Q&A:トレンドと波動

著者:矢口 新
投稿:2016/07/27 12:01

Q1:トレンドと波動について
 トレンドと波動のどちらを取りに行くのが収益を上げやすいでしょうか? ゴールデンクロスとデッドクロスでの売買を基本としていますが、早めの仕掛けを意識するため、団子天井のようになったら買い建玉を決済し、売り仕掛けをするものの、13本EMAの前に反転し、上げトレンドが継続するというケースがあります。

 一方で、その早仕掛けが成功し、売りで大きく取れる場合もあります。仕掛けも決済も数が多くなりがちですので、まずはしっかりトレンドを取るトレーニングを積むためにも、1波動ではなくトレンドをしっかり狙った方が良いのではとも感じていますが、いかがでしょうか?

A1:トレンドとは一定期間続く方向性、波動とは山や谷を伴ううねりです。この時、山から谷へのうねりをトレンドと捉えれば、同じことを違う表現で言っているだけとなります。

 私が見ている波動は、13SMA(EMAではありません。EMAは手計算ができないので、私は使いません)に見られるような波動で、日足ならば半年に、時間足ならば5日間に、5分足ならば12時間に、3、4回あるような波動です。通常は、この程度のサイクルですと、トレンドとは呼びません。もっとも、言葉などはどうでもよく、5分足で12時間に、3、4回売買する(1回の場合も、5、6回の場合もある)ような感覚です。それで、十分な収益につながると思います。

Q2:トレンド相場とレンジ相場について
 移動平均線とのクロスではトレンドをしっかりとることができますが、レンジ相場では細かい損失が重なっています。この場合は休み、トレンドラインを引いてそのブレイクについていくことが基本かと思いますが、酒田五法で山谷を確認して売買することである程度幅のあるレンジ相場であればとることもできると感じていました。トレンド相場では移動平均線、レンジ相場では酒田五法というように異なった売買するルールを適用するということも大丈夫でしょうか?

A2:移動平均線の欠点は、確認に時間をかけてしまうことです。これでは、レンジ相場には対応できません。酒田五法に限らず、ローソク足1本、2本で確認できたなら、レンジ相場にも対応できるようになります。

 異なった売買ルールというよりは、総合的な判断で、できるだけ早く確認し、売買するようにすれば、より効率的な運用ができるようになると思います。あるいは、レンジ相場を見極めて、三角保合いなどからの放れを待つのも、有効です。

Q3:トレンド途中の仕掛け
 トレードを始めた時に、すでに上昇トレンドが発生していた場合は押し目(下降トレンドでは戻し)で仕掛けるということで大丈夫でしょうか? もしくは、デッドクロスが出るまで待った方がいいでしょうか?

 9時からトレードを開始した場合、ゴールデンクロス・デッドクロスがそれよりも前に発生していて、すでに上昇・下降トレンドが発生していた、ということがあります。上昇トレンドであれば、デッドクロスが出た時に売り仕掛けをするのを待っていたのですが、その上昇トレンドが長く続いた場合、それを眺めているだけというのも、もったいないと感じていました。ただ、飛びついて仕掛けた結果、ロスになるということも多い状況です。

 上昇トレンドであれば、13本SMAに価格が接近してきたところで仕掛ければ、デッドクロスしてロスカットした場合も13本SMAとの幅が狭いのでロスは少なく、上昇トレンドが継続した場合は利益も伸びやすいかと考えていました。ただ、13本SMAに価格が接近してきたところで仕掛けることも売り転換しやすい状況ではあるので、仕掛けに躊躇してしまうこともあり、デッドクロスが出るまで待った方がいいのでは、とも感じています。

A3:私は早仕掛けを勧めています。早仕掛けは機能した時の利益が大きく、間違えた時の損失が小さいからです。加えて、1つの躊躇は、更なる躊躇を産み、いつまでたっても決断することができません。例えば、米連銀の利上げです。そして、追い詰められたように決断すると、ほとんどの場合が最悪のタイミングとなります。

 トレンド中の仕掛けも同じです。まだいけると思った時、逆に行った時の損切りのポイントがつかめたなら、すぐに入ることです。2回、3回とためらった場合は、もうあきらめた方がいいと思います。明日があります。
 

配信元: みんかぶ株式コラム