OPEC諸国は11月30日、2008年以来となる生産削減で合意した。サウジアラビアが「大減産」を受け入れ、最大のライバルであるイランに対する減産要求を取り下げた。非OPECのロシアも、2001年以降で初めてとなる減産合意に加わり、石油輸出国機構の原油価格下支えに協力する模様。
OPECは原油生産を日量120万バレル削減し、3250万バレルとすることで合意した。サウジアラビアは生産を日量48万6000バレル減らし1005万8000バレルとする。イラクは10月水準から日量21万バレル減らすことに同意。イランは日量379万7000近辺に凍結する。合意はOPECに加盟しない産油国による日量60万バレル前後の減産も求めている。
UAEとクウェートはそれぞれ、日量13万9000バレルと13万1000バレル減らす。ロシアは「技術的能力の範囲内で」最大30万バレルを減らすと述べた。
OPECは来年5月25日に次回会合を開き、その時点で減産をさらに6ヵ月延長する見込み。OPEC加盟国の関係者らは1バレル=55~60ドル程度までの相場押し上げを目指すと言明している。
サウジは減産合意をまとめるために、大きな犠牲を払うことになったように見えるが、原油価格が上昇すれば、OPEC内では最も大きな利益を得ることができる。
例えば、1バレル=45ドルが55ドルに上昇すると、379万7000バレルのイランは、1日当たり1億7086万5000ドルの期待売上が、2億0883万5000ドルと、3797万ドル増加する。一方のサウジは45ドル×1054万4000バレル=4億7448万ドルから、55ドル×1005万8000バレル=5億5319万ドルとなり、7871万ドル増と、イランの2倍以上増加する。
合意がなければ、45ドルどころか、40ドル割れにもなっていた可能性があることを鑑みれば、サウジの「大きな犠牲」は、十分に経済的な見返りも期待することができる。
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