陽線となっているため、過熱感があり何かきっかけあれば一服する可能性はあるとしました。

 結果的に、週始めこそ一時23000円台を3ヶ月ぶりに回復しましたが、その後は利益確定売り優勢となり、さらに米朝首脳会談の延期発言をしたことをきっかけにアメリカ株式の下落、地政学的リスクや米長期金利に低下から円高が進行し、日経平均は3日間で560円の下げとなりました。

 21日(月)は、▼7円の22937円で寄り付いたあと、為替の111円水準での円安と時間外でのアメリカ株式先物の上昇を受け、一時△120円の23050円まで上昇。その後、利益確定売りに押されるものの終値は△72円の23002円と3ヶ月ぶりに23000円台を回復しました。

 22日(火)は、前日のアメリカ株式が米中貿易戦争懸念の後退から3指標そろって上昇となったものの、すでに前日に23000円のフシ目に到達していることで目標達成感から利益確定売り優勢となり、▼42円の22960円と4日ぶりの反落となりました。

 23日(水)は、前日のアメリカ市場でトランプ大統領が中国との貿易交渉に満足していないと述べ、さらに米朝首脳会談の延期の可能性にも言及したことで、楽観ムードが後退し、NYダウは▼178ドルの24834ドルと大幅下落となったこことで日経平均は円高も加わり▼270円の22689円と大幅続落でした。

 24日(木)は、為替が一気に109円台前半までの円高進行となり、25日移動平均線(23日時点で22480円)を割り込んだことをきっかけに下げが加速し、一時▼323円の22366円まで下げて、終値は多少戻して▼252円の22437円で引けました。

 この日の引け後のアメリカ市場では、トランプ大統領が米朝首脳会談中止発言を行ったことを嫌気し、一時▼280ドルの24605ドルまで下落するものの、終値では▼75ドルの24811ドルと下げは限定的でした。

 週末の25日(金)の日本市場は▼56円の22380円と売り優勢で始まり、▼118円の22318円まで下落するものの、時間外でのアメリカ株式先物が堅調だったことで切り返し△72円の22509円まで上昇しました、しかし、上値は重く、終値は△13円の22450円と小反発で引けました。

 25日(金)のアメリカ市場は、3連休を控え薄商いの中、原油価格が大幅安(OPEC会合で産油制限緩和観測から)となってエネルギー株が下落し、長期金利の低下で金融株も下落したことで、NYダウは▼58ドルの24753ドルでした。シカゴの日経先物は為替が109円台半ば水準の円高のため▼95円の22345円となっていました。

今週は、25日移動平均線を上回って引けるかがポイント

 今週の当初の予想では、当初、先週末のトランプ大統領の米朝首脳会談の中止発表で北朝鮮リスクが高まり、株安、円高となったものの、すぐに北朝鮮側が首脳会談の再開を期待したことで、トランプ大統領がすぐにそれに乗って予定通り6月12日の開催が実施される可能性がでてきたことで、地政学的リスクが後退し、下値は限定的となりそうです。ポイントは先週までは相場をサポートしてきた25日移動平均線(本日時点22541円)を切ったものの、すぐに回復できるかどうかということになります。米国市場では週末は雇用統計を始め多くの経済指標の発表があり、その結果によっては相場は影響を受けることになります。5月雇用統計はアメリカ経済の堅調さから予想を上回る見方が多く、その場合は6月のFOMCでの利上げの確率も高まり、一方で物価の上昇は低いという見方もあるため、アメリカの株価が上昇することになれば日経平均も戻りを試すことになります。

 本日は、前場は中止となっていた米朝首脳会談が開催に向けて準備協議が行われていることが明らかにされ、北朝鮮リスクが後退したことで△38円の22488円と買い先行で始まり、円の弱含みと時間外取引でのアメリカ株価先物が高いことで一時△96円の22547円まで上昇しました。その後は利益確定売りに押され、いったん下げに転じ22410円をつけたあとは、もみあい商状となり、大引けにかけて強含み△30円の22481円で引けました。本日、引け後のアメリカ市場は休場のため売買代金は1兆8136億円と4月2日の1兆6740億円以来の2兆円割れで出来高も10億6400万株と低水準でした。

出島式ズバ株投資情報ブログ
http://ameblo.jp/zubakabu80

(指標)日経平均

 先週の予測では、米中貿易交渉や米朝首脳会談の不透明さがあり、日経平均は23000円水準を上値にしてもみあいが想定されるとしました。

 結果的に、週始めに23050円まで上昇後、5月22日(火)にはトランプ大統領が中国との通商交渉に満足していないと述べ、又、米朝首脳会談も不透明な発言をしたことで、5月23日(水)には▼270円の22689円の下落となりました。結局、22日(火)、23日(水)、24日(木)の3日間で560円の下げとなり、週末の5月25日(金)は△13円の22450円と小幅反発して引けました。しかし、相場をサポートしてきた25日移動平均線を下回って引けています。

 今週は、これまで日経平均の上昇を支えてきた外部環境に変化がでてきたことや23000円のフシに到達して目標達成感も出て反落し、25日移動平均線(現時点22500円水準)を下回って引けていますので調整がやや長引くことになります。基本的には22000~22500円のレンジの中での動きが想定されますが、いったん中止した米朝首脳会談が再び実施される可能性がでてきましたので、順調な動きとなれば戻りは早いかもしれません。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、米中貿易摩擦、米朝首脳会談の不透明さから上値の重い展開になるとしました。

 週始めは米中貿易戦争の懸念が中国が米国からの輸入品に対する500億円の報復関税を見送るとしたことで貿易摩擦懸念が後退し、3指標そろって反発し、NYダウは△298ドルの25013ドルの大幅上昇となりました。しかし、その後はトランプ大統領が中国の通商交渉に満足せず、米朝首脳会談の延期の可能性にも言及したことで、3指標そろって反落し、NYダウは▼178ドルの24834ドルと大幅反落しました。その後も上値は重く、週末は▼58ドルの24753ドルで引けました。

 今週は、28日(月)はメモリアルデーで休場のあと、週末の雇用統計を始め多くの経済指標の発表があり、その内容に左右される展開となります。FOMCの議事録公開では大半のメンバーが経済は堅調であるとの見通しのため、雇用統計が好調であれば、6月利上げが確実視されます。そうなると年間利上げ回数が増える可能性があり、株価にとってはマイナス材料となります。又、米朝首脳会談が6月12日実施の動きとなれば地政学的リスクは後退し株価にはプラス、逆の場合は株価にはマイナスとなります。基本的には上値の重い展開が想定されます。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、日米金利差拡大からのドル買いはあるものの、米朝首脳会談の不透明さや、米中貿易交渉の不透明さなどから、リスク回避のドル売り・円買いとなってくるため、111円水準からは上値重く、110円水準でのもみあいを想定しました。

 結果的には、21日(月)に米中貿易戦争の懸念が後退したことで、ドルが一時111円40銭まで買われました。しかし、その後、米朝首脳会談の延期が伝えられ輸入車への関税が伝わるとリスク回避のドル売り・円買いが進行し、5月24日(木)にトランプ大統領が米朝首脳会談の中止を発表すると一時108.96円まで円高が進行しました。その後、米朝首脳会談の実現が出てきたことで109.56円で引けました。

 今週は、自動車輸入制限への思惑からドル売り・円買いが残るものの、トランプ大統領が中止発言の翌日25日に予定通り米朝首脳会談が実施される可能性があると述べたことで、地政学的リスクは後退し、ドルが買い戻される動きとなりそうです。又、5月雇用統計の結果で6月利上げが確定的となれば追加の利上げが年4回想定され、日米金利差拡大から円が売られることになります。109~111円のレンジ内の動きを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム